「…………はぁ」
と一つ息を吐き、私の意識は覚醒する。
目覚めの第一声が溜め息とは我ながらどうかと思うが、夢の中でも書類仕事に追われ、その事に再度───否。
先程以上に重くて長い息を吐き出す。
───ここに強制送還させられた次の日。
国にとっては大事な、私にとってはあまり興味の無い式典が待ち受けていた。
朝、本来ならば光栄であるはずのその場に相応しい装いにさせられ、準備万端抜かりなし。
さぁいざ重苦しい場所へ……と言う所で城からの使いが来て、
曰く『王子が風邪を召されたので式は延期致します』とのお言葉を頂戴した。
いやはや。
あまりの展開に次期国王陛下には地霊咆雷陣という雷の雨をプレゼントしようかと。
その事を気の弱そうな使いの方に申し入れると、冷や汗ダラダラ流しながら視線をさ迷わせ始めたので流石に可哀想になり思いとどまったけど。
───でも。
「あ、あの、王子としましても風邪は不可効力な訳でして……」
「えぇ、そうですね。私もまさか故意に風邪をひかれたとは思っておりません。次期国王ともなれば日々の生活がさぞかし多忙でいらっしゃるのでしょうし、体調管理が疎かになってしまう事もあるでしょう」
「……え、えぇ。」
でも───だ。
「そんな次期国王陛下にお見舞いの言伝をお願いできますか?」
先程の厭味を織り交ぜた言葉とは一転、私は困ったように使いの人を窺い見る。
そんな私を見て、ホッとした表情を見せた彼は「えぇ、なんなりと」と、快く引き受けてくれた。
それに対し私は心からの笑顔を浮かべ、
「ふざけんな」
「………………」
「そう巫女が言っていたとお伝え下さい」
ニッコリ笑顔で伝えた言葉は、使いの人を固まらせるのに充分な威力を発揮した。
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