そんなこんなで式は延期。
一週間後───正確には今から2日後に向け、再調整の為の書類を夢に見る程たんまりと渡され今に至る、と言う訳である。
それにしても、夢でくらい良いものを見たいものである。
折角の仮眠が台無しだし、現実でも夢でも仕事ってどこのワーカーホリック者か。
そんな事を思いつつ、私は仕事机に向かうと再度息を吐き、書類を手にした。
さらっと目を通し、サインを入れ、次の書類をチェックする。
そんな単純作業を数回繰り返し、その最中。
文章の中に次期国王の名前を見つけ、私は眉をしかめた。
まったく。
あの王子様は昔からここぞと言う時にヘマをする。
たとえ悪気はなかったにしろ───。
たとえ仕方のない事だったとしても。
不可抗力だったとしても。
それでも。
それでも文句の一つでも言わずにはいられなかった。
最初から一週間ズレてれば……。
その一週間があれば無理矢理連れ戻されることもなかったのに。
約束を果たす事も、ちゃんと別れを告げてくる事も出来たのに。
どうしたってその想いが出てきてしまう。
折角気持ちを切り替えたのに、まったく、本当に……。
「タイミングが悪いんだから」
そんな私の呟きに返ってきたのは一つの声。
「……あら、誰のタイミングが悪いって?」
…………この声は。
書面から顔を上げれば楽しげな、それでいて尊大な態度の『彼女』の姿。
私はやれやれと嘆息し、そして肩を竦めてみせた。
「……さぁ、誰でしょうね」
───と。
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