黄金川&作並

目の前には、見覚えのあるでこぼこコンビ。ついでに言うと、そのコンビは私の天使でもある。
これが声をかけずにいられようか。否!

「黄金ー作並ー」

かけないわけないでしょう!
呼ばれて振り替えるのとかめっちゃ可愛い。2人ともお互い側から振り返ったって言うかそのまま顔合わせたって言うかもう!かわいい!

いつも思ってたけど、すっごいでこぼこコンビだよね。黄金がデカいのか作並が小さいのかはわからないけど。

「柏手さん!」
「どうしたの?」
「舞ちゃん先輩から次の部活までに必要な買い出し頼まれたのさ」
「部活じゃないのに行くの?」
「行くよー、それが仕事だからねぇ」

暇だから買い出し任されると都合がいいだけなのは内緒だ。もしもこれがにろ先輩にバレたら、きっとパシられまくるに違いない。

「柏手さんはなに買いに行くんスか?」
「ドリンクと洗濯洗剤と空気入れ」
「じゃあショップ行くの?」
「そうそう」

買うって言っても部費から落ちるし、指定日配送にしてもらうからなにも困らないんだけどねー。

非常に簡単なお仕事である。

「なら一緒に行こうよ!」
「そスよ!」
「え、なになに、2人も買い物?」
「俺は暇潰しっス」

おいこら黄金。迷惑なことをするんじゃない。あんたデカいからすぐにどこの生徒かバレるんだからね。

「僕はシューズが合わなくなってきたから」
「お!それはいいことだね!」

擦りきれたのかサイズが変わったのか。それはわからないけど、いいことに違いない。

「俺も!えっと、サポーター見に!」
「はいはい」

明らかな黄金の言い訳に、もう笑うしかない。なんだそれかわいい。

なんだかんだでこのでこぼこコンビはこのくらいでちょうどいいのかもしれない。女子かと思うくらいぽやぽやしてる作並だけど、黄金の天然と合わせるとそこらの男子よりしっかりしてるのがわかるし…

「ねぇ」
「なに?」
「作並はまだ綺麗だよね…?」
「え?なんのこと?」
「作並くん風呂入ってねぇんスか?」
「入ってるよ!」

うん、大丈夫そうだ。
たぶん黄金はそんな心配いらない。というか、今のでわからなかったなら大丈夫だろう。

「いきなりどうしたの?」
「気にしないで!なんでもないからさ!」

説明なんてできるか!そんなことしたら作並を私が汚すことになるじゃない!ムリムリ!そんなことできないね!
少なくとも卒業するまでは私が作並を守る。

「日がくれると寒くなるよ!早く買い物済ましちゃおう!」
「そスね!」
「うん!」

今のメンバーでやれるのは、前と一緒ならたぶんインハイまで。にろ先輩が春高まで残ってくれる可能性はかなり低いし。
にろ先輩はすっごいムカつくけど、にろ先輩好きな2人がへこむのは見たくない。だから私もできる限りをしたい。

「黄金!」
「ハイ!」
「まずはトス頑張るんだよ!」
「ハイス!」
「作並!」
「え?はい!」
「えっと、無茶はしないこと!」
「?はい!」

黄金はいつもからまわってるけど、作並はそんなことないから言うことなかった。シクった。不思議そうにしてるし。

「私ももっとちゃんとフォローできるようにする!」
「もう充分だよ!ね、黄金川くん」
「そスよ!充分フォローしてもらってマス!」
「まだまだ舞ちゃん先輩には遠く及ばない…あと、ボール拾いうまくなる!」

コートに立てないけど、連れていってもらうんじゃない。私も一緒に行くんだ。ベンチに入る入らないじゃなく、そこに私の意思があるかどうか。

「でもその前にシューズ見なきゃ!」
「ドリンクとか買うんじゃないの?」
「買うけどシューズなかったら練習にもならないでしょ!」
「そうっスよ!いいの見つけな…は!こうして話してる間にシューズなくなってるかも…!!」

そんなわけあるか。

「そんなわけないでしょ」
「でもなくならないってこともないし」

でも面白そうだから乗っかってみるか。

「ならショップまでダッシュで行くぞー!」
「え!?」
「ウス!!」
「ホントに走るの?え?」

作並を置いて黄金と2人で走り出す。
つーか黄金足はや!長いからか!ど天然のくせにムカつく!

「ちょっと待ってよー!」

なんだかんだで作並も走ってるし。
つーか追い付かれてるし!作並も足はや!運動部さすがだな!

「あっははは!」
「うえっ!?なんでいきなり笑ってんスか?!」
「どうかしたの?!」

バカみたいに走ってるだけなのに、なんでかな。

「なんか今、チョー楽しいって思った!」

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