なんや気になってしゃあない病院の螺々空昊罹ちゃん。
怪しいと思うやろ普通。昊罹ちゃんの急すぎる理由不明の転校。入れ代わるようにおとんの病院に来た同姓同名の新入院患者。おとんに聞いても望む答えが返ってくるとはかぎらん。
そないやったらもう会うしかないやろ。病室はどこかわかっとる。あとは行くだけなんや。せやけど、足がうまく動かれへん。
こんなん、緊張してるみたいやんな。俺らしくもない。試合やってこんなんならへんのに…
静かとは言えない長期入院患者の病棟の一室についた。ドアの横に貼られたルームプレートに書かれた【螺々空昊罹】の名前は、どうみても見慣れたその名前で…
ノックを二つすると、できるなら聞きたくなかった聞き慣れた声が入室を促してくれた。
「あら、どちらさま?」
俺がそこで見た昊罹ちゃんは、やっぱり俺の知っとる昊罹ちゃんやった。せやけど、俺を見た時の昊罹ちゃんの反応は、俺の知っとる昊罹ちゃんのもんやなかった。
「はじめましてですよね。あ、もしかしてお兄さん部屋を間違えたんですか?」
コロコロと女の子らしゅう笑う昊罹ちゃんなんて俺は知らん。もっとこう…あー、岳人みたいに笑う子やったんに。
「いや、間違ってへんよ。俺は君に会いに来たんよ」
「あ、じゃああたしと友達だったんですか?」
「友達だったんか」っちゅー言葉がやたら耳についた。
ふざけとるんとは違う。昊罹ちゃんはこんな質の悪い嘘や冗談は嫌いやったはず…まさか…今の昊罹ちゃんは俺んことを知らんのか?
「ごめんなさい。あたし、全部忘れちゃったみたいで」