「3人とも同じ状況で死んでるんスよ。自宅マンションのエントランスで呪霊による刺殺。しかも全員死ぬ数週間前から同じ苦情を管理会社にチクッてる。オートロックの自動ドアが開きっぱなしだって、他の住人に心当たりはなかったっス」

新田さんの話を聞きながらタブレットを操作する。死に方は同じ、だが死んだ日も死んだ場所も違う。

「同じ呪霊にやられたんですか?」

人の数だけ呪霊も存在する。同じような死に方をしていても、別の呪霊が関わっている可能性も大いにある。「なぁなぁ、自動ドアって呪霊のせい?呪霊ってセンサーとか引っ掛かんの?カメラとか写んねぇよな」虎杖の疑問に新田さんが答える。よくある心霊番組然り、カメラやビデオが動かなくなる原因は呪霊の呪力が機器に影響を及ぼしているから…らしい。俺も詳しくはわからない。

「親父もたまに自動ドアとかセンサーライトに反応されるな。動作は挙動不審でドアが小刻みに動いたりライトは点滅したり」
「それって見えない人間からすればすげー怖い状況だよな、心霊現象じゃん。そういやさ、幽霊とか妖怪?って実際居るん?全部呪霊?」
「殆どが呪霊だろうな。死んだ人間が化けて出るっていうのも、死んだ人間がどうのってわけじゃない。大体が生きている人間の感情だったり呪いだったり」
「甚爾さんも?」
「…親父は、俺の呪いだからな」

パターン的には乙骨先輩の『里香』と同じだ。俺の呪いが転じて『伏黒甚爾』を呪霊に変異させた。そういえば、俺が呪う前から親父は「居た」んだよな。俺以外の人間には見えず、五条先生の六眼でも見れないモノ。つまりあれか、呪霊になる前の親父は正真正銘の幽霊だったってことか?真希さんと同じ天与呪縛、呪力を一切持たなかった人間。死んでもなお呪力を持たず、誰にも見えないモノ。

「…幽霊は存在するってことか」
「え、何。伏黒の頭ん中でどうなったの?幽霊居るん?マジ?なぁなぁ!」

虎杖の声が耳を通り抜けていく。ふと、考える。俺にも見えなかったら親父はそのまま消えていなくなったのだろうか。それとも誰にも見えないまま1人で世界を漂っていたんだろうか。
親父が、俺の側にいなかったら。

「…ファザコン」
「は?」
「アンタなんだかんだであのクソヒモのこと好きよね」
「気味悪いこと言うな」
「自分の今の表情見てみろっつーの!」

「気持ち顔が緩んでるわよ、キショッ!」と不機嫌な釘崎に頬を抓られる。…いや、ねーだろ。どんな間違いがあってもそれは無い。俺や虎杖に酒を要求するわ好き勝手出かけるわ、勝手に呪力奪ってとんでもないこと仕出かすし。あと俺が昏倒するレベルの呪力奪って実体化して競馬行ったの、一生忘れねぇからな。

「片や呪術師片や呪霊、相反するくせになんでかちゃんと家族になってるのよね」
「…家族」
「クソヒモのことなんてどーッでもいいけど。つーか祓ってやりたいけど!」
「やめろ」
「呪霊なら祓うべきなのわかってんでしょ。呪いなら解呪するべきだわ」
「、」
「それでも、アンタは解呪したくない。他人に祓わせたくもない」
「ああ」
「…クッソ悪趣味だなほんと。アンタ顔はクズにそっくりだけど中身は絶対母親似よ」
「はぁ?」
「じゃなきゃあんなクズ、近くに置いておきたくないもの」

「アンタも、アンタの母親も趣味悪すぎだわ」釘崎はふんっと鼻を鳴らした。
趣味が悪い、成程な。すげえしっくり来る。そう思うと笑いがこみ上げてきた。「…俺、趣味悪いな」「言われるまで気づかないとか馬鹿じゃないの」うるせえよ。

