私、高校2年生のはずなのだけれど。赤木雪乃がぼんやりとそう思う中、夏と思っていた季節はいつの間にか……春。時の流れとは早いもので、とかそんなものではない。寧ろ逆だ。桜が花を咲かせ新入生を歓迎するかのようにゲートを作り通学路を彩っている。そして赤木雪乃はその新入生に混じって通学路を歩いていた。もう一度云う。季節は春、赤木雪乃の時間はいつの間にかーー高校1年生の春まで遡っていたのだ。
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朝起きて日付を確認すれば1986年の4月で、家にいるはずの両親はどこにもいなかった。普通は警察を、と考えるが……何をどう伝えればいいのか。私、2014年に生きていたはずなんですがタイムスリップしたみたいで両親もいないんですーー冗談ではない。とにかく情報が必要だと雪乃は悟った。だから部屋にかけられていた制服に腕を通し、机の上に置かれていた生徒手帳を頼りにまずは高校(当然、雪乃の通っていた高校ではなかったが、)に向かったわけだ。
その高校に着いてまっさきに目に入ったのは入学式定番の看板……の隣で写真撮影をしている青年であった。写真撮影をしているところを見ると自分と同じ新入生なのであろうが、とにかくデカい。それと、どこかで見たような……。青年の母親らしい人物が呼びかける。
「承太郎!撮るわよ〜」
ふと、ここで違和感を感じた。
承太郎って、あの承太郎?
友人に借りて読んだ漫画が頭をよぎる。しかし、目の前にいる彼はあまりにも違い過ぎていて……そもそも不良じゃない、あの特徴的な学ランではない、何より優しく微笑んでいる。よって私の勘違いである。そんなことより結局ここはどこなのだろう。
青年のことなんか頭からすぐに追いやってしまった私が、数ヶ月後不良へと変化した彼を見てここがあの漫画の世界であると確信するのは、もう少しあとの話である。