注意事項
※夢小説ですが腐向け・百合要素があります(虎伏・夏五・まきのば)
※キャラ崩壊
※夢主が腐女子
※また温度差で風邪引く
※Q:お前ら学校は? A:随分早い冬休み(投げやり)
時系列的には
シリーズ2話「彼氏に内緒でコミケサークルry」のおまけ【ここが地獄だ】の前くらいです。
12月、今年もあと半月ほどで終わるという頃、私は野薔薇ちゃんと虎杖くんと共にファミレスに居た。折り入って二人に相談があったからだ。二人より少し遅れてきた私に、二人とも「伏黒は?」と聞いてくるので完全にセットにされてるなぁ、と苦笑した。ちなみに恵くんは五条先生に足止めを頼んでいる。「僕が恵の足止め…?いや無理でしょ。元最強の僕でも出来ないことはあるよ」と言うので夏五のラフ画を見せたら「僕死ぬ気で頑張る」とやる気を見せてくれた。ありがとう五条先生。それと夏油お兄ちゃん、強く生きて。「いやアンタが言うなよ」と野薔薇ちゃんに頭を叩かれる。まったくもってその通りですごめんなさい。
「で、五条を使ってまで伏黒を足止めしてまで私達に相談したいことって?」
「うん。来週って恵くんの誕生日じゃない?だから」
「ハイ解散」
「待って!話聞いてよ、なんで聞く前から解散!?」
「次に言うことが予想ついてるからよ」
「恵くんの誕生会を」
「ハイ解散」
「なんで!?」
恵くんの誕生会の計画を立てたくて二人に来てもらったのに野薔薇ちゃんに一刀両断される。この前やった五条先生の誕生会はノリノリで参加したじゃない。「あれは高いもんが出るって知ってたから」…野薔薇ちゃん…。でもうん、五条先生の誕生会はすごかった。すごく柔らかくて高そうなお肉とかお寿司とか、あと見た目が芸術品のようなケーキとか。ケーキとかケーキとか。…ケーキ多かったなぁ、5ホールくらいあった?もっとかな。糖尿病にならないでね先生。
なんだかんだでみんな五条先生にプレゼントをあげて、馬鹿騒ぎして楽しかったなぁ。だから恵くんの誕生日も、流石にあんな感じには出来ないけどみんなでわいわいしたいなぁって思ったんだけど。
「やらないの?恵くんの誕生会。虎杖くんはやりたいよね?ねっ!」
「うーん…当日はやめたほうがいいんじゃねぇかな」
「なんで!?誕生会を誕生日当日にやらないほうがおかしいよ」
「そうなんだけどさぁ…伏黒のこともっと考えてあげてよ」
「…う、ん?」
「鈍感か。誕生日の日は二人きりのがいいでしょ、って言ってんの」
…あ、あー!そっか!そういうことか!本当に鈍感でごめんね。やっぱり恋人同士、誕生日は二人で居たほうがいいのかな。でもなぁ、私ってば前世を思い出したのも、そしてみんなと再会したのも今年だから、みんなで何かやりたいなぁって思っちゃうんだよ。そうぼやいたら野薔薇ちゃんが「まぁわからなくもないけど」と言ってくれた。…言ってくれたのだが、表情は暗い。虎杖くんもなんだか遠い目をしている。
「どうしたの?」
「…俺たちさ、伏黒の誕生日って祝ったこと無いんだよね」
「えっ、なんで?」
「『前世であいつを殺しておいて、なんで今世俺は生きてるんだ。あいつは見つからないのに、なんで俺はのうのうと生きてるんだ。なんで生まれた?あいつの居ない世界なんて地獄じゃないか』って、呪いのごとく言うんだよね。毎年毎年、誕生日おめでとうなんて言ったら延々コレ。もうおめでとうとか言えねぇわって」
「……う…っ」
「灰原が思ってる以上に伏黒ってつい最近まで病んでたんだよ。笑顔なんて見たことねぇの。ずっと死にそうな顔してんだよ」
「いっそ殺してやれって思うくらいには精神状態ヤバかったわよね」
心臓が、きゅってしました。
ごめんね、そうとは知らず…私のほうがのうのうと生きてるじゃん。漫画見ても「はッ…これは前世の記憶…?いや、ただのオタの妄想だな」なんて流そうとしてごめん。やだやだ、私が平和に生きていた間、ずっと恵くん苦しんでたんじゃない。なに、私を殺しておいてとか。恵くんに殺された憶えないんですけど。私が恵くんを救いたいって思って…、それで死にたいほど苦しめちゃったら意味ないよね。ごめんなさい前世の恵くん、馬鹿で、酷いなヤツでごめん。今世の恵くんも本当にごめんなさい。なんか、私まで鬱になってきた。もう死んで詫びようかな。ぼそりとこぼれた言葉に二人がくわっと目をカッ開く。
「アンタそれ伏黒の前で絶対言うんじゃないわよ」
「今度こそ伏黒発狂して戻ってこれなくなるからやめて」
「…は、はい。大変申し訳ございませんでした…」
恵くんの地雷は踏まないように以後気をつけます…ほんと、なんかごめんなさい。
しかし、二人の恵くんの誕生日をまともに祝ったことがないという話に私は食いついた。
「じゃあやっぱり恵くんの誕生会やろう!この4人で!」
「まだ言うか」
「当日じゃなくて翌日とか!ダメ、かな?」
「翌日はアンタ動けなくなってると思うわよ」
「え?」
「俺もそう思う」
…あ、あ〜!私は察して机に突っ伏した。いや、確かに…確かにその可能性はあるけれども…!「ぶっちゃけあのムッツリ、どんな感じなの?」「いや聞くなよ釘崎」「すんごいねちっこそう」「いやわかるけど」そんなことないよ!優しいもん!じゃなくて!!
