土方 上京


「江戸に出てこないか」

そう言ってくれたのは近藤さんだった。
江戸市内で執り行われたミツバさんの葬儀。大好きな彼女が煙となり空にまざっていく様を眺めていた。
彼らの上京後、私は武州に残り病気がちなミツバさんの身の回りのお世話をさせてもらっていた。そのミツバさんが亡くなり、身寄りがなくなった私に近藤さんが手を差し伸べてくれた。
「隊士が結構増えてな。家事なんか不得手な野郎ばっかりだから手伝ってもらえると助かるよ。」
ミツバさんがいなくなった今、すべきことも無く途方にくれていた私には希望に溢れた言葉だった。ちらっと軒下で煙草をふかす土方さんを見たが、彼は何も言わなかった。まるで「勝手にしろ」とでも言っているようだ。
「お世話になります。」

大好きな彼女が愛した人。

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