夢を見た。
賑やかで騒がしい、非日常の世界。
あっと言う間に過ぎゆく時間、面倒な事件。
力強い生命の息吹、温かな眼差し。
最後には全てが幻想だと気づかされる、そんな夢。
「………………」
ゆっくりと目を開け、私は気だるい体を横たえたまま、一つ息を吐き出した。
お祭りの後の喪失感の様なものが心を占拠している。
彼女達と過ごした日々は、それこそ毎日がお祭り騒ぎで。
笑いも怒りも絶えなくて。
それを見るのが心地よくて。
「……楽しかったな」
もっと居たかった。
あの時間。
彼らの隣に。
もっと色んな話をしたかった。
聞きたかった。
彼の言葉を、声を。
ぼんやりと一点を見つめながら、そんな事を思う。
もう一度あの時間へ───。
そんな想いは目覚めた瞬間、見覚えのある石壁を見て潰えた。
何の変哲もない、ただの石壁。
普段なら振動弾あたりで簡単に破壊してしまえるのに。
そう考え、私は小さく笑う。
随分とまぁ、物騒な思考をするようになったものだ。
以前の私なら精々が天井近くにある、明り取りの窓からの脱出を一番に考えただろうに。
絶対リナさんの影響だな、うん。
……とまぁ、そんな思考はさて置き。
とにもかくにも、普段の実力では簡単にここから出ていける代物ではあるのだが、いかんせん床一面に描かれた五芒星が邪魔をする。
その正体は破法封呪───魔力の干渉を弱める術である。
その為、今の私には簡単な浮遊の術さえ使えない。
何故そんな部屋に私が居るのか。
その答えは明らかで、『私を逃がさない為』である。
その事実に私は小さく自嘲の笑みを浮かべた。
これではまるで……───。
籠の中の鳥だと。
ALICE+