縁下

夏も直前。直前過ぎて雨が降ると湿度がものすごく不愉快。出来ることなら空調のちゃんとしたところで集中したい。だけど学校にはクーラーなんてないし来ないといけないし、課題だって終わらせないといけない。しかも受験だって控えてる。あーもー。

「暑い」

暑いと集中したくてもできない。ベタつくしイライラする。

「大丈夫?」
「だいじょばない」
「だよな」

運動部だからか、縁下は特に堪えてるようには見えない。爽やかマンめ。部活やってて成績もキープしてるとかホント尊敬するわ。

「俺に教えられるとこある?」
「んー…じゃあここ」
「ここか」

あいにく私は頭がよくない。必死にならなきゃ特進にいられないし、部活をしたり余計なことを考えてる暇だってない。

「あー、そうなるってことは、こっちは…」
「そう」

縁下に教わるのはわかりやすいんだけど、なんか悔しい。そう思うのも私が勝手に敵対心を燃やしてるからなんだけど。

「あと水分とれよ」
「え?」

ノートから少し離れたところに置かれたスポーツドリンク。

「暑いって言ってるわりにあんまり汗かかないだろ?それ病気になりやすいから気を付けろよ」
「…ありがとう」

いや、別に汗かきたくないからちょうどいいけど。

「それちゃんと飲めよ?」
「うん、せっかくもらったし飲むよ」
「柏手はほっとくと無茶するイメージがあるからなぁ」
「そんなことないけど」

そもそも縁下とそんなに話してなくない?

「気付いてないから心配になるんだよ」

それなのになんでこんな心配されてるんだろう。あ、部活で世話焼きポジションだから?

「…別に世話焼きとかそういうのじゃないから」
「え、違うの?」
「違うから」

じゃあなんで?

「まぁわかんなくてもいいけど、無理ない程度に頑張れよ」
「うん、ありがとう?」

…いや。だから結局なんだったの?

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