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爆裂陣(メガ・ブランド)ーーーっ!!」



ずがどぁぁぁぁんっ!

吹き飛ぶ建物、兵士達。

そうして、たった一撃で部隊を壊滅状態に追いやった彼女は、満足そうに(ブイ)サインを掲げる。



「ちょおろいっ!」



しかし、流石は腐っても王国軍。

瓦礫から這いだした指揮官は、旗を振って攻撃を開始するようにすぐさま指示を出していた。

それを見て、不敵に笑うリナさん。



「ふっ、ちったぁ骨がある奴みたいね」

「リナさん、それ悪役のセリフです!」



彼女の元へと駆け寄りながらアメリアさんが指摘するも、言って反省するようならリナさんじゃない。

───……と言うか。

物凄く今更な気もするけど、もしかしなくてもこれって、面倒ごとでは?

思う内にも砲身がコチラを向き───



「リナッ! ここは一旦引け!」



ゼルガディスさんの言葉が合図だったかのように、大砲が飛んでくる。

それらを回避しながら思うのは、『あぁ、完全に巻き込まれるやつだ、コレ……』という諦めにも似た覚悟。



「お前らっ!」



逃げに転じる私達に、ワイザーさんの張り上げた声が降ってきた。

慌てて辺りに視線を巡らすと、私達の頭上にかかる橋の上からコチラを見下ろしているのが見て取れる。

ご苦労な事に、いつの間にか先回りをしていたらしい。



「このまま逃げるつもりか!?」

「これじゃ国家間の問題に発展しちゃいますよぉっ」



ワイザーさんの言葉を受け、アメリアさんが困り顔で言う。

───が、喧嘩を売られ、リナさんが黙っているはずもない。



「そんなの知ったこっちゃないわよ! あたしに手を出そうなんて方が悪いの!」



けれど、最悪戦争にまで発展するかもしれないと思われた問題は、ゼルガディスさんの言葉で霧散する。



「安心しろ、その心配はない」

「何っ!?」

「仮にも一国の軍隊が小娘一人にやられたなんて、恥ずかしくて(おおやけ)には出来んだろ」

「う゛ぅっ!!」



彼のいたって冷静な判断に、ワイザーさんがうめいた。

どうやら、とっても痛い所を突かれたらしい。



「という事は……」

「このまま逃げ切れば問題なしだ」



その懸念を払拭(ふっしょく)させるゼルガディスさんの推論に力を得、私達は再度走り出す。



「あそこから街の外に出られるみたいですよ!」

「おう!」

「ま、待てお前ら!」

「残念だがリナを捕まえるつもりなら、この国の全師団を連れてくるんだな」



後ろから追いかけてくるワイザーさんに、どこか楽し気に(うそぶ)くゼルガディスさん。

リナさん達も余裕で外壁の門へとまっしぐら。

この状況で切羽詰まった状態なのは私だけである。



もちろん───体力的な意味で。



ぜぇはぁと息を切らし、それでも何とか置いていかれない様に走り続ける。

すっかり失念していたけど、帰ってから数か月、運動らしい運動をしていなかったのだ。

元々体力のあまり無い私が、運動不足。

更に坂道が多いものだから、余計に体力が奪われる。

これでは四人のペースについて行けるハズがない。

そんな最中、前方で街の入口へと到着しそうなリナさん達の前に、巨大な代物が外壁を壊しながら現れた。



「なっ、何よコレ……?」

「カメ……?」

「間に合ったか! これぞルヴィナガルド王国が開発した試作魔道戦車(ゼット)1号!」

「試作戦車? その亀みたいのが?」



驚き立ち止まるリナさん達の前に回り込み、ワイザーさんが突如現れた物体の説明をする。

そのおかげでリナさん達に追いつく事ができ、私は膝に手を当てながら息を整えた。



「リクガメの機動力と重装甲、そして巨大な火力を備えた無敵の機動兵器だ!」

「リクガメの機動力……? じゃ、走って逃げるか!」

「だな!」

「しまった! 弱点に気付かれたっ! 待て! せっかくここまで来たのに!」



って、また走るのっ!?

心情としてはワイザーさんに近いけど、ここで立ち止まる訳にもいかない。

仕方なくリナさん達を追いかけようと走り出し───けれど。

すぐに立ち止まった彼女達を疑問に思いながら近づくと、そこには追いかけて来た兵士達の姿があった。



「もうここまで追いかけて来たのか」

「これじゃ挟み撃ちです」



戸惑う内にも、魔道戦車から砲弾が飛んでくる。

それを(かわ)し、臨戦態勢に入るリナさん達。



「しゃーない、そこまでするなら相手になってやろうじゃないっ!」



言ってリナさんは火炎球(ファイアー・ボール)を直撃させ、その後を追随したガウリイさんが剣を一閃。

けれど、余程頑丈な装甲なのか、魔道戦車に傷はつけられなかった。

更にはガウリイさんが使っていた剣が折れ、そこを狙い撃ちにされる。



「ガウリイっ!」



そこに立ちふさがるゼルガディスさん。

爆発による土煙が晴れた後、そこに佇む彼の姿は無傷だった。



「残念だったな。おれの体は特別製でな、その程度の攻撃じゃビクともしない」

「流石ゼル!」



涼しい顔で告げるゼルガディスさんに、リナさんが笑顔になる。

巻き込まれたガウリイさんは隣で焦げてるけど……。

庇ってあげた訳ではないらしい。



「戦車は装甲が厚い、狙うなら足元だ!」

「おっしゃあ!」

「はいっ!」



ゼルガディスさんが的確な指示を下し、リナさんとアメリアさんがそれに応えた。

取りあえず走る元気の無い私は、ガウリイさんに回復呪文をかけながら戦況を見守ることにする。



地撃衝雷(ダグ・ハウト)っ!」

霊王結魔弾(ヴィスファランク)!」



リナさんが大地に干渉して錐状の岩を隆起させて魔道戦車を持ち上げると、そこに魔力を(まと)った蹴りを炸裂させるアメリアさん。

さしもの魔道戦車も、この連撃には耐えられなかったようでバランスを崩し、横倒しになる。



「ナイスけたぐりぃ♪」



リナさんの嬉々とした声が飛ぶ。

が、そうそう喜んでもいられない状態に。

ぐらりと傾いた魔道戦車が坂道を転がりだしたのだ。



「え?」

「どわあああああ」



慌てて避ける私達。

そのまま魔道戦車は勢いを増しながら転がり続け、後ろで待機していた兵士達を跳ね飛ばしていった。

その様子を唖然と見守る以外に、私達に出来る事はない。

あ、ワイザーさんも()かれてる……。

避けられなかったんだ……。

そうして王国軍と街に多大な損害を与えた魔道戦車は、道を曲がり切れずに建物に激突し、ようやく動きを止めたのだった。

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