#3.視線の先



「サラ、これ似合いそうだよ」

「あら、私はこっちがいいと思うけど…」

「あ、あの…ちょっと…」



私は今、ユウナとルールーと一緒に服を買いに来ている。

ティーダやワッカに連れられてみんなと合流した後、アーロンがその服じゃ流石に旅は無理だろうと言い出したのだ。

私だって部屋着で旅するつもりなんてない。

寧ろそんなのは嫌だ!

ティーダは今まで溜まっていたことをアーロンに話したそうだったしルカで一旦自由行動を取ることになった。

もちろん服を揃えた後は武器も買わなければならない。

私に戦闘なんて出来るのかなぁ…。



「ね!サラ、こっちがいいよね?」

「うーん…ちょっと私には可愛すぎない?」

「そうかなぁ?わたしは似合うと思うけどな」



ユウナが持ってきてくれる服はどれもふわふわした可愛い感じのもの。

今までそういう感じのは着たことがなかったから、なんというか合わない気がしてならない。



「ならこれはどうかしら?」

「…そんな露出私には出来ません」



一方ルールーは自分が着てるような露出モノばかり。

これはどう考えても無理。

結局自分で選んで、ブーツにデニムのショートパンツ、上はパーカーみたいなものにした。

武器は、剣道とかの経験もなかったからすぐ使えるように銃を装備することになった。

これなら魔物に近づかなくてもいいしね。



「お待たせしました〜!」



着替えて集合場所のミヘン街道の入口へ行くとワッカとキマリが待っていた。



「おぉ〜サラちゃん、足細っ!」

「あはは、ありがとう!ワッカ。でもあんまり言うと怒られるよ?」



私はルールーを見つつ言った。

案の定ルールーは機嫌が悪そうにワッカを見ている。



「な、なんだよ…ルー…」

「別に、何も」

「やきもち、かな?」



ワッカとルールーを見てユウナが小声で話しかけてくる。

その表情はどこか楽しそうだ。



「たぶんね」

「でも、サラ達とはここでお別れ…かな?」

「え!?」



突然のユウナの言葉に驚く。



「だってサラもティーダもアーロンさんもわたしのガードじゃないし…元々ルカへはティーダの知り合いを探しにきたわけで、アーロンさんと出会えたんならここで三人とはお別れなんじゃないかなって。サラ達もわたしのガードになってくれたら嬉しいんだけどね」



そうか。

私は先のことを知ってるから、これから先はユウナ達と旅をして行くものだとばかり思ってたけど…。

ここで気安く「ガードになる」なんて言えないよ。

寧ろ…私にガードなんて務まるはずないよね…。



「待たせたな」



私が悶々と考え込んでいるとアーロンとティーダが戻ってきた。

ティーダはアーロンから色んな事実を聞かされたせいで、落ち込んでいるというか…不貞腐れている。



「俺はこれからユウナのガードを務める。そしてコイツらもだ」



アーロンは私とティーダを見ながら言った。



「…はい!?ちょっと…「アーロンさんがガードになってくれるなんて心強いよな!?」



反論しようとしたけどあっさりとワッカに遮られてしまう。

みんな異論はない様子だ。



「ちょっと!私もガードなんていいの!?」



ティーダはともかく戦闘経験皆無の私はマズイだろう。

足手纏いになること間違いなし、だ。



「ここでガードにならなかったらここに置いてけぼりだぞ?それでもいいのか?」

「う…それは…困ります…ね」



アーロンの言うとおり。

ルカに一人残されるわけにはいかない。



「それにちゃんと武器も買ってきてるじゃねぇか!」

「そうよサラ。あなた自分じゃ分かってないみたいだけど結構魔力あるのよ?」

「えぇ!?本当!?」



思わずルールーに聞き返す。



「本当よ。魔法も覚えるといいわ。黒魔法は私が教えてあげる。白魔法はユウナがいるし、ね?」

「うん。白魔法はわたしが教えるよ?サラ」

「私が魔法…すごい!二人ともありがとう!頑張るから!」



でも霊感とかそういう類のものもない私になんで魔力なんか…?

腑に落ちない点はたくさんあったがここは敢えて気にしないことにした。



「ところでサラ。なんだその服は…」



ガードの話が一段落したと思ったら今度は服のことでアーロンが何か言いたいらしい。



「ん?何って?」

「足、出しすぎだろう!?こんなことなら俺も付いて行くんだったな」

「…は!?これくらい普通だと思うけど!?」



何を言い出すのかと思えば…。

まるで父親だ。



「「は は は は は は !!」」



いきなり聞こえる笑い声。



「もう!ティーダもユウナもそんなに笑うことない……あ…」



『笑顔の練習』…だっけ…。

笑い声の聞こえた方を向くと私とは逆方向、ルカの街に向かって笑っている二人がいた。

その時、胸に覚えた違和感。

なんだろ…二人が一緒にいるとなんか…気に入らない。

ゲームしてる時はなんてことないのに。

へ、変だな…。

この感情に気付いちゃいけない。

そんな気がした。





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