「じゃあ二日後!」
「最早クリパじゃん。ていうかクリスマスイブに誘うんじゃねえよ!」
「…えっ、もしかして野薔薇ちゃん彼氏できたの!?」
「できてねーよ!そこら辺の男より断然格好良い真希さんとデートだっつーの!」
「ちなみに荷物持ちに駆り出される俺、と狗巻先輩」
「…ダブル、デート…?いや、虎杖くんは恵くんとセットだから違うね」
「いや、俺と伏黒セットじゃねぇから。灰原いい加減にしろよ」
「腐っててすみません」
額を机に押し当てて謝った。虎伏ガチ勢でごめんね。
結局恵くんの誕生会の話は流れてしまった。残念、と肩を落とすと「そんなにやりたかったら、灰原の誕生日にみんなで集まる?」と提案してくれた。
「伏黒の誕生日と大差ないだろ。アイツが椛独り占めにして終了ってオチよ」
「でも灰原、マジで誕生会やりたそうなんだもん。灰原が頼めば伏黒もオッケーだすっしょ」
「…いや、自分の誕生会はそうでもないかな。人の誕生日を祝いたい」
「そこは「わーい!ありがとう!」って喜んでよ!俺だって同級生とわいわい誕生会やってみたい!」
「いやアンタもかよ」
「じゃあ虎杖くんの誕生日はみんなで集まろっか!確か3月だっけ?」「3月20日!マジで?楽しみ!」と虎杖くんと盛り上がる。マジ付き合ってらんない、って表情の野薔薇ちゃんが「そういえば」と声を上げた。
「私、椛の誕生日知らないわ。私の誕生日にはプレゼント貰ったのに」
「うん?」
「俺も知らない」
「誰にも言ったこと無いからみんな知らないと思うよ」
「え、なんで?伏黒も知らんの?」
うん、伏黒くんも知らない。前世では付き合う前は互いの誕生日を祝う、って感じじゃなかったし、付き合ってからは誕生日迎えてなかったし。いや、ぎりぎり迎えてたかな。「で、アンタの誕生日いつよ」いやね、野薔薇ちゃん。こう、ちょっと言いづらいものがあってだね。
「私の誕生日はいいよぉ、気にしないで」
「よくない!自分だけ祝って自分は祝われないっておかしいでしょ」
「うーん…」
「言え!」
「…10月」
「もう過ぎてんじゃない!ほんと言いなさいよ!日にちは?」
「……………31日」
「……」
「……、いや、中々ぶっこむね灰原」
前世・今世の誕生日=前世の命日です。みんなのトラウマハロウィンの日。
野薔薇ちゃんと虎杖くんがわかりやすく雰囲気を暗くした。だから言いたくなかったんだよ。「なんでアンタそんなに地雷原なのよ…」と野薔薇ちゃんに呆れられる。なりたくてなったんじゃないやい!虎杖くんが「言いづらいと思うけど、伏黒に言ってあげて…すんごい絶望した後に多分吹っ切れるから」なんて言うけど、すごく絶望した恵くんとか見たくないんですが。言わない選択肢は?え、ないの?そっかぁ。
すっかりお通夜空気の中、むすっと不貞腐れた表情の恵くんがファミレスにやってきた。行く場所言ってなかったのになんでわかったんだろ。え、GPS?そっかぁ。「いや、そっかぁじゃないんだわ。もっと他に言うことあんだろ!」と野薔薇ちゃんが怒鳴った。うーん、今更じゃないかな。
ところで恵くん、制服ところどころ血が付いてるけど喧嘩でもしたの?「制服どころか拳血みどろじゃね?」虎杖くんの言葉に恵くんの手に目線を向けると血塗れだった。え、え?怪我…と恵くんの手を取ろうとしたらスッと躱され「これ全部返り血」と言われた。ついでに「他人の血だから汚ねぇ、触んな」と言われる。
「怪我が無いなら良いんだけど…。危ないこと、しないでね」
「あっちは無抵抗だったし、危なくない」
「無抵抗の人殴ったの!?」
「俺の行く手を阻む五条先生が悪い」
あ…あーッ!五条先生ッ!足止めを頼んでた五条先生!恵くんにフルボッコにされたのか…今世では無下限持ってないもんね。だいぶ頑張ってくれたようで、ありがたいけど大変申し訳なかった。お礼にめちゃくちゃ良い夏五絵描くね。
「で、五条先生使ってまで俺を足止めして何してたんだよ」
「ん、んー…」
「おい待て伏黒。アンタGPS仕込んでるってンなら盗聴器まで仕込んでるんじゃねぇだろうな」
「盗聴器は仕込んでねぇ」
「ほんとかよ…って、さっきの話盗み聞いてたら平常心なわけないか」
「は、それどういう」
「ていうか伏黒、GPSもアウトだからな。灰原本人が気にしてないようだけどアウトだからな」
「マジモンのストーカーかよって感じよね。いやストーカーよりタチ悪いヤツだったわ」
「失礼だな、純愛だよ」
どこかで聞いた、というか見たことあるセリフだね?恵くん私のタブレット端末に入ってる電子書籍の0巻読んだでしょ。紙媒体は五条先生が即お焚き上げちゃうし、他のみんなも読もうとしないから多分そのネタは通じないんだよ。というかノリいいね恵くん。乙骨先輩リスペクトかな?「いや、まぁ確かに純愛だけど」と虎杖くんが頭を抱えた。「ハッ、もう付き合ってられるか」と野薔薇ちゃんは呆れ返る。
「ていうか灰原的にGPS有りなの?」
「特に気にしないかなぁ。お世話になったこと無いけどもし迷子になってもGPSあれば恵くんがすぐに見つけてくれるだろうし」
「いいのかそれで」
