[newpage]【逢魔時】

部活は無かったけど、運悪く担任に捕まり雑用を押し付けられ、帰る頃には夕日が地面を橙色に染めていた。はぁ、せっかく早く帰ってゲームができると思ってたのに。肩を落としながら校門を抜けた。すると「にゃあ」と猫の鳴き声がした。

「ミケ」

三毛猫が俺の足元に近づいてきた。三毛猫だからミケ、安直だけど俺はこの名前以外で呼ぶ気はない。
ミケは俺が生まれたときから一緒に居る猫だ。クロなんかより全然付き合いが長い。クロと話してる最中にミケに呼ばれたら俺はミケを優先する。あれはいつだったか、一度「研磨ぁ!俺とミケどっちが大事なんだ!」とめんどくさい彼女みたいなことを言い出したクロに迷わず「ミケ」と答えたことがある。クロはイジケた。俺は無視してミケを抱っこして撫でた。クロの分際でミケに勝とうだなんて思わないでほしい。

「ミケ、帰ろ」

部活がなかったから、部活用のバッグも持っていない。荷物も少ないから両手が空いている。ばっと手を広げればミケはぴょんと俺の腕に跳んでくる。しっかり抱きしめて、俺は帰路へ着く。

はずだった。

いつも通りの道を歩いていた。人通りは多くないにしろ、常時何人かが歩いているような道だ。この時間に部活が終わって帰る学生も居るはず、なのに。
道には人っ子一人居なかった。暫く歩いているはずなのに、車道にも車一台通らない。
それと、音がない。
道路に人が居ないから声は聞こえない。車一台通らないから車の音も聞こえない。民家の前を通り過ぎても、人がいる気配を全く感じない。コンビニの前を通過しても、車が止まっていない。レジに人影が無い。虫の声も鳥の声も、何も、何も聞こえない。
異質な空気に背中がぞわぞわする。

「、まずいかな」

これは絶対に良くない。
たまにこうやって変なことに巻き込まれる事がある。変なヤツに追いかけられたり、学校から出れなくなったり。所謂オカルト的なヤツに好かれているっぽい。全然嬉しくない。
「うなーぅ」低い声を出すミケ。気をつけろと言っているようだった。



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