北村一輝2


腹筋する先輩の足を抑える任務を任された。
…のは、良いがこれはダメだ。

ふっ…はっ…はぁっ…

先輩の体が上がってくる度に、体の距離が縮まる。
その度に息がかかる。
色気が溢れる吐息に私は正直ドキドキが止まらない。

とはいっても、彼には気づかれてはならない。
近づきすぎないように少しだけ体の重心を後ろに持っていく。

「おい…」
「は、はい!」
「もっと体重かけろ」

足が浮くだろうが、とトレーニングは中断することなく言う。

「でも…ちょっと…近くて」

ぴたりと先輩の動きが止まる。

「近いって…」

「男と付き合ったこと無い訳でもないだろ?」

「お、お付き合いしたことは一応…ありますけど…」

「そうか」

ちらっと見た先輩の顔はなぜか嬉しそうで。その意味をその時の私はまだ理解できなかった。

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