「趣味悪いって言うけど甚爾さん結構良い人だよ?」
「それはねぇ」
「それはないわ」
「えぇー」
「未成年に酒せびる大人が良い人間なわけないだろ」
「まー一理あるけど。でも甚爾さん話し上手つーか?この前一緒に飲んでて楽しかっ、あッ」

おい未成年。親父も何虎杖に飲ませてんだ!「男のくせにヒモの毒牙にかかってんじゃねーよ馬鹿ッ!」「エッ!これそういうヤツなの!?」「明らかにたかられてるじゃねーか!」「でも甚爾さんだよ?」「ソイツだから信用できねぇんだろうが!」虎杖頼む、もっと危機感を持ってくれ。


「みなさーん、なんか楽しそうっスけど着いたっスよ」
「すみません新田さん…聞こえてました?」
「んー?あんまりっスけど最後の方のヒモやらなんやらは。報告はしないっスけど未成年の飲酒はやめたほうがいいっスよ」
「よく聞かせます」
「保護者か。あと伏黒くん」
「はい」
「伏黒くんのお父さんってヒモなんスか?」
「…ちょっと、聞かなかったことにしてください…」
「ヒモなんスね」

勘弁してくれ。







◇ ◇ ◇





さて、被害者3人との共通の知人の元へ行くことになったのだが、その知人も前者3人と同じ死に方をしていた。ならばと向かったのが被害者全員が通っていた中学なのだが…報告書でその学校の名前を見て溜息を吐いた。地元だな、とは思っていたんだがドンピシャか。気が重い。数ヶ月の母校に足を踏み入れる。相変わらずだな、堂々とタバコ吸うんじゃねえよ。何故かノリノリの釘崎が不良を視界に入れ「おっ!分かりやすいのがいるわね。ブン殴って更生させましょ」だなんて言う。「なんで?」ほんとなんでだよ。不良と目が合う。瞬間馬鹿共は慌ててタバコを踏み潰し、

「おっ、お疲れ様です!!」

頭を下げた。
激しく帰りてえ。何故かドヤ顔の虎杖と釘崎が「フッ、何よ理解ってるじゃない…」「オーラってやつは隠してても滲み出るもんだからな」馬鹿しか居ないのかここは。いや、でもそのまま勘違いし「卒業ぶりですね伏黒さん!!」俺は顔を背けた。なんともいえない表情の2人の顔が、こちらを向いた。目は、合わせない。無言、無言。そして無言。「…なんか喋れや」釘崎の言葉にうっ、と声が漏れる。いよいよ黙ってるのも無理か。

「俺、中学ココ」
「それも驚きだけどそうじゃねぇだろ」
「何したオマエ中学で何した」

イロイロ、である。
中学時代、やらかしたことが教師の耳に入り、保護者として五条先生が呼び出し食らったときはマズったと思った。まぁ呼び出し食らった当本人は「あはは!恵めっちゃヤンチャしてるじゃんウケる!」と爆笑しただけだったが。「え、それだけ?ていうか爆笑?この不審者本当に伏黒の保護者か?」という教師の懐疑の目を思い出す。あん時の生徒指導室、混沌としてたな。影の中で「カタギに見えねえ俺がこの場に現れたらどうなんだろうな。若頭」と馬鹿な事言う親父も居たりした。誰が若頭だ、ヤクザじゃなくて呪術師だ。
話せやオラァ!と二人に頬を潰される。俺は口を閉じる。「チッ話すつもりねぇな。おいバカAバカB、伏黒に何された」本人に聞くのはズルいだろ。

