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土井先生が明日このクラスに転校生が来ると仰ってから教室は騒然とした。
「「転校生!?」」
「ずっとアメリカの学校に通っていたらしくてな、慣れないことも多いだろうから色々教えてやるんだぞ」
はぁーいと息の揃った返事の後に続くのは1年は組……、もとい3組お決まりの質問攻めだった。「ナメさんは好きですか」「からくりに興味はありますか」「趣味はなんですか」「男の子ですか女の子ですか」エトセトラ。一斉に喋るもんだから土井先生が「本人に聞け本人に!」とみんなを落ち着かせる。これまたはぁーいと元気に返事をした僕たちだけれど、まだ見ぬ新しいクラスメイトにソワソワしっぱなしだった。
「でもそうだな。さっきの質問にひとつだけ答えられるぞ」
「え!その人ナメクジ好きなんですかぁ!?」
「違うそこじゃあない!!」
「えぇ〜?じゃあなんなんですかぁ?」
すっかり落胆してしまった喜三太が残念そうにしながら聞くと、土井先生はにっこりと悪戯っぽい笑みを浮かべた。みんなはそれを不思議そうに見ている。だって、土井先生のあんな表情は珍しい。僕もその転校生が何者なのか少しでも知りたくて、土井先生の言葉に耳を傾けた。
「ふっふっふっ驚くなよ〜……。なんとその転校生は、」
「女子だ」
え。
「「…………え、えぇええぇぇええええ!!??」」
「このクラスに女子!?」
「うそだぁ!」
「9年間女子と別のクラスだったのに!!」
僕たちの反応に土井先生は満足したのか更に笑みを深めた。教室がざわざわと一層騒がしくなった一方で、僕の頭に真っ先に浮かんだことは「このクラスに女の子が来て馴染めるのかどうか」ということだった。
僕たちは「昔」からずっと一緒だったし、小学校に入ってからの9年間も一緒に過ごしてきた。は組のトラブルメーカーな性質は現世に生を受けてからも変わることはなく、ずっと「昔」と同じようにみんなで乗り越えてきたのである。トラブルメーカーな性質のせいか他の人たちと隔離もされたが、僕たちはそれでも良かった。
だって、嬉しかったのだ。またみんなと笑って過ごせるなんて。
みんなも同じように思ったらしく生まれ変わってから僕たちの絆はますます深まっていった。それこそ、他の人が踏み込めない程に。そんな状況の中で転校生。ましてや女子なんて。……こんなことをしてはその女子生徒が浮いてしまうのでは?学園長は一体何をお考えになったんだろう?女子生徒をこのクラスに引き入れるメリットが浮かばない。
「難しい顔してどうしたの?」
「伊助、……いや、何でもないよ」
隣に座る伊助に尋ねられ咄嗟に誤魔化す。考えたって仕方がないか。それに本当に何の意図もないのかもしれない。ここはあまり邪推せず新しく増える仲間を迎え入れる気持ちでいよう。
「そうだ庄左ヱ門」
「はい」
先生に名前を呼ばれ返事をする。
「困っていたら積極的に助けてやってくれ。任せたぞ委員長!」
「はい。分かりました」
僕が転校生の世話係ということだろう。転校生の話題が出たときから委員長として回ってくる役回りなことは予想の範囲内だ。
「僕らのクラスに女の子かぁ。何かヘンな感じだね」
「確かにね」
「でも楽しみだね!」
「ね、庄左ヱ門!」その伊助の呼び掛けに僕は返事はせずただ笑みを浮かべるだけでまた誤魔化した。
異分子介入