若松君と小話
とある日の結葉の部屋にて。

────ピピピピ……

「あれ、千代ちゃん先輩から電話だ。何かあったのかな? ……もしもし、先ぱ」
『野崎ちゃああああん!! 聞いて、聞いて! 結葉くんが……結葉くんがああああ!』
「おーい結葉ー! 一緒にバスケの試合見ようぜー!」
「お姉ちゃん! 電話中だから静かに! ドアノブ壊れちゃう!──どうしたんですか、そんなに慌てて。あと、先輩慌てすぎて名前間違えてます!」
『あ、本当だ! ごめんね……えっと、今日の放課後、野崎くんに告白したんだ。その報告で電話したの』
「! 前の片思い大作戦の時に言ってた……千代ちゃん先輩、まさか……」
『頑張って伝えたの。野崎くんからはね……』
「ごくり……野崎先輩から……?」
『サインを貰いました』
「えっ」
『ちなみに、きちんと名前入りです』
「……千代ちゃん先輩」
『ん?』
「野崎先輩ってこう、クールで知的なイメージがあったんですけど……ただのナルシストなんですね!」

 この後めちゃくちゃ千代ちゃん先輩に怒られた。


 ※片思い大作戦とは、結葉と千代が定期的に行っている恋愛会議。主に互いの好きな相手の魅力を語って終わる。ファミレスで定期開催。