注意事項

※とってもとってもキャラ崩壊です
※夢小説ですが腐向け要素がガッツリ(?)あります
※ギャグしか無い

[newpage]

【夏五本を作ろう】


私は真顔になった。聞き間違いかと思ったし、聞き間違いであってほしいとも思った。がしかし、悲しいかな。耳が悪いわけではない私は正しくその言葉を受け取り、噛み砕いた。うん、呪詛かな?少し申し訳無さそうな顔をする椛ちゃんの両肩に手を乗せる。もう一回言ってくれるかい?

「五条先生に頼まれまして、夏五同人誌を描くことになりまして」
「待って」
「ま、まだ決定じゃないよ。だって絶対夏油お兄ちゃんが嫌がるって分かってたから」
「偉いぞ椛ちゃん」
「でもね…五条先生の土下座攻撃が」
「アイツにプライドというものはないのか?私の知ってる悟は自尊心の塊なんだが?」
「それをさ、道のど真ん中でやられたらさ…周りの目が…」

見た目が良い男に道のど真ん中で土下座される女子高生の図。うっわ、と声を漏らした。椛ちゃんは両手で顔を覆った。可哀想に…ほんっとうに可哀想に。「一旦持ち帰らせていただきます!って言って逃げた…」私と椛ちゃんの目は死んでいた。過激派高火力セコム伏黒恵が居たらこんなことにはならなかっただろう。「伏黒君は?」と聞くと、丁度伏黒くんが用事があって居ないときに捕まったらしい…アイツ仕組んだな。
大体なんで私と悟の薄い本?頭イカれてんのか。嫌がらせにしたってたちが悪いし、自分にも大ダメージを受けるだろ。そうぼやくと、椛ちゃんは「うん?」と首を傾げた。

「五条先生って夏油お兄ちゃんと再開してから、夏油お兄ちゃんを見る目が」
「皆まで言うな」
「甘ったるいよね」
「…」
「っていう…あはは、は…」
「…いや、気づいてはいたし、気の所為ではないんだろうなとは思ってたんだけどね。こう、他人から言われちゃうともうさ…」
「夏油お兄ちゃん、生きて」

死んでる。
大体アイツなんで私の事を?前世普通にグラビア写真集見てただろ?「やっぱおっぱいデカイほうが良いよな〜」とか言ってたじゃないか。恋愛…をするような男では無かったが、不特定多数の女性と付き合いそうなイメージ。高専時代じゃ忙しくてそんな暇…いや、私が知らぬところで遊んでたかもしれないし。「夏油お兄ちゃん、そこらへん五条先生への信頼感ゼロだよね」「だってクズだったし」お前もクズだろ、というイマジナリー硝子が脳内でツッコミを入れた。

「なんで…同人誌」
「五条先生曰く「再会できたからって別に傑とはどーこーなりたいとか、本心思ってるけどアイツはそんな気には絶対ならないだろうし、それで崩れちゃう友情なら黙っときたいし」…あ、やばい私が暴露してる」
「悟の態度でバレてるからいいよもう」
「「現状居心地良いから。でもやっぱり、片想いってつらいから…せめて二次創作内では傑といちゃいちゃしたい」って」
「こんな時、どんな顔をすればいいか分らない」
「笑えばいいと…思うよ…うん。「あと二次創作なら何しても許されるからエロいことしてる本も描いて」」
「許されねぇよ」
「まだ高校生だから無理だよね」
「年齢の問題じゃない!」

肩を掴む手に力が入る。いいかい椛ちゃん、と言い聞かせるように言う。

「悟の言うことは一切聞かなくていい。聞くな」
「う、うーん」
「なんで悩む?椛ちゃん虎伏固定だろ」
「原稿費も印刷代も出すから。出来に合わせて追加報酬もありって」
「なんでアイツそんなに全力なんだよ」
「即売会のサークル参加ってどうすればできるのって聞かれた」
「頒布する気満々かあの野郎」
「断ったらまた土下座されるかな…公衆の面前で」
「私が悟ぶっ飛ばしてよく聞かせるから断れ!!」

腹から声を出した。ら、ガチャリとドアが開く音がした。
そう、今現在私は椛ちゃんに呼び出されて椛ちゃんと伏黒君が住む家にお邪魔していた。
今の状況:椛ちゃんの両肩を掴み、言い寄り椛ちゃんを怒鳴り付ける図。まずい。ぎぎぎ、油の切れた機械のように首をドアの方へと動かす。どんよりとした伏黒君の目と私の目がバッチリと合う。奥底に潜む闇。あ、私死んだ。

