日向
「鳴子さん!」
待ち合わせ場所でぼーっとしてると、日向が血相を変えて走ってきたから正直何事かと思った。
「すいません!遅くなりました!」
「時間には遅れてないよ」
「でも鳴子さん待たせちゃったし」
「気にしてないから、大丈夫」
「それに、なんかおれにつき合ってもらうみたいになってるし」
「私が頼んだことだからいいの。行こう?」
バレーについて、少し興味をもった。
学校でもいろいろ教えてくれる人はいるけど、なにぶんテンションが常に高くてめんどくさい。悪い人じゃないけどめんどくさい。だから道具については日向を頼ることにした。
「鳴子さん、なんでバレーに興味持ったの?やっぱり小さな巨人?」
「…なんとなく」
うるさいくらいに声をかけてくる人が偶然バレーをしていて、なにか新しいことをしてみようと思ったときにバレーが耳についただけ。
きっと、耳についたものならなんでもよかった。
「なんでもいいか。鳴子さんが興味持ってくれたなら!」
それでも、日向がやけに嬉しそうにしてくれるから、バレーでよかったのかもしれない。
「レシーブうまくなった?」
「まだあんまり…でもこれから練習してもっとうまくなる!それで影山をギャフンと言わせる!」
「頑張れ」
「それ以外にもサーブとかブロックとか、いろいろやらなくちゃいけないんだけど」
日向はやらないといけないことがいっぱいあるらしい。まだ1年生で、中学の時は満足な練習ができなかっただろうから、延びしろはたくさんあるんだろう。
「日向はどこにいるの?」
「え?どこって…ポジション?」
「そう、それ」
「MB…鳴子さんわかる?」
「最近勉強してる」
「本当はエースになりたいんだけど」
「前から言ってたよね」
「うん。でもまずはまともに繋げられるようになる。わがままはそこから!」
「うん」
少しの間会わなかっただけなのに、男の子はすぐに成長するらしい。
「鳴子さんが元気そうでよかった!」
「そう?」
「だって中学の時より楽しそう!」
楽しそう、かな。
「おれ、鳴子さんに言ったこと後悔してたんだ」
「…なにかあったっけ?」
「泣かないの?って聞いたこと」
そう言えばそんなこともあった。
あの時はなんのことかわからなかったけど、今なら酷い状態だったんだろうと思う。
「気にしてない」
「後から聞かれたくない事だったかなとか、鳴子さんの事傷付けたのかなとか、考えた」
「心配してくれたんだよね」
日向は人が思ってるよりいろいろ見てるから、だからあの時も気付かれたんだろう。
「あの時私が気付けたら日向が悩まなくても済んだのに、気付かなくてごめん」
「鳴子さんは悪くない。おれが聞かなければよかったんだから」
「日向、大丈夫」
謝ってもらう必要はない。
「ありがとう。連絡だってずっとしてなかったのに、またこうして話してくれてありがとう」
「おれこそ!鳴子さんとまた話せて嬉しい!ありがとう!」
「もうちょっと私がバレーに詳しくなったら、一緒に試合見に行こう」
「もちろん!あ、おれの試合も見に来てよ!」
「うん、必ず行く」
私みたいなのと、前と変わりなく接してくれることがこんなに嬉しい。
過ぎてしまったことは変えられないけど、これからはちゃんと返していきたい。少なくとも、こうしてまた話せるようになった日向には。
「じゃあ、行こうか」
「うん!」
また1歩、踏み出す。
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「鳴子さん!」
待ち合わせ場所でぼーっとしてると、日向が血相を変えて走ってきたから正直何事かと思った。
「すいません!遅くなりました!」
「時間には遅れてないよ」
「でも鳴子さん待たせちゃったし」
「気にしてないから、大丈夫」
「それに、なんかおれにつき合ってもらうみたいになってるし」
「私が頼んだことだからいいの。行こう?」
バレーについて、少し興味をもった。
学校でもいろいろ教えてくれる人はいるけど、なにぶんテンションが常に高くてめんどくさい。悪い人じゃないけどめんどくさい。だから道具については日向を頼ることにした。
「鳴子さん、なんでバレーに興味持ったの?やっぱり小さな巨人?」
「…なんとなく」
うるさいくらいに声をかけてくる人が偶然バレーをしていて、なにか新しいことをしてみようと思ったときにバレーが耳についただけ。
きっと、耳についたものならなんでもよかった。
「なんでもいいか。鳴子さんが興味持ってくれたなら!」
それでも、日向がやけに嬉しそうにしてくれるから、バレーでよかったのかもしれない。
「レシーブうまくなった?」
「まだあんまり…でもこれから練習してもっとうまくなる!それで影山をギャフンと言わせる!」
「頑張れ」
「それ以外にもサーブとかブロックとか、いろいろやらなくちゃいけないんだけど」
日向はやらないといけないことがいっぱいあるらしい。まだ1年生で、中学の時は満足な練習ができなかっただろうから、延びしろはたくさんあるんだろう。
「日向はどこにいるの?」
「え?どこって…ポジション?」
「そう、それ」
「MB…鳴子さんわかる?」
「最近勉強してる」
「本当はエースになりたいんだけど」
「前から言ってたよね」
「うん。でもまずはまともに繋げられるようになる。わがままはそこから!」
「うん」
少しの間会わなかっただけなのに、男の子はすぐに成長するらしい。
「鳴子さんが元気そうでよかった!」
「そう?」
「だって中学の時より楽しそう!」
楽しそう、かな。
「おれ、鳴子さんに言ったこと後悔してたんだ」
「…なにかあったっけ?」
「泣かないの?って聞いたこと」
そう言えばそんなこともあった。
あの時はなんのことかわからなかったけど、今なら酷い状態だったんだろうと思う。
「気にしてない」
「後から聞かれたくない事だったかなとか、鳴子さんの事傷付けたのかなとか、考えた」
「心配してくれたんだよね」
日向は人が思ってるよりいろいろ見てるから、だからあの時も気付かれたんだろう。
「あの時私が気付けたら日向が悩まなくても済んだのに、気付かなくてごめん」
「鳴子さんは悪くない。おれが聞かなければよかったんだから」
「日向、大丈夫」
謝ってもらう必要はない。
「ありがとう。連絡だってずっとしてなかったのに、またこうして話してくれてありがとう」
「おれこそ!鳴子さんとまた話せて嬉しい!ありがとう!」
「もうちょっと私がバレーに詳しくなったら、一緒に試合見に行こう」
「もちろん!あ、おれの試合も見に来てよ!」
「うん、必ず行く」
私みたいなのと、前と変わりなく接してくれることがこんなに嬉しい。
過ぎてしまったことは変えられないけど、これからはちゃんと返していきたい。少なくとも、こうしてまた話せるようになった日向には。
「じゃあ、行こうか」
「うん!」
また1歩、踏み出す。