「俺ら…っていうかこの辺の不良半グレその他諸々伏黒さんにボコられてますから」

再び顔を背ける。無言再び。そして口を開き

「ボコッ…た」

まぁまぁヤンチャしてたなとは思った。「なんでさっきから片言なんだよこっち見ろって」「何してんの?オマエ何してんの?」再び2人に頬を潰される。それやめろ。「クッソ!さっきも思ったけどアンタなんでこんな肌すべすべなのよ!」「なんかすげーもちもちする。おもろい」そのままもみくちゃにされる。「あー仲が良いってイイっスね…和む」新田さんできれば見てないで止めてください。
なんやかんやあって用務員の武田さんが来て、ようやく話を聞けることになった。


「昨日のことのように覚えているよ。伏黒君程ではないが問題児だったからね。何が聞きたい?」
「変な噂、黒い噂、悪い大人との付き合い…」

「やーい問題児〜」と煽ってくる虎杖と釘崎に拳を握る。そのまま虎杖に振り下ろす。「あとバチ当たりな話とかあれば」ゴッと割といい音がした。

「黒い噂…問題児とは言え並の中学生の域は出んよ…だが待て…バチ当たり」
「アレじゃないですか?八十八橋のバンジー」
「まだいたのかA・B」

お前その呼び方。「八十八橋って?」虎杖の疑問に確か、と記憶を掘り起こす。「自殺の名所。この辺で有名な心霊スポットだ」確か八十八橋で深夜バンジーをするのが流行ってなかったか?アホらしすぎて鼻で笑った記憶がある。同じようなことを武田さんも言う。「どこの部族よ」「俺より馬鹿って意外といるよな!」虎杖お前自分が馬鹿だって自覚あるんだな。自覚があって何よりだ。


「ある日4人が無断欠席をしてね、そう珍しいことではなかったんだが…家に連絡してみると前日から帰ってないというじゃないか。結構な騒ぎになったがすぐに橋の下で倒れているのが見つかってね。大説教になったが本人たちは何も覚えていないの一点張りだったよ」


武田さんの話はこうだった。これは「当たり…っスかね」全員の心の声を新田さんが口にした。

「八十八橋なら俺も行ったことあります」
「バンジーしに?」

虎杖をさっきの倍の力で殴ってやった。「い"ってぇ!!」俺の拳もいてぇよ馬鹿が。

「心霊スポットとかは学校とかと同じで呪いが溜まりやすい。だから高専関係者が定期的に巡回するんだ。俺の巡回の時はなんともなかったですね。有名っちゃ有名ですけど普通に使われてる橋ですし」
「でも行ってみるしかないわよね」

そうだな。武田さんに礼を言い、車に乗り込もうとしたところで呼び止められる。

「伏黒君、津美紀君は元気か?」
「……はい」

武田さんに背を向けた。あまりしたくない話だ。ただ、当然のように疑問に思う虎杖に「ツミキって誰?」と聞かれる。「…姉貴」「はぁ!?アンタ自分の話しなさ過ぎじゃない!?」と釘崎がブチ切れる。





「…って、姉貴?」

なにやら釘崎が首を傾げたが「ほらほら、早く乗るっスよ」の新田さんの声で慌てて車に乗った。この日の調査はこれで終了。
そして翌日の今日、鯉ノ口峡谷八十八橋に到着する。呪霊の気配は特に無い。途中にあったホームセンターで買ったビニール紐を虎杖に手渡す。強く頷かれた。渡した俺も俺なんだが、お前やっぱ馬鹿だな。

「呪霊が確認でき次第帳を下ろすっス」



10分後

30分後

1時間後




2時間後

くぁあああ、と虎杖の大きなあくび。何もしていないのに疲れた表情の釘崎が「ちょっと」イライラした様子で口を開いた。

「呪霊の呪の字もでないじゃない」

「あー!腹減った!」立ち上がった虎杖に「近くのコンビニでなんか買うか」と俺達も立ち上がる。釘崎の言ったとおり呪霊の呪の字もない。…それが、却って気味が悪い。そうだ、巡回の時にも思ったが呪霊がいなさ過ぎるのだ。じっと、橋の下を覗き見る。「なんか居た?」「いいや」なにもいない。



