国見&金田一

「あれ?ねぇねぇ」
「なんだ?」
「あれって国見?」
「…そうだな」
「珍しいね、寒いのにひとりで出歩くなんて」

見る限りものっそい着込んでるんだろうけど、身長高いからそんなに着膨れて見えないんだよね。いいなぁ。

「声かけるか?」
「でもシカトされたらツラい」
「さすがにシカトはしないだろ」
「じゃあ声かけてみようか。国見ー!」

思いきって呼んでみたら、こっち見てすっごい嫌そうな顔された。

「…すっごい顔したね」
「な」

あ、でもこっち来てくれるんだ。絶対シカトされると思った。

「国見あけおめー」
「明けましておめでとう」
「おめでとう…で?なに?」

なんか、思った以上に不機嫌だ。

「いや、見かけたから声かけてみただけ」
「人の名前叫ばないでよ。恥ずかしい」
「それは国見が恥ずかしいって意味?私が恥ずかしいって意味?どっち?」
「どっちも」

失礼なやつだ!

「で、金田一はなにしてんの?」

私は無視か!いいけど!

「買い物頼まれて出てきたらさっき柏手と会った」
「え、金田一も?」
「え、なんでお前がそこ知らないの?」
「つーかお前も買い物?」
「弟が風邪引いちゃってさ、玉子ないから買ってきてって。あと晩御飯の野菜も」

なに作るかは聞いたけど、何が必要かは聞いてないんだよね。一通り買えばいいのかな。

「たしか柏手の弟ってまだちっちゃくね?」
「うん。だからお母さんがつきっきり」
「なら早く帰んないといけないんじゃない?」
「そんな高熱ってわけじゃないから大丈夫。金田一はなに買うの?」
「俺はかぼちゃ買ってこいって言われた」
「え、」

それは1玉なのか、カットなのか…

「金田一のおばさん思い付きで飯作るよな」
「帰ってなに食わされるのか…」
「え?コロッケとかシチューとかじゃない?」

あ、かぼちゃも買おう。

「お前は知らないからそう言えるんだよ…」
「おばさんは食材からは予想できない、とんでもないものを作るんだよ」

なにそれ、逆に興味ある。
比較的美味しい食材であるかぼちゃが一体どう変化するのか…ダークマターにでもなるのか?

「金田一、それ写メって送って」
「は?」
「できたら食べてみたい」
「は!?」
「ここに勇者がいた」

別に食べられないものじゃないでしょ。金田一が生きてるんだから。

「あと国見は?なんで歩いてるの?」
「歩いたら悪いの?」
「ああ!そうじゃなくて!なんか買いに来たの?」

言葉間違えた!

「…姉貴のパシり」
「国見お姉さんいるの?!初耳!」
「柏手に言う必要ないだろ」
「え、でもなんか意外…」
「そうか?」
「でも国見のお姉さんとかめっちゃ美人そう」

国見が既に美人枠だからな。これでもうちょっと目ぇ開いてくれたらイケメンなんだろうけど、いつも半開きだからなぁ…もったいない。
まぁタイプじゃないけど!

「美人ではあるな」
「えー!見たい!」
「やだ」
「写メ!」
「取ったら金取られるからやだ」

なにそれ。

「…まじ?」

身内だよね?そんなことなかなかなくない?

「国見の姉ちゃん読モだから」

読モ!なにそれ!一時期やりたいと思ったけど私なんかじゃ無理だって諦めたやつか!

「でも家族じゃん!」
「バレー部経由で素の写メが拡散されるのを防ぐ為らしい」
「あー…」

女子でも国見にお姉さんがいるってわかったら気になるのに、男子ならもっと興味あるよね。で、写メが見知らぬ人に行き渡って勝手にネットに乗ったりなんかしたら困るってことだよね。

「菓子くらい自分で買えっての」
「まぁまぁ」
「じゃああんまり喋ってたらヤバくね?」
「…捕まったって言う」
「俺か?!絶対に俺って言うなよ!?」
「え、なんかわかんないけど私もやだ!」

金田一がそんなに拒否ルってことはたぶん本気でヤバイやつだ!たぶん!

「柏手は紹介しといてやる」
「それ紹介じゃない!生け贄だよ!」

とりあえず買い物して帰らないと私も怒られそうなので、そろそろ買い物にいかないと。

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