朝起きてランニングへいく。
これがいつから日課になったか正確には覚えていない。体力を落とさないよう、負けたくないとそんな感じだった気がする。だから、今日も朝起きてランニングをして、シャワーを浴び、朝食を食べて朝練へ向かう。
一緒にいこう!と約束した覚えはないけど、ここの曲がり角で待ち合わせするのが当たり前になっていた。いつもより十分早く着いてしまった…いるわけないよな。俺が早く着いてしまったんだから待つか…と壁にもたれかかっていると「あ、おはよう」と俺の待つ人物とは別の人が通りかかった。
「はよ、花篭。今日ははやいんだな」
「金田一も、早いじゃん!寝れた?」
「まぁ、そこそこ」
「…大丈夫、だよ!いつも通りいこう」
「あぁ、そうだな」
「じゃあ、準備あるから先行くね」
「おぅ、後でな」
マネージャーの仕事があるから早いのかそれとも花篭も今日の午後の練習試合があるから気合いをいれているのか…分かんないけど、やっぱり緊張するよな、と考えながら携帯で「ついた、まだかかる?」と連絡をいるとすぐに「今出た」とメッセージが帰ってきた。
こいつの「今出た」は家を今出た、なのか、今布団から出たなのかどっちなんだ!頼むから主語を付けてくれ、とメッセージ画面を十分程ほど開いたまま考えていると「はよ〜」と覚め切っていない目をこすりながらやってきた。今日は前者のようで良かった。
「お前はいつも通りだな」
「…何の事?」
「お前がくる前に花篭に会ってさぁ、あいつも練習試合気合いを入れるのかもな」
「ふ〜ん、あいつも、って事は金田一緊張してるの?」
「まぁそれなりにするだろう」
ちょっとムキになって言い返すと「寝れなかったんだね、納得」と一人で俺が早く着いていた事見抜いて、うなづいていた。
「そーゆう、お前も昨日は寝れなかっただろ!」
「凄い寝た。高校入って一番寝た」
国見に限って寝れない事はないと言った後で後悔をした「あー!そうだった、お前はいつも寝てるもんな」と呆れたように言えば「…いつもじゃないし」と否定はするけど、だいたいいつも寝てるので、本人も少しは自覚があるようで良かった。
学校について、部室棟の階段を駆け下りてくる花篭が「あ、き…っ!金田一、国見、おはよ」と手を振ってくれた。さっきも挨拶したけどなぁ、と手を振ると「…ふふふっ」と、口元を隠すも声が漏れている国見は高校入って一番寝たからなのかどこかご機嫌だ。そして「わかりやすいよね、花篭」と国見が言った。
あぁ、やっぱりそうゆうことか。
中学から一緒でクラスも一緒になったりしてそれなり花篭の事見てきたけど、今のように階段を駆け下りるなんて、あからさまに機嫌がいい原因は一つしか思い当たらない。
「…影山か」
と零した。今日、午後の練習試合は烏野で、花篭は中学で最後まで影山と受験勉強を一緒やっていたとこを見たことがある。あいつの何処がいいのかわかんねぇけど…と考えている「…金田一って、ほっんと馬鹿」といきなりの悪口に「は?なんだよ」っていつの間にか俺を置いて部室に入っていく国見を追いかけた。
あれだけ機嫌が良かった国見が少し機嫌を悪くしたももの朝練後には、いつも通り眠そうにしていて、放課後には、また機嫌が良くなっていた。やっぱり、こいつも烏野との練習試合気合い入れてんだなぁと口にはしないけどそう思った。
影山が変わっていた。
練習試合を終えて、花篭の片付けを手伝っている時に少しだけ影山と話すと「驚きすぎだよ、金田一」と花篭が笑った後に「…でも、良かった」と安堵の表情を見せた。あぁ、花篭は今日、俺らとは違った緊張を持っていてくれたんだって思うと少し胸が痛む。
「……ぁりがとうな、花篭」
そう、影山が言うと花篭はまた笑って「私は、何もしてないよ」と返した。でも、やっぱり嬉しそうだった。
「そろそろ、お見送りの時間だから影山の事校門まで連れていくから、金田一ココお願いしていい?」
「…ぉう」
「俺、一人で戻れるから大丈夫ッす」
「なんで、敬語?」
「いや、なんとなく…?」
「変なの、ほら行こう!置いて行かれちゃうよ」
影山の背中を押しながら校門へ向かっていく二人を見届けた。やっぱり花篭は影山の事を好きなのかなと考えていると、体育館に繋がっているらドアが開いて「高柳先輩が呼んでるよ…あれ?花篭は?」と国見がここにいるはずの人物がいなくて少し驚いている。
「影山のこと、校門まで連れて行った」
「…へぇー」
「なぁ、国見。お前、影山の好きか?」
「…は?」
「花篭はなんで、影山がすきなんだろうな?」
花篭に任された仕事を終えて、体育館に戻ろうとした時に、頭の中にあった疑問を国見に問いかけた。別に、国見から答えが返ってくるとは思っていない。まぁ独り言みたいなものだったので体育館のドアに手をかけると「…っ…だ…っ!」と上手く聞き取れなかった。国見の顔に視線を向けると朝見た機嫌の悪い顔をして、俺を睨みつけて、今度ははっきりと聞こえるように言った。
「ゆりは、俺のだから!」