「となるとハズレ。ふりだしっスかね」
「でも時間かけるのはマズくねぇ?」
「なんでよ」
「だって有名な心霊スポットなんだろ?呪われてる人はまだまだ居るかも。しかも今ん所致死率100%…これ以上人死には勘弁だろ」
「確かにね…」
「!流行ってたのはバンジーっスよね。「飛び降りる」って行為が鍵なんじゃないっスか?」

ああ、それならと口を開く。「もう虎杖で試しました」新田さんが目を見開いた。「え"!!もしかしてあのビニール紐でとんだんスか!?」もしかしてのもしかしてである。「馬鹿ですよね」「やる方もやる方っスけどやらせる方も馬鹿っスよ!?」手っ取り早い方法がこれだったんで。虎杖が親指を立てていた。


「あぁ!!いたーっ!!良かったー!!伏黒さーん!!」

突然大声で名前を呼ばれた。さっきの不良だ。「誰だっけ?」「伏黒の後輩だろ。釘崎散々イジってたじゃん」さっきのAかBかのどっちがどっちかは知らない。どっちかだ。「八十八橋って言ってたから…!!本っ当良かった!!」自転車の後ろに乗せている人間を見て思わず口を開く。

「…藤沼?」

同級生だったヤツだ。「姉ちゃんです」お前弟だったのかよ。

「よかった…覚えてくれてて。…森下さんって近所のお葬式やってて、その人と八十八橋のこと調べてるってこの子に聞いたから…何か関係あるのかなって思って」
「関係って?」
「だから森下さんが亡くなったことと橋が…。私、」

藤沼の顔色が悪くなる。呼吸が浅くなり、何かに怯えている様子で。まさか、と思った。「行ってるの。中2の時、八十八橋に」案の定だった。釘崎が顔を歪ませる。隙かさず新田さんが「最近何かお家で変な事ないっスか?」と問いかける。藤沼は頷く。

「私の家地方のアンテナショップやってるんですけど…わ、私が帰るときだけ…お店の自動ドアが…開きっぱなしなんです。お父さんもお母さんもたまたまだって言うんですけど…ッ。ぜ、絶対『何か』いるんですッ」

これは、ビンゴだな。その現象は1週間前からのようだ。被害者4人共以上発覚から無くなるまで最低でも2週間は空いている。まだ少し余裕はある。他には誰が行ったかと聞いて、


「肝試しに行ったのは部活の先輩2人…。そうだ伏黒君、あの時津美紀さんも一緒にいたよ」

いきが、とまった。









「津美紀って」
「伏黒のお姉さん、よね?」
「…ああ、」
「ふ、伏黒!取り敢えずお姉さんの安否確認!」
「…悪ィ、少し外す」

少し虎杖達と距離を取ってスマホを取り出す。…伊地知さんがいいか。アドレス帳から名前を見つけ電話を掛ける。1コールで出た伊地知さんに姉貴の護衛を頼む。「ですが今手の空いているのが2級術師の方だけで…」2級…被呪者の数が想定よりだいぶ多い。多分呪いの等級も想定より高いだろう。それを考えると2級じゃ手に余るかもしれない。なら影の中でグータラ寝てる親父引きずり出して津美紀のそばに置くか?否、そもそもこの呪いが呪霊が襲ってくるタイプではなく、マーキングした人間の内側から術式が発動するタイプだとしたら?物体として襲ってくるのなら親父が対処出来る、でも後者だったら親父には無理だ。
なら、今すぐ祓うしかない。


「おい、逃げてんじゃね―よ」
「…変なタイミングで出てくるんじゃねぇよクソ親父」
「知るか。おい悠仁!こっち来い」
「は、」
「呼んだー?甚爾さん」
「犬かお前は」

秒で来たぞコイツ。わしゃわしゃと、それこそ犬のように頭を撫でる親父に俺は察した。「おい、クソ親父何してんだおい」親父の胸ぐらを掴む。虎杖の後を追いかけて来た釘崎も察したようで金槌を握り構えた。

