34
「烏野、土壇場で追いついた……!」
「よっしゃ同点!」
24-24。デュースとなった今、先に二点差をつけた方が勝者となる。
青葉城西が二回目のタイムアウトを取った時、気合いを入れ直している面々の中で及川が国見にまだ行けるねと確認を取っていたのを鶫は烏野側のベンチから聞いていた。
「すげーぞ日向、影山あ!」
「……」
……国見も、あんな風に必死になってボール追うのか。
「影山!」
「!」
「ブロード何回でも打つかんな! 決まるまで!」
「おお」
「行くぞ!」
「ッシャアアアアア!」
タイムアウトが明け、完全に試合の流れは烏野にきている。そんな中で田中が打ったサーブは青葉城西側のレシーブをやや乱した。そんな中で烏野は三枚ブロックでボールに触り球速を緩めると西谷が確実にボールを拾い上げる。
「チャンスボオオオール!」
そして影山はブロード攻撃を仕掛ける為に既に跳んでいた日向へトスを上げたが、繋いだそのスパイクはリベロの渡が拾い上げる。そのボールはネットを越えて烏野側に戻り、それを見た日向はもう一回と声を張り素早く助走に入った。
「あっ、本当にもう一回!?」
客席から驚きの声が上がった通り、日向はもう一度ライト側からブロードでスパイクを打つ。しかしそのスパイクはリベロの正面、レシーブで上がったボールがレフト側へと飛んだことを確認した日向は直ぐにレフト側へ駆けて行き東峰と共にブロックに跳びボールに触れると球速を緩める。
「ナイスワンタッチ!」
「もういっ」
「!」
「かあああああい!」
着地と同時にライト側へ駆け出す日向、それを見た岩泉はブロックに跳ぶ為にネットへ駆け出す。打つと分かっていてフリーで打たしてやる理由はないと言うように岩泉がブロックに走り、ひと足早く日向が跳び上がったものの疲労によりそのジャンプは通常より短い。
このままではタイミングが合わないと影山が冷や汗をかいた時、日向は体勢を変えて岩泉のブロックを越えるように指先でボールをネットの向こう側へ押し出した。
「!」
そのボールは岩泉の背中を越えて床に落ち、そのまま日向は隣のコートのベンチ近くまで顔面で滑り込む。そして慌てて上げた顔で見たのは、25-24と得点表が動く瞬間。
「――!」
「逆転したあああああ!?」
「翔陽ー!」
「うおおおい、今のは日向に救われたな、オイ!」
「日向ナイスー!」
烏野が大手になったことで鶫も思わず一瞬息を詰めたが、まだ安心は出来ないと青葉城西側へ目を向けた。やはり青葉城西は落ち着いていて、獲り返すと声をかけている及川の様子が見える。
それを体現するように岩泉のスパイクで青葉城西が一点を返し、25-25。そして此処でまた及川にサーブ権が回ってきた。
「……」
――君らの思い通りにはさせない。
勝つのは俺たちだ。
「――…」
もっと高い舞台へ行く。
目の前の高い壁、越える為にチームを強くしてきた三年間
「今度こそ白鳥沢凹ましてやる……!」
その先の舞台に、其処へ一緒に連れて行きたいたった一人の女の子。
でもその女の子を捕まえて離さない、アイツ。
だからこそ、俺は此処で勝つ。
「……」
この一本で、アドバンテージを取り戻す!
そうして及川から放たれたジャンプサーブ、正面に居た西谷に東峰が声をかけた瞬間。
「!」
西谷は首を右に傾けてそのサーブを避け、ボールは烏野側のコートライン外へ沈んだ。
「ナイスジャッジ、西谷」
「っス」
それは及川がサーブミスをしたという、揺るがない事実だった。