7日間の仮入部期間

「蛍ちゃん達は、高校でもバレー続けるんだよね…?」


入学式から2日目の放課後。
まだ特別授業期間だから慣れたかどうかなんてわからないけど、それでもなんとか教室の雰囲気には慣れつつある。


「今のところはね」
「高校から新しく運動部に入っても疲れるだけだし」
「そっかぁ」


仮入部期間の為、部活の紹介が乗った冊子と勧誘でもらったチラシを手にしただけで学校を後にした。


「ちぃは部活に入らないんでしょ?」
「…たぶん」


冊子には全部活の紹介が載っていた。
私はきっと、初めて真剣に部活の紹介を見てる。


「なんか入るの?」
「少しだけ、考えてる」
「なんにするの?」
「まだわかんないけど…」


中学の時、部活に励むクラスメイトを見ていた。ずいぶん落ち着いてはいたけど、小学校を上がる頃までは多少発作が出てた。中学に入ってからはそれもほとんどなくなっていった。
それでも、部活には入らなかった。


「いいんじゃない?」
「え」
「ちぃがやりたいと思うなら」


忠くんに肯定されると思わなくて、間抜けた声が出た。

完成された他人の群れに飛び込むのは、今も少し怖い。迷惑をかけてしまうかもと思うと、踏み出す事は躊躇われた。
だけど、他人が群れてなにか楽しそうにしているのは、羨ましかった。


「いいの?」


蛍ちゃんをみると、納得はしてない顔。だけど、きっと背中を押してくれる。


「…ちぃが決めることなんだから、僕たちがとやかく言うことじゃないデショ」


何事もやってみなきゃわからない。そして、それを選択するのも私。
二の足を踏む私を1番に助けてくれるのは、いつだって蛍ちゃんだった。


「俺はちぃがどんな部活に入っても応援するよ!」


でも、その先に進むのは私自身。
いつまでも甘えてちゃダメだ。


「部活、考えてみる」


高校では思い出作りたい。
まだ最近だからわからないけど、いつか大人になってから卒業アルバムを開いて「こんなこともあったなぁ」なんて、思い出に浸りたい。

中学のアルバム見ながらお母さんが嘆いてたんだもん、写真が少ないって。それくらい仕方ないよね。部活に入ってなかったら、修学旅行とか文化祭くらいしか写真に写れないんだもん。


「無理だけはしないでよ。倒れたっていつも助けられるワケないんだから」
「そんなほいほい倒れないよ、失礼な」
「そう言って倒れたのは誰でしたっけー?」
「ちょっと頭押さえつけないでよ!縮むでしょ!」
「ちょうどいい高さに頭があったからさぁ」
「全然いい高さじゃない!」


こうしてわいわい言いながら帰れるのは、もう少しで終わり。2人は部活で忙しくなるから、これからは1人で帰ることになる。中学の時もそうだったから今更感傷に浸ったりなんかしないけど。
やっぱり、少しさみしい。


「2人は部活の見学いかなくていいの?」
「どっかと迷ってるならまだしも、決まってるなら今更見学する必要ないデショ」

蛍ちゃんの迷いない言葉に私は首をかしげた。


「そんなもんなの?」
「さぁ?」


忠くんも首をかしげた。


「なにやってるの」
「決まってても見学する人はいるし、今からもう入部する人だっているから、入部しないのと思って?」
「仮入期間に行く必要はないよ。体験みたいなことしかしないだろうし」
「ふーん」


部活経験がないからよくわからないけど、そんなもんなのかな。


「ほら、帰るよ」


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