桂女装1


夜勤が終わり、クタクタの状態で帰宅したのは明け方だった。
もうこのまま布団に倒れこんで一日中寝ていたい、そう思っていた。

「何してるの?」

アパート前に着くと、無人の筈の私の部屋に灯りがついていた。
可能性は三つ。仕事に行く前に私が電気を消し忘れたか、泥棒が入ったか…そして。

「む?蕎麦を湯がいている。お前の分もあるぞ」

答えは第三の可能性だった。
数週間ぶりに恋人がやってきた。攘夷攘夷と忙しなく動き回っているこの男は、普段どこで生活しているのかは未だによく分からないが、忘れた頃にこうしてふらっとやって来る。
そして今日も突然だった。

「あ、ありがとう。おなか空いてたんだ〜…って違う違うちがーう!」

「なんだ、きつねもあるぞ」

「だから違うってば!」

なぜかうちで蕎麦を湯がいていた…女装姿で。

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