「害は無いよ?」
「…なんか、もう灰原がそれでいいならいいや…」
虎杖くんも匙を投げた。
「伏黒のイカれ具合がやべぇからいまいち目立たないけど、椛も中々イカれてるのよね」と野薔薇ちゃんが言う。解せぬ。ねぇちょっと虎杖くん。頷かないで、同意しないで!私イカれてないもん、腐ってるだけだよ!「そういうところも含めてだよ!」と虎杖くんが吠えた。あ、ごめん。私の妄想の一番の被害者だった。ごめん。
結局このあとすぐ解散して、私は恵くんに引き摺られるように家へと帰ったのであった。
◇ ◇ ◇
「で、結局なんの話してたんだよ」
ソファで恵くんに背中から抱きしめられながら、恵くんが聞いた。サプライズ感も何もないけど、眉間にシワを寄せている恵くんを誤魔化す術はないので正直に言う。
「来週恵くんの誕生日でしょ?」
「…誕生、日。ああ、そういえばそうだったな」
「だからみんなで恵くんの誕生会やろう!って提案したんだけど」
「けど?」
「誕生日くらい二人きりで過ごせ、と諭されました」
「…ふ、」
「え、今の笑うところ?」
「いや、今更二人きりで過ごせって言われてもなって思って」
確かに。二人暮らしを始めてから、学校とバイトに行っている以外の時間はずっと恵くんと一緒だ。休みの日も、バイトがなければ一日中恵くんと一緒だし。うん、確かに今更だ。
「じゃあちょっと特別感を出すべく…どこかデートでも行く?恵くん行きたいところ無い?」
「新しく出来た水族館」
「…それ、私が行きたいって言ったところだよね」
「お前が行きたい場所が俺が行きたい場所だ」
そうじゃないんだよなぁ。むぅ、と唸る私を気にもせず、ぎゅうぎゅうと私を抱きしめる恵くん。「俺はべつに、自分の誕生日を特別祝ってもらわなくてもいい。お前とこうやって、いっしょにいるだけでいい」欲がないというか、なんというか。でもそれじゃあ私が納得できないんだよ。背後から私を抱きしめる腕をぺしぺしと叩き「腕離して」と訴える。
「トイレか?」
「違うよ」
恵くんの前から真横に移動して、ソファの上で正座する。首をかしげる恵くんに「よく聞いてね」と恵くんの両手を握った。
「恵くんをこうしちゃった私が言うのもなんだけどね、恵くんには普通に過ごしてほしいよ。私のことばっかり気にしなくてもいいの。恵くんがしたいこと自由にして欲しいな。前の恵くんは小さい頃から呪術師になるために色々頑張って、大変だったでしょ?今はみんな非術師で呪霊も居なくて平和な世界で、みんなが普通に生きていられる。そんな中で一人、私を殺してしまった罪悪に囚われないで」
そもそも私は恵くんに殺されたわけではないのだから。そう言ったところで恵くんが納得しないのはわかっているから、なにも言わない。ただ、これだけは言いたい。
「お願いだから、恵くんの好きに生きて」
するり、私の手の中から恵くんの手がすり抜ける。あ、と声を上げそうになったのを耐えた。これを伝えて、恵くんが私から離れちゃうのは仕方のないことだ。そう思ってたのにドンッと強い力で肩を押され、そのまま私は背中から倒れ込む。恵くんは私の身体に跨る。恵くんの指が首筋をなぞり、頬を撫でた。
「お前、何もわかってない。好きに生きろ?何言ってんだ。俺は、俺はお前と再会してからずっと自分本位に、好きに生きてる。お前が普通に生きているところをずっと見ていたくて、幸せそうにしてるのがみたくて、ずっとそばにに居たくて一緒にいるんだ。それはお前の為なんかじゃない。全部全部俺の為だ。なぁ、俺のお前に対する『ソレ』はもう愛情とか親愛とか簡単な言葉で片付けられるモンじゃねぇんだよ」
こつん、私の額と恵くんの額が触れ合う。私はゆっくりと恵くんの背中に腕を回す。
「頼むから、俺を遠ざけようとしないでくれ」
随分と、執着されちゃってるなぁ。遠ざけようとしたんじゃないよ。とんとん、と優しく恵くんの背中を叩く。
「しかたないなぁ」
「灰原の嫌がることは絶対しない。でも、これだけは。灰原がいくら俺から離れたいって言っても、お前だけは絶対手放せない。泣こうが喚こうがこれだけは絶対」
「だいじょうぶ、恵くんを嫌いになることは絶対ないから。大丈夫だよ」
「今度は絶対、死ぬまで、死んでも一緒だからな」
重い、けど多分私には丁度いい重さなんだろうな。
ぎゅうぎゅうと、恵くんが私の身体を抱きしめる。
この愛は、完全に呪いだ。解呪の手立てはない。なら受け入れるしか無い。
まぁ解呪する意味もないのだけれど。
しばらく抱き合って、そろそろ恵くん上から退かない?と思ったところであぐあぐと首を優しく噛まれた。ちょいと恵さん、なにしてるんですかね。
「お前、俺の好きに生きろって言っただろ」
「言ったねぇ」
「だから好きにする。今から抱いていいか」
「だめだねぇ」
「なんで」
「私の嫌がることはしないんでしょ?」
「……」
ぶっちゃけ嫌ではないのだけれど、このまま流されてあげてもいいかなってちょこっとだけ思ったんだけど、ごめん恵くん。私冬コミの原稿まだ終わってないんだ…。恵くんの誕生日前には終わる予定なんだけど、まだ終わってないからさ…!腐女子でごめん。原稿終わるまで待って。
