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 人の手が触れるのは一度の攻撃まで、たった三回。それがバレーボール。

 高い壁の先、高い空の上。その先の景色は、言葉にできないくらい心地いい場所だった。――でもその景色も今はもう見られない。夢中になって追いかけたボールにも、目の前で立ちはだかるネットにも、シューズのスキール音にも、もう手が届かない。

 それでも嫌いになれなかったバレーボールで、叶えたかった夢があった。それは、自分の手では叶えられなくなった夢になってしまった。諦められず叶えることもできず、嫌いにすらなれなかった夢とバレーボール。引き返すことも見ないふりもできなくなった私に、幼なじみの彼はこう言ってくれた。

「俺がお前をデケエ体育館に連れて行ってやるから、泣くな」

 叶えられる保証はないと人は言うかもしれない。それでも不器用で優しい彼の言葉は十二分に私を救ってくれた。

 もうコートに立って戦うことができないのなら、コートの外から彼と一緒に戦おう。同じ夢を追いかけて此処まで走ってきた彼となら、この夢を叶えられる気がするから。

「――コートに立てなくても、バレーは続けられる」

 ――バレーは一人では繋げられない。

 何時も誰かが誰かのために、思いとボールを繋いでいく。だからバレーが大好き。

「……コートに立てなくても、続けられる」

 不器用で優しい彼と大切な友達が、そう教えてくれた。
 それは間違いじゃない。私もよく分かってる。

 でも、それでも。私はどこかで諦めきれずにいる。

「……続けていたかった。もっと、とんでいたかった」

 気丈な弱虫の私は先に踏み出すことができないまま、今もコートの外で戦い続けている。



弱虫シャルマンをひと匙
 

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