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「えーっと、まず何から聞けばいいのかな?誰か説明出来る?」
「では私から説明させていただけますかな主殿」
「……お、おおう、え…明石?」
「一期一振です」



ピシッと伸ばされた背筋に普段の怠慢さは微塵も感じない中身一期な明石国行は、恐らく元凶なのだろう人物を一瞥し、徐に口を開いた。



「あれは、数刻程前の事です――」



あ、これ話が長くなるパターンや。嫌と言う程聞かされてきた一期の小言と良く似たその話し方にそれを瞬時に悟った私はそっと目を逸らした。




長い長い説明を要約すると、我が本丸に角でぶつかると中身が入れ替わるっていうアレが(一体誰が言い出したのかは予想が付く)私が定例会議でちょっと本丸を留守にした間に流行ってしまったらしい。一部を除き、面白がった奴等が次々と角でぶつかり合い、中身を入れ替えていったのだという。


そして悲劇は起こってしまった。最初は再び角でぶつかり合えば自身の身体に戻れたらしく、それがより面白さを彼らに与えたのかどんどんと中身を入れ替えていたら、ある時を境に元の身体に戻れなくなっていったのだそうな。




何だそれ楽しそ…げほんごほん。大変な事じゃないか。一期の大体の説明を終えて真顔でそう言い切った私の背後で、誰かが膨大に吹き出した。

そっと振り返ると、あの薬研が。もう一度言おう、あのニキニキしい薬研藤四郎が!畳をバンバンと叩きながら身悶えているではないか。どうした兄貴。ああああ、ほら!そんな普段見せない姿を晒すから腕組した鶴丸に蹴飛ばされたじゃない――ん?



「鶴ま…え?」
「悪いな大将、俺っちが」
「ぐっ…やるな、俺…」


まさかの薬研と鶴丸中身チェンジ中でしたか。いや、そこは入れ替えていたら駄目でしょうよ。悪戯して「どうだ驚いたか?」って言う薬研とか、頼りにしかならない鶴丸とか、何かヤダ。


「発案者は鶴丸の旦那だ」
「…ほぉー?」
「そ、そう凄むな主。俺はただ君から借りた書物で読んで面白そうだと皆に話しただけだぞ?中身の入れ替わった者同士が互いの身体を取り戻すために拳と拳を――此処では刀同士を交える、とな!」



作品のストーリーが改竄されている…だと!?

鶴丸に貸した漫画はそんなアクション系の作品では無かったはずなんだけれど。てかそもそもあれ純愛少女漫画…

皆の視線が「お前か!」と言うみたいに私に向けられたけれど、え、これは私の所為なの?違うよね?鶴丸の所為だよね?それに乗ったの皆だよね?



「確かに漫画を貸したのは私で、それが要因に入るのは認めるけど、途中から調子に乗ったのは貴方達でしょうが。責任転嫁良くない」


正論をぶつければ数多の影がその場でのたれた。ふっ…



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