むすっとした顔の恵くんががぶりと私の口を食べて、そしてようやく私の上から退いてくれた。私も起き上がろうとしたところで腕を引っ張られる。上体を起こされて、そしてまた抱きしめられる。
「恵くん」
「抱きしめるだけ」
「うん」
「あと一時間」
「いや長いよ。ご飯食べよ?」
「食うんなら灰原食いたい」
「突然欲望丸出しになったね。恵くんの誕生日だったらいいよ」
「言質取ったからな」
野薔薇ちゃんと虎杖くんの言う通りになりそうだなぁ、次の日本気で動けなくなってそう。まぁいいや、嫌じゃないし。
ようやく私から離れた恵くん。立ち上がってキッチンに向かう私を、背後霊よろしく付いてくる。
そのままご飯を作って二人で食べて、お風呂入って、ほっと一息ついて。
そして、
「そういえば俺、お前の誕生日知らねぇ」
ぴしりと私の身体が固まった。まぁそりゃあ、そう来るよねぇ…。と私は恵くんから視線を逸らした。不思議そうに「灰原?」と私の名を呼ぶ恵くんに、さてどう誤魔化そうかと考える。「私の誕生日はもう過ぎちゃったから」ちょっと声が上擦ってしまった。
「何で言わねぇんだよ。人の誕生日ばっかり気にしやがって」
「い、いやぁ…私の誕生日はいいよぉ…」
このやり取り今日野薔薇ちゃんたちとやったばっかりだよ。2回もこんなやりとりしたくなかったよ。「おい」という不機嫌な声と共に恵くんの両手で頬を引っ張られる。
「らにするにょー」
「何隠してる」
「らんひょーひー」
「そうだな。で、お前の誕生日は?」
仕方ない、ここは嘘の誕生日を言おう。そんでもって誕生日を知っている家族や夏油お兄ちゃんには「私誕生日変わったから!」と伝えよう。多分色々察してくれるはず!恵くんの腕を掴んで、私の頬から離させようと力を入れる。
「わ、私の誕生日10月3日だよ」
「嘘だな」
「なんで?」
「お前嘘付くとき眉が動くぞ」
「うそぉ」
「で、本当は?」
「…えっと…」
「灰原」
「ハイ」
「言え」
「ハイ」
すーはーと深呼吸をする。「お前なんで誕生日言うだけでそんなに緊張してるんだよ」と言われるが、そりゃあ緊張もする。ぎゅっと目を瞑り、さて口に出すぞと思ったその瞬間、虎杖くんの「すんごい絶望した後に多分吹っ切れるから」という言葉を思い出した。口はそのまま止まらずに声を発する。
「誕生日、10月31日ッ!」
ぎゅぅううっと瞼に力を入れる。やばい、言っちゃった。そこから数秒、数十秒と身体が固まった。そして1分くらいが経過して、恵くん一切反応してないな?と気づいた。恐る恐る目を開いて、恵くんを見て
「ひゅ、」
ごっそりと、すべての感情を削ぎ落とした恵くんの顔がそこにあった。あまりの恐ろしさに仰け反り、バランスを崩した私はそのままソファから転落する。ついでにテーブルの足に頭をぶつけた。あいたッ!と声を上げる。いつもだったら「大丈夫か?」と声をかけてくれる恵くんは無反応。というか、微動だにせずそのままだ。
「め、めぐみ、くん?」
近づいても、無反応。揺すってみても無反応。…ま、まさか死んで…?慌てて口元に手のひらを近づけた。息が手のひらに触れる感覚がして、とりあえず一安心。恵くんの名前を呼び続けながら頬を軽く叩いてみたり抱きしめてみたりしたけど全く反応なし。ゆっくり距離をおいて部屋から出てみた。あの引っ付き虫の恵くんが付いて来ない…だと?1分経ってドアから覗き込むように見てみる。やっぱり微動だにしてなかった。恵くんが人形のようになってしまった…。え、どうしよう。どうしたらいいの?助けを求めるべく五条先生に電話を掛ける。
『はぁい、五条先生ですよー』
「ご、五条先生!あの」
『椛、僕頑張ったんだよ』
「…はい?」
『恵マジで僕を殴るんだよ。今世だって僕ちょっとは鍛えてるはずなのにフルボッコ。ていうか殺されるかと思った。マジで』
「そ、その件では大変お世話になりまして…ていうか恵くんの返り血ヤバかったんですけど五条先生本気で大丈夫ですか」
『大丈夫〜全治3ヶ月ぅ』
「さ、さん!?」
『骨も折れてた』
「大怪我じゃないですか!」
『あっはっは!』
笑い事で済む?『だからねぇ』なんか随分五条先生が猫撫で声である。…なにか、企んでる?なんて思っていたら『ラフ画、ちゃんと完成させて僕に頂戴ね?』…あ、あー!そう言えばそれで五条先生買収したんだった!「とりあえず、冬コミの原稿終わったら描くので!絶対に!」『待ってるぅ〜』成程、大怪我してもご機嫌だった理由はこれだったか。夏五ガチ勢五条先生。そして裏切ってごめんね夏油お兄ちゃん。
『それ聞いて安心した〜。それじゃあね椛』
「は…じゃないです!切らないで!助けて五条先生!」
『助けてとは穏やかじゃないね。恵とうとう監禁の準備でも始めた?』
「違いますよ!しれっと何言ってるんですか」
『じゃあどったの?』
「恵くんがうんともすんとも言わなくなりました。まったく動きません」
『何したのさ椛』
「た、誕生日を言っただけで」
『誕生日?椛の?…あれ、いつだっけ?学生証の発行とかで僕見たはずだけど覚えてないや』
