彩君はとても寂しがりなのだ。
だからああして私の温もりを求めた。
それを思うと私のような人間が彼の心の隙間を埋めれるか、いささか不安だが頼られれば責任を持って意向に沿ってあげたいと思う。……寂しいからと言って恋愛感情、関係の無いましてや未成年と成年の間柄でキスを交わすのは全く良くないがその点は私がコントロールしてあげればいいのかもしれない。できるか不安だが。

さて、問題の彩君だがあの一件以降怯えてこちらに近寄らなくなった。
近づいた距離がまた開いてしまった。きっと非常に反省している故に近づくことに恐怖を覚えるのだろう。私はなんとも思ってないし、それどころか彼の不安を取り除きたい一心だからとても困っていた所ある考えが浮かぶ。
私が近寄れば良いのでは?と。
作業中に考えついたこの案は、とてもベストな答えだと思い私は不安げになる猫をあやす様に彩君を抱きとめたり、頭を沢山撫でた。

彼を抱きとめ、私と同じシャンプーの香りがするととても心が満たされるし、頭を撫でるとこれが出来るのは自分だけだと思いまた満たされる。手を握っても同じ気持ちがじわじわと滲む。
きっと彼に尽くせている事に心嬉しく思うのだろう。
独善的だが、けどきっとこれは良い事。
困っている人間を救う、良い事なんだ。
今もこうして隣に座る彼の手を取り不安を取り除こうとしている。
私より少し小さな掌に指を絡ませテレビを観ていたら、彩君が控えめな声で話しかけてきた。

「……丸三音さん」
「どうした?」
「こんな事、いっぱいされたら変な勘違いしますよ……」
「勘違いとは?君と同じような事をお返ししているんだよ。君が怖がらないように」

私が思った事をそのまま伝えると、彩君はとても戸惑ったように「怖がってませんよ」と返してきた。
怖がってないならば、その反応は一体なんだというのだろう?
遠慮にも見える距離の置き方に疑問しかない。
いつもの癖で彩君の瞳を見つめるとやや曇った顔で彼は問いかけてきた。

「丸三音さんは怒ってないんですか?」
「怒る?あの事はもう終わったことだから掘り返すことは無いし、何度も言うが怒ってないんだよ」
「俺がまだ二十歳じゃないのに、どうしてここに居させてくれるんです」
「君を手元に置いておきたいから、未成年だとしても、そばにいて欲しいから黙っていた」
「……それって、好きってことなんじゃないですか」
「好き?ははは何を言ってるんだい彩君」

沈んだ顔から一転、うら若き乙女のように顔を赤くした彩君の言葉に驚愕した。好き?誰が?
こんな私が他人を愛すると。馬鹿をいえ。
心にストンと刺さるものがあったが、これは図星という意味じゃない。

彼の発した言葉があまりにも見当違いすぎて、乾いた笑いしか出なかった。

愛してしまったと泣くくらいなら
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