#4.二つの心



随所に昔の都市の残骸が残る一本道──ミヘン街道。

ゲーム中でも長かったけど実際歩くとなると更に……



「長過ぎでは!?先が見えない…」



旅行公司にはいつ着くの!?

滅多に歩いて移動なんてしてなかったからだんだん足が疲れてきた…。



「もう疲れたのか?旅行公司はまだまだ先だぞ?」

「わ、わかってるよ」



隣りを歩いていたアーロンに言われ、プイッとそっぽを向いて答える。

私とアーロンは一行の最後尾。

先頭はキマリで、次にティーダとユウナ。

ワッカとルールーが続く。

さっき、ヒクリという女の子と母親に出会った。

親子はナギ節を楽しみにしているとのことだった。

『シン』を倒してもまた『シン』は生まれ変わる。

それがティーダには疑問らしく、それからずっとユウナと何やら話し込んでいるのだ。



「気になるんならお前もあいつらのとこに行けばいいだろう。同い年だしすぐ仲良くなれると思うぞ?」

「ひぇ!?」



アーロンには全てお見通しなのか、図星を言われ変な声を上げてしまう。



「ククッ…まぁサラはこの先のことを知っているんだろう?それがあってあいつらと深く関わらないと思っているんだったら俺は何も言わないがな」



この先のこと──永遠のナギ節が訪れる。

だけどティーダは消えてしまう。

それでもユウナはティーダを探して──



「…っ…」



なんだか遣り切れない気持ちになった。

ティーダが消えないで済む方法ってないのかな?



「アーロン!ちょっと前行ってくるね!」



どうすればいいかなんてわからないけど、なんとなくティーダと話してみようと思った。




***




おかしい…。

あのアーロンだぞ!?

オヤジが『シン』だとか言われてすぐには納得出来ないのは当たり前なんだけど…オレにはまだ気になることがあるんだ。

サラ。

10年間ずっとアーロンはザナルカンドにいて、オレ以外の人間と関わることなんてなかったのに、なんで行く宛てがないサラを連れてたんだ?

アーロンもザナルカンドからスピラに来て、そう日にちは経ってないはずなのに…。

それにサラは何か知ってる気がする。

初めてスタジアムで会った時も、ユウナ達と合流した時も、まるで知り合いに会ったみたいな雰囲気で…。

オレとどこか似てる感じもするんだよなぁ。



「不思議な子…だよね?」

「え!?」



そんなことを考えていたらユウナが話しかけてきた。



「サラのことだよ。わたしの知らないこと、たくさん知ってる気がするんだ。アーロンさんもそうなんだけど…サラは…もっと知ってる気がする」



正直驚いた。

だけどユウナもそう感じてるんならオレの考えも間違ってない気がする。

チラリ、と後ろを見ると何やらアーロンと楽しげに話しているサラ。

ちっ…最初からずっとアーロンとばっかりだな…。



「サラと話してみたい?」

「へ?」

「だって、さっきから気にしてるから。顔に出やすいタイプなんだね」



ユウナはクスクス笑いながら言った。



「そ、そんなことないって!オレはただ 「あ、チャンス到来!」

「は?」

「あの〜、私もまぜて頂けると嬉しいんですが…」

「わぁ!?」



いきなりのサラの登場に思わず声が裏返った。



「何!?私何かした!?」

「ううん、サラじゃないから大丈夫だよ」

「良かった〜!…ん?ティーダどうかしたの?」



突然のことに驚いて固まっているオレを覗き込んでくるサラ。

もちろんオレの方が背が高いからサラは自然と上目遣いになるワケで…。

…う…これは結構ヤバイ…。

初めて会った時はバタバタしてて顔よく見る暇なかったけど、サラって普通に可愛い。



「ティーダね、サラに聞きたいことがあるんだって」

「ちょ、ユウナ!?」

「…ティーダが…私に?」



オレを挟んでどんどん話は進められていく。

こうなったら仕方ない。



「サラってどこでアーロンと会ったんだ?」



気になることの一つを聞いてみた。



「え…えっと…ルカ、だよ?」



だけど言った後「しまった」と思った。

一瞬サラの表情が曇ったから。



「へぇ〜、それじゃあアーロンさんとも会って間もないの?」

「うん、そうなるかな。いきなり話しかけてくるんだもん、ビックリしちゃった」



そう言って苦笑するサラは、もうさっきまでのサラの顔に戻っていた。

オレ、何か聞いちゃいけないこと聞いちゃったのか…?

その後は三人で他愛無い話ばかりしていた。

食べ物は何が好き、とか。

でもオレにはサラが一つひとつ言葉を選んで答えてる気がしてならなかった。





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