「10月31日です」
『ゔぁッ』
なんか聞いたこともないような声が聞こえた。電話の向こうが無音になる。「…せんせ?」声をかけても無反応。「せんせー、ごじょーせんせいー!」何度か呼びかけてようやくガサガサと元音が聞こえた。うぐ、と呻き声が聞こえる。そういえば先生大怪我してたんだった。
『なんで椛そんな地雷原なの。地獄生成装置か?』
「なんでみんな同じこというんですか…」
『言うでしょそりゃあ』
「ハロウィンじゃなかったらなぁ。普通の平日に死んでたらみんな私の命日なんか覚えてなかったでしょうね」
『絶対覚えてるわ阿呆』
「で、恵くんどうすればいいですかね」
はぁーーーー、と深いため息が聞こえた。すごい呆れられてるね?なんでかな。『とりあえず死んではいないんだよね?生きてる?』「息はしてます」息は。やっぱりあれから微動だにしてないし、瞬きだってしてない。精巧に作られた人形みたい。こわい恵くんこわい。
『じゃあもうほっとくしかないよ』
「まさかの放置」
『いやどうにも出来ないって。今恵の頭の中で情報処理中なんだよ』
「パソコンかな?」
『生きてる椛がそこに居るんだ。大丈夫大丈夫』
「…なら、いいんですけど」
『多分ね』
「不安になるから多分とか言わないでください!」
結局様子見放置ということになった。いい、のかな。念の為もう一度恵くんに触ってみたが無反応だった。うう、早く戻ってきてくれー!と祈る。とりあえず恵くんの身体を倒し…倒…うごか、ないッ。仕方ないのでそのまま背中から毛布をかぶせておく。風邪を引かないように暖房をつけておいて、っと。本当は私もここにいたほうが良いんだろうけど。
「よし、原稿しよう」
自室で一人修羅場るよ。
お前の心臓毛が生えてるとかそんな次元じゃないわ、何製だよ。と、この出来事を後に話したとき野薔薇ちゃんにまるで化け物でも見るような視線を送られそんなこと言われることになる。そんな視線向けられるなんて大変心外です。
オタクの心って鋼で出来てるんだよ。
そうやって夜中の3時位まで原稿をしていた。う、ぐぐぐ。流石に疲れたなぁ、そしてねむい。そろそろ寝ようかなぁ。とお布団に入る。うと、うとと意識が…ふ、ふふふ虎伏がいちゃいちゃ可愛くてスヤァ…。
そして6時に枕元に置いたスマホのアラームが鳴る。う、ん。腕を外そうとして「あれ?」となる。あ、恵くんがリビングでフリーズして一緒に寝なかったのか。いつもなら身体に巻き付く腕をなんとかして外すのだが、今日はそれがなかった。ふあ、とあくびをしてスマホを取ってアラームを消して布団から出ようとして
「ヒッ!」
ベッドの横で、私を立ったまま見下ろす恵くんがそこに居た。ししし死ぬほどびっくりした。「め、恵くん?」と恐る恐る声をかけると「ん」と短く返事をして、そのままベッドに膝を立てて私を抱きしめた。身体が少しひんやりとしている。…いつから、ベッド横に居たんだろうか。
「気がついたら灰原が居なくなってて、しかも7時間以上経っててビビった」
「意識一切無かったんだね…」
「マジで飲み込むのに時間掛かった」
「ぶっ込んですみませんでした」
「いや、俺も悪かった。気遣って言わなかったんだな。でも知らないで祝えないほうが嫌だ」
だから、来年絶対祝うからな。と恵くんは抱きしめる腕に力を込めた。ん、恵くんありがとうね。
…無事戻ってきてくれてよかった。ほんとうに。廃人になったらどうしようかと思ったよ。
[newpage]
そして恵くんの誕生日当日!…の前日の夜。
「誕生日ケーキを作ります」
背中からむぎゅ、と抱きしめられぐりぐりと後頭部に恵くんの頬が押し付けられる。頭が揺れるからちょっとやめていただきたい。
明日の恵くんの誕生日ケーキに、甘さ控えめビターなチョコレートケーキを作る。クリーム系じゃなくてガトーショコラにしようか。「別に甘いケーキでも食える」と恵くんが言うが恵くんの好みに合わせたい。
「ちなみに五条先生が「ケーキなら僕が買ってあげるよ」なんて言ってくれたけど」
「せっかく灰原が作ってくれるのに要らない」
「ていうと思ったから正直に私が作るので要りませんって言ったら「え、僕も椛が作ったケーキ食べたい」なんて言ってきて…五条先生がいつも買うケーキのほうが100倍美味しいだろうに」
「…は?五条先生に食わせんのか」
「んにゃ。恵くん用にビターですよって言ったら「じゃあいいや」って」
「は?灰原が作ったもの食べられないだと?」
「恵くんは食べさせたいのか食べさせたくないのかどっちなの」
「俺以外に食わせたくはない。でも灰原はこんな美味いもん作れんだぞって自慢はしたい」
『普通に美味しい』くらいのものしか作れませんが?ハードルを上げないでくれ。まぁがんばる。明日のご飯も恵くんの好きなものいっぱい作ろうね。よーしやるぞ。の前に「ちょっと邪魔だから恵くんはリビング居てね」なんて言ったらムスッとした顔をされた。いつも背中にひっつきはしないけど、料理手伝ってくれる恵くん。だがしかし、今日と明日作るものは私だけで作るんだよ。恵くんの誕生日だからね!
