小見
「眠くない?」
「眠いな」
「寝たい」
お昼を食べたあと、授業が始まるまでのホンの少しの時間帯。小見とはこんな話ばっかりしてる。
「やっぱり食後の昼寝の時間を作るべきだと思う」
お互い午後の授業は鬼門でしかない。それが英語とか科学なんて負け戦もいいところ。
だってお昼寝タイムになるもん。
「あ、どっかの国のどっかの会社なんだけどさ」
「おお」
「お昼寝タイムを設けてるらしいよ」
「マジで?!」
「テレビで見たからマジなんじゃない?」
食後のお昼寝は仕事効率があがるらしい。勉強効率もたぶんあがるから、是非導入してほしい。
でもまぁ、それは期待するだけムダだろうね。だって日本だもん。
「いーなー。就職するならそこがいいな」
「海外だよ?」
「英語頑張る」
そう言った小見の成績は、悪くはないけど特別いいわけでもない。真ん中らへんをフラフラしてるって聞いたことがある。
「受験まで余裕ないんだから本気で頑張りなよ」
「ぐっ…明日から本気出す」
「それいつまでも出ないやつー」
「うるせー、今日は試合あんだよ」
「それも頑張って」
「おー」
私に言わせたら、受験があるのにまだ部活を続けてるのがすごい。私はそんな熱心になれるほど打ち込めなかったからなぁ…
「あ、梨食べたい」
「いきなりだな」
「あの雲がさ、梨に見えた」
「そうか?」
指差してもどれが梨に見えるのかわからないんだろう。変な顔をして空を見てから、諦めたように目を閉じた。
言い出した私もどれがそう見えたのかよくわかんなくなってるから、別に気にしない。
「梨狩りいきたい」
「受験あるのにいつ行くんだよ」
「わかんないけど、なんか狩りに行ってみたい」
「それだと熊とか捕りそうだぞ」
「この際果物じゃなくて、鹿とか猪でもいいや」
「ハンターにでもなるのかよ」
小見の1言で一昔前に流行ったゲームを思い出した。私肉焼くのめちゃくちゃ上手かったからね。
「なったら食に困らないね」
こんな軽いノリで話せるのも、狩りをしなきゃいけない事態にそうそうならないってわかってるから。
「たしかに」
本当にそうなったら、簡単に飢えると思う。
「梨狩りやったことある?」
「ねぇな。休みも部活やってるし」
「だよね」
「今度行くか?」
「シーズン終わるよ」
「梨じゃなくてもなんかあんだろ」
「そもそも卒業するじゃん」
「別に、来年なら来年みんなで予定合わせればいいだろ」
「今から来年のこととか」
「笑うなよ!」
受験もまだ終わってないのにもう来年の話してるとか、親だけじゃなくて鬼も笑うんじゃない?
「うん、でもみんなで行きたいね」
「だろ?同窓会みたいにしてさ」
「それだと何年も先だよ」
「いいんだよ」
こうしてくだらないことを話せる時間も、そう長くはない。多くの人が時間のムダと言うだろうこの時間こそ、私は大切にしたい。
「あ、先生きた」
「頑張って起きてようね」
「おー」
ひとまず、目の前の英語の授業で起きてることが目標。次のムダな時間を笑って話せるように。
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「眠くない?」
「眠いな」
「寝たい」
お昼を食べたあと、授業が始まるまでのホンの少しの時間帯。小見とはこんな話ばっかりしてる。
「やっぱり食後の昼寝の時間を作るべきだと思う」
お互い午後の授業は鬼門でしかない。それが英語とか科学なんて負け戦もいいところ。
だってお昼寝タイムになるもん。
「あ、どっかの国のどっかの会社なんだけどさ」
「おお」
「お昼寝タイムを設けてるらしいよ」
「マジで?!」
「テレビで見たからマジなんじゃない?」
食後のお昼寝は仕事効率があがるらしい。勉強効率もたぶんあがるから、是非導入してほしい。
でもまぁ、それは期待するだけムダだろうね。だって日本だもん。
「いーなー。就職するならそこがいいな」
「海外だよ?」
「英語頑張る」
そう言った小見の成績は、悪くはないけど特別いいわけでもない。真ん中らへんをフラフラしてるって聞いたことがある。
「受験まで余裕ないんだから本気で頑張りなよ」
「ぐっ…明日から本気出す」
「それいつまでも出ないやつー」
「うるせー、今日は試合あんだよ」
「それも頑張って」
「おー」
私に言わせたら、受験があるのにまだ部活を続けてるのがすごい。私はそんな熱心になれるほど打ち込めなかったからなぁ…
「あ、梨食べたい」
「いきなりだな」
「あの雲がさ、梨に見えた」
「そうか?」
指差してもどれが梨に見えるのかわからないんだろう。変な顔をして空を見てから、諦めたように目を閉じた。
言い出した私もどれがそう見えたのかよくわかんなくなってるから、別に気にしない。
「梨狩りいきたい」
「受験あるのにいつ行くんだよ」
「わかんないけど、なんか狩りに行ってみたい」
「それだと熊とか捕りそうだぞ」
「この際果物じゃなくて、鹿とか猪でもいいや」
「ハンターにでもなるのかよ」
小見の1言で一昔前に流行ったゲームを思い出した。私肉焼くのめちゃくちゃ上手かったからね。
「なったら食に困らないね」
こんな軽いノリで話せるのも、狩りをしなきゃいけない事態にそうそうならないってわかってるから。
「たしかに」
本当にそうなったら、簡単に飢えると思う。
「梨狩りやったことある?」
「ねぇな。休みも部活やってるし」
「だよね」
「今度行くか?」
「シーズン終わるよ」
「梨じゃなくてもなんかあんだろ」
「そもそも卒業するじゃん」
「別に、来年なら来年みんなで予定合わせればいいだろ」
「今から来年のこととか」
「笑うなよ!」
受験もまだ終わってないのにもう来年の話してるとか、親だけじゃなくて鬼も笑うんじゃない?
「うん、でもみんなで行きたいね」
「だろ?同窓会みたいにしてさ」
「それだと何年も先だよ」
「いいんだよ」
こうしてくだらないことを話せる時間も、そう長くはない。多くの人が時間のムダと言うだろうこの時間こそ、私は大切にしたい。
「あ、先生きた」
「頑張って起きてようね」
「おー」
ひとまず、目の前の英語の授業で起きてることが目標。次のムダな時間を笑って話せるように。