「…浮気だ」
「ち、違う!伏黒君、これは!!」
「お前、虎伏以外描かないって言ったじゃないか」





間。
予想外のセリフに目を丸くする椛ちゃん。私はゆっくりと、伏黒君が言った言葉を噛み砕いて、飲み込む。うん、うんうんうん。





「違 う そ う じ ゃ な い !」

伏黒君正気かよ、いいや正気じゃなかったな。私は頭を抱えた。というか全部聞いてたのか。
「椛が描く同人誌で俺が絡まないカプ本は認めない」と拗ねる伏黒君。何故拗ねる。嫉妬のベクトルがぶっ壊れてる。どいつもこいつもイカれてる。
誰かツッコめよ「お前自分の彼女が自分と他の男とBL妄想していいのか!?」って誰かツッコめよ!
触らぬ(腐)神に祟りなし。見なかった・聞かなかったことにしようが全員の共通認識である。まぁそうなるよね。
なお、とんでもない巻き込み事故を起こされ、現在圧倒的被害者である虎杖君が全く同じツッコミをしたらしいのだが「これが椛が望んでることだ」と伏黒君に一蹴されたらしい。絶望顔の虎杖君が居たそうだ。強く生きてくれ虎杖君。
ほんと、なんでこんな地獄生み出すんだこの2人は。

「浮気に当たるので夏五本はダメです、って俺からもよーく五条先生に言っておきます」
「いや、うん…ありがたいけどね…?」
「仕方ないので五伏で手を打ちましょうって提案してみますね」
「私は助かるが君はそれでいいのか。あと悟は拒否すると思うよ」
「嫌いじゃないけど私は虎伏を推したいよ」
「やっぱダメです」
「頭がおかしくなる会話だな…」

私もこうやって灰原姉妹に挟まれて頭がおかしくなったんだよな…。走馬灯のように思い出す灰原姉妹の会話。大体のワードは灰原姉妹の会話から覚え込まされた。知りたくなかったなぁ。「夏油お兄ちゃん、菩薩みたいな顔してる」「悟りでも開いたんじゃないか」「五条先生だけに?」うるせぇ!可愛い妹分でも許さないことがあるよ。椛ちゃんの頭を鷲掴みにして力を込めた。

「え、笑顔!笑顔が怖い!痛い!!夏油お兄ちゃん痛い!!」
「さて、夏油お兄さんとの約束だ。夏五本は描かない、いいね?」
「ひえッ」
「返事は?」
「サー!イエッサー!」

ちゃんと敬礼までした。よし、良い返事だ。椛ちゃんの頭から手を離す。
さて、と指をボキボキと鳴らす。「ヒィ、夏油お兄ちゃん今から人を殺る顔だよ!」あながち間違いじゃない。悟とよーくよーーーく話し合いをしないとね?

「今後頼まれても、まぁ伏黒君が居るなら断れるね?」
「例え五条先生がまた土下座して頼み込んできても、頭踏みつけて断ります」
「いいぞもっとやれ(それはそれで問題になるからやめなさい)」
「本音漏れてますよ夏油さん」

おっといけない。「それじゃあ、私は悟をぶっ殺…お灸を据えに行ってくるよ。お邪魔しました」私は玄関へと向かう。「夏油お兄ちゃん」椛ちゃんの声を背中に受ける。

「強く…生きて。骨は拾うから」
「超不穏」

取り敢えず悟を呼び出してぶん殴る。



◇ ◇ ◇


「ぶっちゃけ」
「うん」
「夏油さんは逃げ切れると思うか?」
「なんだかんだで絆されて言いくるめられて、いつの間にか同棲してたって流れに一票」
「俺も一票」

そんなに会う頻度が無いから、夏油さんは気づかないのだろう。五条先生も隠すのが上手だし。確かに五条先生の夏油さんを見る目が甘ったるいのは周知の事実だけど、まぁなんというか…俺が同類だから分かるのか。奥底に秘めたどす黒い執着が。実のところ、前世からその執着は見え隠れしていた。
俺に語る、呪詛師夏油傑の所業。非術師を猿と罵り、何百もの人間を殺した最悪。「ほんと、馬鹿なことしたよね傑は」と呆れた様子で言った五条先生の、ほんの微かに滲み出ていた後悔の念。「恵もさ、あんまり溜め込まないで本音は言ったほうが良いよ」それはきっと、過去に五条先生自身が殺した夏油さんに言ってやりたい言葉だったのだろう。
執着は、時を重ねるごとに重くなるものだ。俺はそれを体感している。酷い終わりを経験すれば、より酷い執着を持つ。あの人、そこらへんの自覚はないみたいだな。

