イバショ(1/2)

夢を見た。

賑やかで騒がしい、非日常の世界。

あっと言う間に過ぎゆく時間、面倒な事件。

力強い生命の息吹、温かな眼差し。

最後には全てが幻想だと気づかされる、そんな夢。





「………………」



ゆっくりと目を開け、私は気だるい体を横たえたまま、一つ息を吐き出した。

お祭りの後の喪失感の様なものが心を占拠している。

彼女達と過ごした日々は、それこそ毎日がお祭り騒ぎで。

笑いも怒りも絶えなくて。

それを見るのが心地よくて。





「……楽しかったな」



もっと居たかった。

あの時間。

彼らの隣に。

もっと色んな話をしたかった。

聞きたかった。

彼の言葉を、声を。



ぼんやりと一点を見つめながら、そんな事を思う。

もう一度あの時間へ───。

そんな想いは目覚めた瞬間、見覚えのある石壁を見て潰えた。

何の変哲もない、ただの石壁。

普段なら振動弾(ダム・ブラス)あたりで簡単に破壊してしまえるのに。

そう考え、私は小さく笑う。

随分とまぁ、物騒な思考をするようになったものだ。

以前の私なら精々が天井近くにある、明り取りの窓からの脱出を一番に考えただろうに。

絶対リナさんの影響だな、うん。

……とまぁ、そんな思考はさて置き。

とにもかくにも、普段の実力では簡単にここから出ていける代物ではあるのだが、いかんせん床一面に描かれた五芒星が邪魔をする。

その正体は破法封呪(ルーン・ブレイカー)───魔力の干渉を弱める術である。

その為、今の私には簡単な浮遊の術さえ使えない。

何故そんな部屋に私が居るのか。

その答えは明らかで、『私を逃がさない為』である。

その事実に私は小さく自嘲の笑みを浮かべた。

これではまるで……───。





籠の中の鳥だと。

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