「包丁で怪我したり、火を使ってやけどしたらどうすんだ」
「料理自体はいつもやってるし、さっき恵くんが言った「こんな美味しいもん作れんだぞ」っていう発言はどこ行った?料理初心者じゃないってば。しかも包丁はチョコ刻むくらいだし火だってお湯沸かして湯煎くらいしか使わないし」
「…意外と、簡単そうだな」
「あんまり難しいのにチャレンジして失敗するよりは無難な感じで行こうと思ってね」
「簡単そうだからくっついてて良くないか?」
「よくないってば、動きづらいんだってば」
ああ言えばこう言う。なんとか恵くんを説得して、リビングへと負い出した。わがままを言っていいとは言ったけど、これはちょっと違う気がする。
あんまり時間をかけるとすぐに恵くんが来てしまいそうなのでちゃっちゃとやるぞ。こうしてケーキ作りをはじめて1時間もしないうちに生地も出来上がって型に流し込んでオーブンに入れる。焼く時間は1時間もしないくらい。
その1時間はひたすら恵くんに抱きしめられていた。良いんだけどね、うん。でも際どいところに手を入れないで。「好きに生きて」の発言以降、前よりもぐいぐい引っ付くようになった。ただくっつくだけじゃなくて、べたべた触るようにもなった。まったくもっていい傾向ではないぞぅ。まぁ嫌ではないので、うん。じゅう、と首を吸われ首に指を這わせて、触り方えっちぃですね。野薔薇ちゃんが「すんごいねちっこそう」って言ったけど、なんか私もそんな気がしてきた。されるがままで、いよいよ怪しくなってきたぞというところでオーブンが鳴った。よし!ベシっと恵くんの腕をはたき落とし、不服ですといった顔をする恵くんをそのまま放置してキッチンへ行く。
「よし、美味しそうにできた。うん、生焼けでもないね」
これを冷ましたら粉砂糖をかけて……、ぐぬぬ。焼き立てが美味しそうだなぁ。私を追ってきた恵くんも焼き上がったケーキを見て「今食ったら、それもまた美味そうだな」なんて言った。だよねぇ。
「…たべたい」
「!恵くんが言うのなら仕方ないね!本当は明日なんだけど恵くんが食べたいなら仕方ないね!」
「…ふ、っ…くッ」
「いや笑い堪えなくていいよ。笑うがいいさ。私が食べたいもん」
まだアツアツだから、ちょっとだけ冷まして包丁で切り分ける。恵くんが皿を1枚持ってきて…1枚?そこに二切れ乗せる。フォークも1本である。おっと、流れがわかるぞ。残りは粗熱取るためにとりあえずそのまま置いておく。「珈琲と、灰原はココア?」「私も珈琲でいいよ。砂糖入れるけど」いつの間にかケトルでお湯を沸かしていた恵くんがマグカップ2つにインスタントコーヒーを入れてお湯を注いでいた。私はケーキを、恵くんはカップを2つ持ってリビングに移動する。
「…おい。なんでフォークもう1本持ってきた」
「あーん、てしてほしかったと」
「おう」
「別にそれは良いんだけどね、一切れ全部はしなくていいでしょ」
「確かに」
「納得してもらえてなにより」
一切れ全部手づから食わせろって言われたらどうしようかと思った。「俺が食ってる間お前食えねぇしな」そうそうそれ。ソファに恵くんと隣合わせに座り、机に皿を置いた。カップも置かれる。
「恵くんの誕生日ケーキだからね、一口目は恵くんに…いや待って、美味しそうだけど本当に美味しいかわかんないよ。味見、いや毒味を私がしたほうが良いのでは?うまく出来た気でいて実は取り返しのつかないミスとか起こしてない?な、ないとは言い切れない。駄目だ恵くん、やっぱり私が先に食べてから」
「俺のケーキだから俺が先だ。譲らねぇぞ」
「でも」
「食 わ せ ろ」
「うぅ…」
あ、と恵くんが口を開けた。どーか上手く出来てますように…!「あ、あーん…」と恐る恐るケーキを刺したフォークを恵くんの口に入れる。そしてぱくり、もぐもぐ。じぃっと恵くんの顔を見つめる。ごくり、と飲み込んで
「ん、んまい」
ふわりと、笑った。う、わ。なんか稀に見るふにゃっとした笑顔で私の身体の体温が上昇した。
「も…ッ元々そんなに美味しくなくても焼き立てってだけで美味しくなるからね!普段はソースつけないと食べる気しないコロッケとかも揚げたてなら何もつけずに食べてもすごく美味しいしね!」
「いや普通にうまいから安心しろ」
フォークを奪われ、恵くんがケーキにフォークを刺した。一口大のケーキが刺さったフォークを、私に向ける。
「ほら」
「わ、私も?…あーん」
ぱくり。…ん、大丈夫だ。美味しい。「な?」と笑う恵くんにうん、と頷いた。…恵くんの誕生日なのに、いやまだ前日だ。恵くんへのプレゼントの一つなのに、恵くんの笑顔が良すぎて私がありがとうって気分だ。うう、ビターなはずなのにすごい甘いぞ。たまらず珈琲を飲む。それからは2人、自分でフォークを進める。
「ごちそうさま。灰原、ありがとな」
「こちらこそごちそうさまでした」
「?」
食べ終わった食器を持とうと立ち上がる…前に恵くんが経って食器を全部持っていってしまった。洗い物…と恵くんの背中を追いかけ、流しの前に立とうとして既に食器を流しに置いた恵くんにひょいっと担がれる。担がれる?
