じれったい温度


寮にとんでもない物が送り付けられたと瀬名から連絡を受け、添付されていた写真に目を見開いた。
芸術センスの欠片もない加工をされた僕と泉本の写真、写真自体はいい、僕の我儘で通した企画だ。だが問題はそこに施されていた加工である。どうやったらこんなに品のない加工ができるのか。腹立たしいなどというレベルではない。

「七種ッ!!聞こえているのかね!!!」
『ああはいはい、さすがおふたりは仲がいいですなあ!』

のらりくらりと適当なことを言う七種に怒りをぶつけていれば、どうやら泉本の方にも同じものが送り付けられたらしい。ディスプレイ越しに見る彼女は数日前に見た姿とそう変わりなく安心するが、今はそれより七種に文句を言う方が先だ。あんなものは何とかして処分させねばなるまい。


*****


「斎宮もあんな顔するんだねぇ、すごい優しい表情でびっくりしたよ」
「……忘れてくれたまえ」
「わざわざ連絡してやったのにそんな態度はないんじゃない?」
「連絡をくれたことには感謝しているよ。処分されたところを確認できていないからまだ気が気じゃないがね」

パリから日本へ戻る飛行機で瀬名と乗り合わせれば、自然と先日寮に送り付けられたあの忌々しい物の話になった。日本と海外の往復はそれなりに身体にくるが、これも自分の選んだ道だから仕方ない。とは言え移動時間くらい少しでも身体を休めたいのだけど。

「俺もすぐフィレンツェに移動だったから処分されるところまでは見てないけど。鬼龍とかからその後連絡はなかったわけ?」
「いや、特にもらってはいないね。泉本からも何も言われていないから、無事に処分はされたのだろうと信じたいところだが」
「ふぅん」

日本に着いたら寮の部屋を確認して、問題なければ泉本のマンションへ顔を出そう。
こちらからの土産話も土産もないが、彼女の新作を読みたい気分だ。

「……幸せそうで何よりなんじゃない」
「瀬名?何か言ったかね」
「べっつに。そうだ、これあげる」
「……なんだね、これは」
「お土産のバウムクーヘン」
「からかっているのかね!?」



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