芝山

世の中には様々な[狩り]がある。
元々はウサギとかイノシシを捕まえるための[狩り]だったんだと思う。リンゴ狩りやブドウ狩りと言った果物や、貝を取る潮干狩りもわかる。でも紅葉狩りがいまいちわからない。
だって食べないじゃん。食べないのに狩りっておかしくない?狩ったら怒られるよね?だんだん狩りがゲシュタルト崩壊してきた。

「柏手さん、難しい顔してどうしたの?」
「え?あー、ちょっと考え事?」
「僕にわかるかもしれないし、聞いてもいい?」
「うーん」

たいしたことじゃないんだけど、わかるのかな?ものすごく気になるけど。でも芝山くんがわからないとも限らない。
ダメもとで聞いてみようかな。

「紅葉狩りの[狩り]ってなにかなーって思ったの」
「狩り?」
「うん。食べるわけでも取るわけでもないのになんで[狩り]なのかなーって思って」

そもそもこの考え方がおかしいのかもしれない。
なんとなくのイメージで[狩り]って言葉を使ってたけど、元々は違う意味なのかも。そうなったら本当のところはどこにあるんだろう。先生に聞けばわかるかな?

「あ、調べてみようか?」

そう言うと芝山くんはスマホを取り出した。
いいな、スマホ。私まだ2つ折りなんだよね。早くスマホにしたい。

「出てきたよ」
「なんだった?」

芝山くんの画面を覗こうと近付くと、芝山くんも携帯を私に見易いように近付けてくれる。

「え、漢字がそもそも当て字なんだ」
「知らなかったね。あ、あったよ」

少しだけ画面を進めると、答えはすぐに出てきた。

「尋ね探し、採集したり、観賞したりすることみたいだよ」
「お花見も含まれるんだね」
「へぇー」

日本語は奥が深い。他の言語もそうなのかもしれないけど日本語は覚えるのが大変って聞くから、こういうところがやっぱり難しいんだろうね。

「柏手さんはスマホ持ってないの?」
「まだガラケー。スマホは2年になってからだって」
「そうなんだ」
「芝山くんはスマホなんだね」
「うん。部活に入ったら帰りが遅くなるから連絡用にって」
「あー、私中学から使ってるからかも」
「そうなんだ」

携帯を持つ理由なんてみんな似てるのかな。あとは時代の変化でスマホかガラケーかで割れたんだろう。

「いいなースマホ」
「じゃあラインできない?」
「うん、非対応」
「そっかぁ」

まぁガラケーで困ることなんて今のところないからいいけど。

「ねぇ、アドレス交換しよう」
「え?」
「柏手さんとまだ交換してなかったよね?」
「うん」

どうやらスマホには赤外線がついてないらしい。私がアドレスを表示してそれを芝山くんが打ち込んで、少しするとメールが届いた。
もちろんそれは芝山くん。

「ありがとう」
「ううん、こちらこそ」

なんでお礼なんだろう?

「じゃあ僕部活あるから」
「うん、頑張って」

入学して半年。まさかこんな季節にアドレスが増えることになると思わなかった。あと紅葉狩りが解決してよかったと思いました。
…あれ?感想文?

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