ルピナスをあなたに
最終的に彼女の心が手に入らなくても、別に構わなかったんです。ええ、私は彼女を愛していますからね。願わくば振り向いて欲しくて、慣れない言動も沢山しましたが、まあ、概ねいつも通り。これが、彼女の心の片隅にでも日々樹渉という存在が残ればと、みっともなく足掻いてみた結果です。
頬を伝う涙に彼女がぎょっとする。まぁ嘘ですけどね!なんて表現でくるめば、そのまま誤魔化されてしまう愛しいひと。純粋で、ひたむきで、まっすぐな、そんな貴女が私は愛しいんですよ。
「もう、ホントなんなんですか……」
「ですから最初にお伝えしたでしょう?貴女をずっとお慕いしておりましたと。愛しい人の瞳に映っていたいと願うのは普通のことでしょう?」
「だからその方法が普通じゃなさすぎるんだってば」
盛大に溜息を吐く彼女の目の前に、花をもう1輪。
藤の花を逆さにしたような形のそれは、私の心を映す花。
「ルピナスの花言葉をご存じですか?」
「ルピナス?」
「この花の名前です。花言葉は"あなたは私の安らぎ"」
私の心を貴女が癒し救ったように、私も貴女にとっての安らぎとなりたいんです。……なんて、ちょっと格好つけすぎで、声に出す勇気はまだありませんけど。自分の言葉で自分の感情を語るのはどうにも慣れません。
「この花を貴女に。願わくば同じ気持ちでいて欲しいのですが」
「いやあ……それはないかな」
「ああ、ひどい!ですがめげませんよっ、いつか必ず貴女を振り向かせてみせます!」
今はただ笑ってくれるだけでも良い。
愛の反対は無関心ですからね。認識されないよりはよほど幸せです。
いつか私の愛に振り向いてくれる日まで、貴女に愛を伝えましょう。
「次の公演のチケットも送りますね!」
「や、それは別に良いっていうか」
「遠慮なさらずに受け取ってください、愛しいひと……☆」
「結構です!!」