「調教済みじゃねえかよ!虎杖ィ!こんの馬鹿!」
「呼んだら秒で来いって躾けた」
「クソ親父マジ死ね」
「残念もう死んでる」
「伏黒ォ、アンタの親父祓うわ」
「いいぞ」
「良くないよ!?伏黒は止めろよ!とーちゃん祓われるぞ!?」
「お前が言うな」

マジお前が言うな。「悠仁手出せ」「はい」「これに書かれてる住所に向えって言え」「新田さんに?ウス!」流れるように言うことを聞くな。あとちょっと待て、どこに行くって?慌てて虎杖が持つメモ用紙を奪おうとして親父に腕を掴まれる。そのまま親父の腕が首に回る。

「おい親父放せ!クソッ」
「それコイツに渡すなよー。あと釘女」
「だァれが釘女よ!釘崎野薔薇様よ!クズヒモ野郎!」
「餓鬼が背伸びしても乳臭いだけだぞ」
「ぶっ殺」
「やってみやがれ餓鬼…って言いたいところだが、今回は邪魔すんな。面白いもんが見れるぞ」

そう言ってどぷん、と親父は俺の影に沈んだ。拘束されるものが無くなった俺は慌てて虎杖を捕まえようとするが、いつの間にか虎杖は少し先、新田さんの目の前に居てメモを渡しているところだった。

「…クッソ」
「何だったのよ。ていうか面白いもんって?」
「はー…マジ、クソ」
「おい1人で状況把握すんな。あのメモ何?」
「多分、住所が書かれてるメモだ」
「住所ォ?どこよ」









「姉貴が住んでる家の住所だ」


[newpage]

「デカ…確かお姉さん1人で住んでるんじゃなかった?」
「俺らの後見人誰だか知ってんだろ」
「五条先生金銭感覚狂ってるもんなー」

目の前には1人で住むには大きすぎる一軒家。以前は二人暮らしだったがそれでも無駄に広かった。「これ伏黒のねーちゃん1人って寂しくね?」ぐさり、虎杖の言葉が刺さる。そんな俺の様子に気づいた釘崎が胡乱な目で見つめ、嗚呼成程と頷いた。

「はいはい、なるほどね。完全に理解した」
「え、何?」
「伏黒逃げないように捕まえときなさい虎杖。確かに、クソヒモの言うように面白いもん見れそうだわ」

今更逃げなんてしねえよ。
ピンポーンと釘崎が呼び鈴を鳴らす。「はーいどちら様で…、めぐみ?」カメラに映る姿が見えたのだろう。バタバタと家の中から音がして、ガチャン!と勢いよく玄関のドアが開いた。

「恵…ッ!」

駆け寄る津美紀。腕が伸びてきて

「こんっの馬鹿恵ッ!」

バチーーーンッ!という音と共に頬に激痛。思いの外強い衝撃に頭が揺れ、隣に居た虎杖に体重を預ける。びくともしない虎杖の体幹は俺をいとも簡単に支えた。ヒェッ!と虎杖が声を上げ、自分は叩かれてないだろうに、頬を押さえる。


「ふ、フルスイングビンターーーーーー!!絶対痛いヤツーーー!!」
「すごい良い音したわね。ぶふッ、アンタ頬に綺麗に手形付いてるわよ」
「…あー、痛え」
「恵!今まで連絡もしないで…ってやだ!恵のお友達!?あ、もしかして高専の同級生?ご、ごめんなさいお見苦しいところを」
「ぜーんぜん気にしません!どうぞ思う存分ブン殴ってください!」
「何勧めてんの釘崎!?」
「こんのアホ、高専入学…いや違うな中学卒業から家に一切帰ってない。姉にも一切連絡しない。この様子じゃお姉さんからの連絡も全部シカトでしょ?」
「……」
「マジっすか伏黒サン」
「……マジデス」