「僕は恵と違って大人だからさ」

だから、自分が持つ欲を抑えられるとでも言うのだろうか。前々から、俺は五条先生のそういうところを馬鹿だなと思っている。大人だろうが子供だろうが関係ないのだ。執着ってのは自分じゃ抑えられないものですよ、今に爆発するでしょうね。そして五条先生の性格からして開き直るだろう。もう既に変な方向に開き直ってる気もする。

「まぁあれだ、五条先生はあんなんだけど」
「だけど?」
「自分のことを受けだと思ってるからまだ救いがある」
「…私が言うのもなんなんだけど、それ救いかな…?」
「無理矢理に肉体的関係を結ぼうとしても、攻めじゃないならまだ」
「これも私が言うのはなんですが!現実と二次を混同するのはダメです!!」
「そこらへんが五条さんの良くないところで、今のところの夏油さんの逃げ道」
「夏油お兄ちゃん超逃げて!」
「俺が布教だって言って同人誌見せたのが運命の別れ目だったな」
「恵くんはもっと反省すべきでは?私もそれに関してはまだ許してないよ。同人活動してるのリア友にバレるのほんとダメだからね?」

正直…悪かったとは思ってる。けどほら、あれだ

「五条先生も夏五とか言ってるし、最近釘崎もまきのばがどうのって言ってるぞ」
「それは沼るとは言わないよ、二次災害っていうんだよ」
「…椛は、意外としっかりしてるよな」
「オタクはマナーが大事!」

ていうか誰も虎伏に沼ってないよね。という小さなボヤキが聞こえた。そりゃあ…虎杖のあの悲痛な顔をみたら、誰もが憐れむだろうな。あの表情見て誰が虎伏にハマるんだよ。「お前が元凶」と、全員から言われそうだが耳をふさぐ。
椛が推すなら俺も推す所存。




翌日
「いやー傑にぶん殴られたよ。ガチのマジギレで笑っちゃった」とあちこちにガーゼやら包帯やら湿布やらを付けた五条先生が「仕方ないから椛大先生の夏五本は諦めるとして」碌でもないこと考えてる顔だな、と思いながら「絵心が無いからそっちは諦めるとして…僕が小説書くので椛大先生には表紙を頼めないかって思って」懲りないなこの人。知ってたけど。というか椛大先生ってなんだ。

「椛に聞いたら「恵君の許可が下りたらいいですよ」って言ったから」

それ、遠回しに却下されてるんですよ。察してください。
五条先生は膝を付き両手を地面に着けた。おいマジか。

「お願いしますッ!表紙の夏五描いてくださいッ!」
「浮気に当たるのでお断りします」






後日
「道のど真ん中で土下座する白髪イケメンと、そのイケメンの頭を踏みつける黒髪イケメン少年が居た」なんて東京で噂になるが、俺の知ったことじゃない。ただ、夏油さんは死んだ目をしていたし、椛も「五条先生…」と手で顔を覆っていた。あと釘崎から「公衆の面前で変態プレイすんじゃねえよ」と怒られた。大変心外である。シリーズ4話目。というか小話
浮気ってなんだっけ。
是非とも夏油さんの例の台詞の時に例のCDジャケットを思い浮かべてください。

この話から数年後
「五条先生やばい」
「今度は何した」
「五条先生の信用度低すぎないかな恵くん」
「あの人の日頃の行いのせいだ。で、何がヤバい?」
「次出るイベに五条先生も出るらしいんだけど」
「夏油さんにまた殴られるぞ」
「まさかの壁サー」
「マジか」
「大マジだよ。ほら、五条先生のSNS」
「『いつも本を手にとってくれてありがとうございます。なんと!次イベは壁配置になりました!!パチパチ!』猫かぶりすぎだろ」
「フォロワーめっちゃ増えてる…2万だって」
「『今回の新刊は超良い出来で、皆さんに手に取ってもらいたいです』夏油さんそろそろ五条さん殴り殺しそうだな…『ちなみに今回は、僕の知り合いの楓先生に表紙を描いてもらいました!!ずっと頼み込んでたんですけどやっと描いてもらえた!永久保存版決定、装丁めちゃくちゃ豪華にしちゃった!』…楓って、お前のPN…」
「……えへ…」
「夏五表紙描いたのかお前」
「こわい恵くんこわい」
「浮気だ」
「ウッ」
「浮気は許さないって言っただろ」
「浮気なんですかこれ」

浮気ってなんだっけ。
もみじ:カエデ科、椛→楓っていう安直

 
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