(3/4)

そんなこんなで式は延期。

一週間後───正確には今から2日後に向け、再調整の為の書類を夢に見る程たんまりと渡され今に至る、と言う訳である。

それにしても、夢でくらい良いものを見たいものである。

折角の仮眠が台無しだし、現実でも夢でも仕事ってどこのワーカーホリック者か。

そんな事を思いつつ、私は仕事机に向かうと再度息を吐き、書類を手にした。

さらっと目を通し、サインを入れ、次の書類をチェックする。

そんな単純作業を数回繰り返し、その最中。

文章の中に次期国王の名前を見つけ、私は眉をしかめた。



まったく。

あの王子様は昔からここぞと言う時にヘマをする。

たとえ悪気はなかったにしろ───。

たとえ仕方のない事だったとしても。

不可抗力だったとしても。

それでも。

それでも文句の一つでも言わずにはいられなかった。



最初から一週間ズレてれば……。



その一週間があれば無理矢理連れ戻されることもなかったのに。

約束を果たす事も、ちゃんと別れを告げてくる事も出来たのに。



どうしたってその想いが出てきてしまう。

折角気持ちを切り替えたのに、まったく、本当に……。



「タイミングが悪いんだから」



そんな私の呟きに返ってきたのは一つの声。



「……あら、誰のタイミングが悪いって?」



…………この声は。

書面から顔を上げれば楽しげな、それでいて尊大な態度の『彼女』の姿。

私はやれやれと嘆息し、そして肩を竦めてみせた。



「……さぁ、誰でしょうね」



───と。

<<>>
[ 戻る ]


ALICE+