それはないわ、の表情の虎杖に距離を置かれた。「思う存分殴られろアホ」と背中を押す釘崎。目の前には約半年ぶりの津美紀。グッと唇を噛む津美紀に「あー…」気の抜けた声を出し、明後日の方向を向く。げしげしと虎杖と釘崎に蹴りを入れられる。わかった、これに関しては全面的に俺が悪い。両手上げて降参。

「とりあえず…おかえりなさい恵」
「…ただいま津美紀」











「八十八橋…そういえばそんなこともあった…かな」
「そういうところ行くなって言ってあっただろ」

頬を氷で冷やしながら津美紀の話を聞く。「行くつもりは本当に無かったんだけど…でもどうしても行くって聞かなかったから、危ないなって着いてったの」危ないのはお前も同じだろうが。ハァ、と溜息をつく。

「いや、そんな話どうでもいいわ」
「何いってんだオマエ、どうでもよくねぇだろ」
「いやいやいやいや!伏黒の家族を目の前に一切紹介無し!?もう自分から行くわ!俺虎杖悠仁って言います!伏黒とは同級生!よろしくお願いしまッす!」
「虎杖アンタズルいわよ!私釘崎野薔薇、よろしく!」

津美紀を紹介する方がどうでもよくないか?と首を傾げたら虎杖と釘崎両方に殴られた。お前ら本当になんなんだよ。


「伏黒津美紀です。恵の義理の姉で一つ上、高校2年よ」
「…義理、の?」
「俺の母さんが死んでから、クソ親父が再婚した相手の子供が津美紀」
「ふ、複雑…」
「ちなみに俺は津美紀の母親と数回しか顔を合わせてない」
「…伏黒ねーちゃんの母ちゃんは…?」
「…お父さんとどっか行っちゃって…」
「超複雑…ッ!」

「何やってんだよ甚爾さん…ッ」と虎杖が吠える。良いぞもっと言ってやれ。「やっぱクズはクズね」片手で金槌を遊ばせる釘崎。そして苦笑する津美紀。影の中で聞いてはいるが無言を貫く親父。
実のところ、津美紀の母親は1人で居なくなっている。再婚したにも関わらず親父は家に寄り付かなかった。だから津美紀の母親も、帰ってこなくなった。俺と津美紀は二人ぼっちになった。
親父は手を汚す仕事ばかりし、情も一切ない女の家に上がり込みを繰り返す。結局親父が五条先生に殺されるまで、そんな生活だった…と当本人から聞いている。クソだと思う、けど自暴自棄だったんだろうな。母さんが死んでから、ずっと。








「…姉…津美紀…」
「どったの?釘崎」
「なんか…喉まで…出かかってるんだけど…なんだったっけ…」

うんうんと唸りながら頭を抱える釘崎に何してんだという目を向ける。「あ」思い出したと言わんばかりの声を上げ、顔も上げて

「シスコン近親そ!?ッ!」

勢いよく釘崎の口を手で塞いだ。何唸ってるんだって思ったらオマエあの時のこと思い出していたのか。思い出したくもない東堂との一件である。あの時影の中からいらんことごちゃごちゃ言っていた親父に思わず言葉を返し、それを勘違いされたあの。「あれは誤解だって言っただろ…ッ!」俺の必死の言葉に、殴りかかろうとしたであろう腕を下ろす釘崎。?を浮かべる虎杖と津美紀。
大人しくなった釘崎の口から手を離した。


「…まぁ、あー…なんつーか」
「待て、オマエまだ誤解してるだろ」
「アンタああいうのがタイプってことね」
「違う」
「色々世間的にはアレだけど、なるほど義理ね」
「違う」
「血が繋がってないならまぁいけるんじゃない?」
「親父と同じこというんじゃねえよ」
「は?死ぬわ」
「死ぬな。気持ちはわかる」

