安室 再会の手前


「しばらく仕事で帰れそうにないんだ。」

そう話したその晩、零は荒々しく私を抱いた。何かを確かめるように私の肌に触れ、口づけた。
気が遠くなるほど長い時間、彼と肌を重ねていたように感じたがその間私達に会話はなかった。
まるでそれが最後の夜になると知っているかのように…。


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零が家を出て2年が経った。
友人に勧めてもらった米花町のアポロという喫茶店にやってきた。
ここのサンドイッチが美味しいと最近一部で話題なんだそうだ。

「サンドイッチを一つお願いします。」
「ごめんなさい、今日はサンドイッチしてないんです。」
「あ…そうなんですか。…じゃあ、ホットコーヒーで。」
「かしこまりました。」
「…おいしい。」
「最近働き始めたバイトさんがすごく博識なんですよ。コーヒー豆のことも結構詳しくって、その方のオススメの豆に変えてみたんです。」
「へぇ*、うん、ほんとすごく美味しい。」
「実はお客さんが今日頼んでくれたサンドイッチもそのバイトさんが作り方を教えてくれたんです。今日は材料切らしちゃってるんですけど。」


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