「え、洗い物」
「明日。俺がやる」
「でも他の」
「風呂はいるぞ」
そのまま風呂場に連れてかれて服を全部ひん剥かれる。で、お風呂に放り込まれる。え…?着替え「適当に持ってくる」あ、はい。よくわからないけどまぁいっか。というかいつの間にお風呂沸かしてたんだろう。ちゃんと入浴剤入ってるし。私がケーキ作ってるときかな、気づかなかった。頭を洗ってる間に恵くんが入ってきた。あ、当たり前のように2人で入るのね。そしてされるがまま身体を洗われる。恵くんも身体を洗って2人でふいーっと湯船に浸かる。
「…なんか」
「うん」
「こんな穏やかな誕生日初めてだ」
「誕生日は明日だよ恵くん」
「そうだった」
まだケーキのつまみ食いしただけだよ。プレゼントだって用意してるし、というかまだおめでとうって言ってないし。
ぱちゃ、と湯船のお湯が揺れる。
「お前が見つかる前までは、なんで灰原は居ないのに俺は生まれて、のうのうと生きてるんだってずっと自分を呪ってた」
「…ん、聞いた。だからみんなも恵くんの誕生日は祝わなかったって」
「お前が生きてなきゃ、俺が生きてる意味がないんだ」
「うん」
「お前がこの世界で生きててよかった。生まれてきていて、本当に良かった」
「ふ、ふふ。なんだか私の誕生日みたいじゃない。恵くんの誕生日だよ。恵くん、生まれてきてくれてありがとう。また、私と出逢ってくれてありがとう」
「ん」
「ま、誕生日明日だけどな」と恵くんが笑った。ふふ。でもあと数時間で日付も変わるし。
のぼせないうちに2人でお風呂から上がる。身体拭いてパジャマ着て、部屋に行くと丁寧に恵くんが私の髪にドライヤーをかける。私じゃなくて自分の髪にやってほしい。すっかりさっぱりしてから「あ」と声を上げた。
「作ったケーキ冷蔵庫に入れてない。ちゃんと冷やさなきゃ」
「入れた」
「え、いつ?」
「風呂前。お前の着替え取り行った時に」
「おぉ、そんな一瞬で」
「だからもういいだろ」
もういい、とは。
トン、と軽く身体を押されてベッドに倒れ込んだ。おや?「どんだけ我慢したと思ってんだ」と恵くんにキスされた。待って待って!
「明日じゃなくて!?」
「あぁ?ここに来てオアズケか?ケーキ作ってるときからムラムラしてたっつーの」
「作ってる時から!?せめて食べてる時では?」
「うっせ。いい加減お前食わせろ」
いやいいんですけど!でもちょっと日付変わった瞬間におめでとうって言いたいからアラームだけ付けさせて!「いいけど、そん時お前が正気だったらな」ねぇ!なにその発言!ちょ、まっ!