親父と同じ考え方をするとか、死にたくなるのはわかる。「おいどういう意味だオイ」そのまんまの意味だ、自分の行動と発言思い出してみろクソ親父。






「え、ちょっと俺話が見えない。二人だけで会話すんのやめて、仲間はずれやめて」
「…も、もしかして」
「うん?」
「[[rb:そういうこと > ・・・・・・]]?」
「…うん?」
「恵と釘崎さんって付き」
「あ、ごめん。伏黒のねーちゃんそれ多分勘違い…かんち、が…え?そういう話?え?俺が知らない間に?エッ」




















「えーこんにちは、完全に空気になってる呪術高専補助監督の新田明っス。なんかもう伏黒ハウス混沌としてるっス。全員勘違いしてると思うっスよ。取り敢えず伏黒恵は釘崎野薔薇とお付き合いしてないし、そもそも恋愛感情は皆無っス。だって『私が伏黒恵の保護者だ!』って言ってるくらいっスからね。あ、客観的観測っス」
「合ってます」
「伏黒の保護者が釘崎は合ってるん…?」
「それは違う」


「えー、次に義理の姉伏黒津美紀に伏黒恵は恋愛感情を持っているか、の点ですがそれも皆無っス。五条さんからも『あーナイナイ!そういうのはぜーんぜん無し!一般家庭の姉弟ってどんな感じか僕もよくわかんないけど、でも恵が津美紀に対して性的欲があるかって言ったら全く無し!つまんないよねー!あ、でも思春期なアレコレは有ったから中2の頃から津美紀との接し方がぎこちなくなってそのままズルズルと…ぷぷ、恵マジウケるよね』クソか五条ゲフンゲフン!えーっと…わりかし恵君には重い家族愛はあるようっスよ。呪術界の一切に関わらせない為に恵君は津美紀さんと一切の連絡を絶ってるみたいっスね。父親血筋の禪院家がどっから仕掛けてくるか解ったもんじゃないっスもんね。わかるっスよ。まぁ五条さんが逐一恵君の状況を津美紀さんに連絡してるんで全く無意味っスけどね」
「しれっと色々バラすのやめてくれませんかね!津美紀と五条先生が連絡取り合ってるなんて聞いてねぇ…ッ」
「恵が私と連絡取らなかった理由ってそういうことだったのね…。ごめんね恵、全然そんなこと考えもせずに私ったら、どうせ恵が私のこと鬱陶しいんだろうなって思って連絡してくれないとばかり…」
「(羞恥)」

なお影で大爆笑するクソ親父。

「ふ、伏黒…」
「憐れね」



[newpage]


伏黒恵
津美紀に対して恋愛感情は無いし、釘崎とも付き合ってない。ファザコンでもない。
そんでもって色々バレたしバラされた。羞恥。お年頃の男の子相手にやめたげてよぉ!


伏黒津美紀
とても元気。地元の高校に通っている。
フルスイング平手打ちはとても痛い


伏黒甚爾
今回ほぼ寝てた。ニート。住所だけ教えた。
約半年前まで津美紀のボディーガードをしていた(恵指示)。呪霊呪い悪い虫諸々抹殺してた。


虎杖悠仁
調教済み。ただのパシリです。


釘崎野薔薇
私が伏黒と?ないわー


新田明
サポートするのが仕事っスからね!
アレコレバラした.



タイトルのセンス皆無すぎて笑えるね…。
がっつり原作沿い。かーらーのー!不幸をなるべく減らす方向で。ほんへとか知らん時空ですし。ふしめぐ幸せにしようとして何が悪い。死滅回游?知らん。最強の犬がいるんだからふしめぐは幸せになるんだよォ!
その御蔭で拙宅のふしめぐは原作の2割増し明るいですね(当社比)

未成年の飲酒喫煙は駄目だよ。勿論パチも駄目だよ虎杖君。
顔に傷があるとても顔が良いヒモに捕まっちゃ駄目だよみんな。
伏黒甚爾のヒモにされたい人生だった…(遺言)

 ×
ALICE+