前手当てした降谷先輩にこの前改めてお礼をしたい、ということでメールアドレスを交換した。
その後何回か一緒に遊びに行った。降谷先輩はお茶目なとこもあるけど根はなんか「正義は勝つ」って感じ。わかる?ってごめん、よくわかんないよね。
ゲーセンに行ってもゲームの対決は必ず私が勝つし、でも頭を使うゲームは降谷先輩が勝つし。大体降谷先輩は頭が良すぎるんだ。なんか聞くところによると定期テストも実力テストも全て85点以下を取ったことがないそうだ。いやでもそれだったら私の方が勝ってるな…ちなみに私は生まれてこの方テストで95点以下を取ったことがない。
何回か遊ぶうちに、電話番号も交換した。暇な時は電話するしメールもする。まるでカレカノだが私には一切そんな感情はない。たぶん降谷先輩も手のかかる妹みたいな後輩だと思ってくれているだろう。ちなみに私は頭を撫でられるのと髪の毛を触られるのが好きでたまりません。
三年生が引退してから部活がかなり忙しくなってきた。うちの剣道部は実力主義で、実力がない奴はすぐに見捨てられる。というわけで二年生は全員退部していて、私たち一年生も10人程しかいない。三年生はまだ居た方で18人くらいだ。ちなみに私は部長です!!
降谷先輩も受験勉強で忙しいのか連絡を取る回数も遊ぶ回数も極端に減った。学校でたまに会ったら話したりする程度だ。
剣道の全国大会で優勝して親にお小遣いを貰ったので神社へ行きお守りを買う。なんか受験合格のお守りがなかったのでとりあえず厄除けのお守りを買った。そしてお賽銭を入れ鐘を鳴らし、手を叩きお願いをする。

(どうか降谷先輩が死にませんように)

数秒目を瞑り、開けるときれいな着物を着たこの世のものと思えない程美しい男の人がこちらを見て微笑んで、私の持っているお守りに向かって指をくい、と曲げた。するとお守りがその人の元へ飛んでいく。
男の人はお守りを手のひらで包み込むと、そっと息を吹きかけた。光るお守りは私の手元に戻ってきて、もう一度男の人を見るといなくなっていた。
私はあの神々しい光景をただ口を開けて見ていることしかできなかった。息を吹きかけたのって、あれってまさか…ゴッドブレスってやつ?ヤベェ…マジモンの厄除けのお守りじゃねーかこれ…あれ絶対神様だよね…霊とかはそこらへんにうじゃうじゃいるけど生まれて初めて神様見た…

後日、降谷先輩に会うと作ったアップルパイと共にお守りを渡した。

「はい、降谷先輩。受験頑張ってくださいね」

「お、ありがとう!…ってなんで厄除け!?」

「合格祈願のお守りがなかったんです」

「あ、これうまい!お前が作ったの?」

「聞けよ」

とりあえず神のご加護を受けたお守りなので絶対つけろ、外すなよ?外したら死ぬぞ?的なことを言って渋々という感じだがつけてもらった。でも珍しい、球の中に護符が入っていてストラップの形のオシャレな感じのお守りなので付けるのに苦はないだろう。
まあアップルパイを美味しいと言ってくれたのは嬉しかったので、降谷先輩が受験合格したらパーティーでも開こうかと思う。





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