結局、日付が変わった瞬間に鳴ったアラームは恵くんが「うるせぇ」とアラームどころかスマホの電源を切られ、ついでに言うと恵くんの言ったとおり正気じゃなかった私は恵くんの誕生日の瞬間、おめでとうと言えなかった。
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起きて顔を洗って、とりあえず流しに放置した食器を洗う。布巾で水気を拭き終わった頃、スマホが鳴った。画面には『虎杖』と表示されていた。出ると『ふっしぐろー、誕生日おめでとー!』と元気な声が部屋に響いた。
「うっせぇ。ありがとな」
『お礼言えたってことは、とりあえず吹っ切れた?』
「灰原居て、もう自分を呪う必要もなくなったからな」
『よかったな。いやぁ…あの死にたがりだった伏黒がそんなこと言える日が来て本当に良かった』
「おう」
まったく、虎杖は良い友人である。「それでさぁ、一応伏黒の誕生日プレゼント用意してんだよね。今日…は灰原と2人邪魔したくねぇから行かないほうがいいだろ?」そして中々気遣いできるヤツである。正直に「来ても良いけど玄関までだ。家には上げねぇ」と言ったら「やっぱり」と笑われた。
『じゃあまぁ後日ってことで。今日はどうすんの?灰原とデート?』
「いや、家でゆっくりする」
『へぇー。でもまぁ伏黒外行くよりのんびりが好きだもんな』
「それもあるけど、灰原が動けないからな」
『…んんんー、それはアレですか。ベッドの上から動けない的な』
「合ってるけど想像すんじゃねえ」
『超理不尽!そっかぁ…翌日は動けないだろうって釘崎が予想してたけど、当日もう動けないのかぁ』
あの灰原を食わない理由がないだろ。という言葉を飲み込む。「あんまり無理させんなよー」という虎杖に「まぁ、程々に…出来るわけねぇだろ」と言ったら爆笑された。
『ま、ごゆっくり』
「おー」
通話終了画面が表示されたスマホをスリープにする。と同時に部屋のドアが開いた。
「うう、おはよ…めぐみくん」
「おう。喉ガラガラだぞ」
「だれの、せいだよぉ」
「俺だな」
コップに水を入れて灰原に手渡す。ごくりと一気に飲み干し「そういえばさっき、電話してた?」と灰原は首を傾げた。
「ああ、虎杖から。誕生日おめでとうって」
「虎杖くんだったか。……あれ?」
「どうした」
「…私、誕生日おめでとうって言ってない…ね?」
「あー…そうだな」
昨日の夜から抱き潰して今起きたところだしな。
灰原の頬がぷくうと膨れ上がった。むむぅ、と眉間にシワが寄る。その顔可愛いなお前。
「うわー!!一番は私が言いたかったのに!くそう!結局虎伏か!ありがとうございます!」
「おい今日その発言はいただけないぞ」
「うるせー!恵くん誕生日おめでとうね!!虎杖くんとお幸せに!」
バタバタと自室へと走り去ってしまた灰原。「待ッ」と伸ばした腕が行き先を失う。…スマホを付けて履歴から虎杖の名前を呼び出す。そして電話を掛ける。
『はーい、どったの伏黒』
「おまえ俺におめでとうとか言ってんじゃねえよふざけんな」
『待ってなんで俺怒られてんの?数分の間に何があった?』
虎杖はとんだ災難だろうな、と思いながらも八つ当たりせずにはいられなかった。
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バタンッと勢いよく部屋のドアが閉まった。くそう!虎伏に負けた!
とう!と勢いよくベッドに飛び込む。うーわー!もー!一番にお祝いしたかったのに!恵くんのばかやろー!べしべしと抱き枕を叩く。
…しかし、昨日の恵くんは可愛かったなぁ。あ、ベッドでの話ではなくて。あれは狼でした。ケーキ食べてた時のふにゃって顔の恵くん…可愛かったなぁ。あれ、虎伏で描いたら最高なのでは?バッと起き上がって机に向かう。PCつけてタブレットをつけてさてあの表情の恵くんを…!と思ったところで手が止まった。…なんか、描きたくない。え、なんでだろう。全然手が動かない。はっきりと恵くんの笑顔はイメージできるのに、それを描くことが出来ない。少しだけ考えて、あぁそっか、と自己完結した
「あんな柔らかい表情する恵くんを知ってるのは、私だけが良いんだ」
創作だろうがなんだろうが、あの恵くんだけは他の人に見せたくないと思った。
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伏黒恵
今回の主役
とんでもない地獄からの天国。ジェットコースターがすぎる。
誕生日(の前日から)に椛をいただいた。しあわせ。
灰原椛
無自覚地獄生成装置系夢主。
10月31日が誕生日。誕生日で前世の命日。
GPS仕掛けられていようが何しようが「恵くんだからいっかぁ」って思ってるので中々にイカれてる。
多分これ以上の地獄は生み出さないはず。多分。
虎杖悠仁
いつも通りの被害者その1
釘崎野薔薇
24日に真希さんとデートとか言ってますが、真希さんからしたら可愛い後輩とのただの買い物です。だって荷物持ち虎杖と棘が一緒だし。
五条悟
まだ自分が同人活動をしようとは思ってない時のゴジョサト。夏五絵に買収された。お正月過ぎたあたりで無事報酬を貰えたので喜んでる。
夏油傑
出てないのにいつも通りただの被害者その2
送り犬
今世で妖怪やってる玉犬白と黒。
白が椛のGPSやって黒がそれを恵に知らせる係。
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ふしめぐお誕生日おめでとう!祝え祝え!!
お久しぶりのモブ子とヤンデレ伏黒恵の話です。
※夢小説ですが腐向け要素がありますのでご注意ください※
久しぶりすぎてこのシリーズ忘れ去られてるでしょ、と思ってます。書いてる作者でさえうろ覚えである。6月更新が最後ですしね…読み直してやってください。
1話の夢主紹介でちゃんと「(前世引き継ぎ)無自覚地獄生成装置」って書いてます。でも今回こんな地獄作るとは私も思ってなかった。誕生日とか全然考えてなかったのにもみじっていう名前が時期にドンピシャだったね…。
ちゃんと恵くん大好き夢主なのに恵くんを本当に理解してない。でも限界ヤンデレ恵を理解しろというのが土台無理な話では?と思い始めた今日この頃。
うちのヤンデレは夢主を監禁して独り占めにしたいタイプじゃなく、普通の幸せを享受する中で夢主を視界にいれた全員の人間の目を刳り抜いて踏み潰してやりたいタイプのヤンデレです。こいつを見ていいのは俺だけなんだよ的な。好きな子は絶対害さない。優しくどろどろに甘やかす。
そんな感じのヤンデレが好きです。表現下手くそだな自分。伝われ。
ちなみに夢主は別に恵に監禁されてもまぁいいと思ってる。ネット環境があって薄い本を買える環境であれば。
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