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いや───『まるで』ではなく、ここは本当に籠の中だったのだ。

代々、ココには月影の塔を守る巫女───聖女が閉じ込められていた。

今の時代では珍しい高い魔力を持つ者が、悪用されないように。

国の為だけに魔力を注ぐように。

国に反旗を翻さないように。

逃げ出さないように。

国に飼われていた。

けれど、現王が王位を継いだ際「一人の女を犠牲にした上に成り立つ国は滅ぶべきだ」と言いだし、色々あった末に私の前の聖女から待遇が変わったのだとか。

お陰で普段の私はココではなく、普通の部屋で暮らす事が出来ていた。

そう、普段は。

悪戯が過ぎてお仕置きに放り込まれたり、大事な行事イコール退屈な時間を逃げ出さないようにする為以外は。

そして今回も大事な行事が迫っていた。

ベッドの上に起き上がり、すぐ脇に備え付けられた小さな棚の上に置かれた一枚の紙に目を通すと、その事が記されていた。

この国の王の戴冠式が明日に控えている───と。

その為に私は呼び戻された。

国の一大行事である王の即位の為に。

戴冠式時に月影の巫女が新国王に王冠を被せる、その高々数分間の為だけに。

その事に私は溜め息を吐く。

───そして。

彼らには悪い事をしたなと反省する。

おそらく彼ら───ディルとユーリもギリギリまで粘っていてくれたのであろう。

戴冠式ともなれば、月影サイドも色んな準備があっただろうし。

周りの者たちへ『巫女の不在』を感ずかれない様、私抜きで準備を進め、そして式を明日に控えた今日。

ついに猶予が無くなり、いつまで経っても帰って来ない私を迎えにきた。

そうでなければ、明日が式だという急な事態にはなっていなかっただろう。

そこまで思案して、思う。

まったく、本当に過保護で激甘なんだから、と。

しかし、それが分かっていて頼り切っている自分が一番甘っちょろいのも分かっている。



「はぁ……」



と一つ、私は気持ちを切り替えるように、ゆっくりと息を吐いた。

さて、と。

いつまでも後ろを振り返っていては彼らに申し訳ない。

これでもかと言う程に迷惑をかけたのだ。

いい加減、現実を見るべきだろう。

不自由でも。

ここに彼が居なくても。



それでも───。

ここでやって行かなきゃならないのだから。


















あとがき

居たい場所と居るべき場所。

どちらも同じなら良いのに。

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