大学も卒業を控えた俺は、昊罹に会う為に長野に来ている。
突然俺達の前から消えてもう何年だ?
昊罹のお袋さんとは何度も連絡を取って話を聞いていた。
あのあとはほとんどなにも知らないまま長野で生活していたとか、そこらの子供と変わらない毎日を過ごしてたとか。
今思うとかなりしつこかったよな。
最近、ようやく記憶が少し戻ったって聞いたから来たんだが…
「マジ山だな」
東京暮らしの俺には不便しかないだろう田舎っぷりだ。車もほとんど通んねぇし。
住所は聞いてたけど久しぶりに来ると場所がわかんねえ。自力で向かうのは早々に諦めて警察で地図もらったけど、これ合ってんのか?
「おじさん!これ差し入れ!」
「おお、いつも悪いなぁ」
「いいって!いつも野菜もらってるしっがんばってね!」
「おう」
…合ってたみたいだな。
入院してた時に比べてだいぶ昔の昊罹に戻ってる。
「昊罹」
「…誰?」
やっぱりわかんねぇか。
「宍戸だ」
「宍戸?兄?」
「亮の方だ」
「え?あ、うそー!あのチビ亮なの?デカっ」
「うるせえ。お前は中学からかわんねえな」
「うわー今いくつ?」
「23ってお前もそうだろ?」
「だって今12だもん」
そこまで戻ったのか。
「自分の事はわかってるのか?」
「なんか病気で記憶ヤバいってことは」
「お前の言語能力もなかなかヤバいけどな」
「うるさい。亮はここまで何しにきたんだよ。りょーよーちゅーなんですけど?」
「あ?お前に会いに来たんだよ」
「わざわざ悪いね」
「いや、お前に言いたいこともあったからよ」
「なに?」
「その…よ」
「早く言えよ」
だから