01
長く伸ばした髪にまだ慣れない春
私は、名門白鳥沢学園へ入学した。入部している人のみ寮で生活できるので、一週間後海外転勤が決まっている親に引き連れられたくないので、何か部活に入らないといけない。
「今日から新入生も練習に参加します。名前とポジションぐらいの挨拶を順によろしく」
とコーチに言われて、右側から行こうと言われて順々に終わり左端で隠れるようにいた私の番がやってきた。
「一年四組みょうじなまえです。中学では選手だったので、マネは初めてです。よろしくお願いします」
視線が痛い。
挨拶前から感じていたけど、白鳥沢男バレに女子マネージャーがいないようで、凄い視線。
でも、それは挨拶の時だけで、練習が始まれば関係ない。バレーボールの選手だったから、選手目線で考えて行動している時に突然「マネの、みょうじだっけ?」と声を掛けられたのに驚き「はいっ!」と大きな声で返事をして振り返った。
「ぁっすみません、声、大きかったですね、気をつけます」
「別に、元気があっていいんじゃない?」
「…あ、りがとうございます」
「洗濯の場所、教えてもらった?」
「まだです、」
ドリンクボトルをボトル置いて、「じゃあ、こっちきて」とさっきまで練習していたのに案内してくれるので「休まなくていいんですか?」と聞くと「今から休む」と返ってきた。
あれ?案内してもらえると思ったら違うのかな?と先輩の後ろを付いて行った。
白鳥沢学園は、全て大きくて綺麗なのは知っていたけど、部活で使う洗濯機までも、ホテルの一角にあるコインランドリーのように広くて、数も多くて綺麗だった。
数多くある内の二つに【男子バレーボール】と札がかけられていた、もう洗濯が終わっている状態だった。
「札はあそこに各部まとめてあるから探してて、使い終わったら戻す」
「はい」
「じゃあ、これ、後よろしく」
「はい…?」
そう言って、一番小柄な先輩は体育館へ戻って行った。……なるほど。今から休憩すると言うのは、これをやれって事だったのか。でも、ちゃんと教えてくれる優しい先輩で良かった。
洗濯機二台分の中身を見ると一回では運びきれそうにないので、二回に分けて運び干した。その後もドリンクの補充をして、汗がついた床を拭いたりして、一日目が終わった。
中学時代男子バレーボール部の先輩は少し変わった人がいたので身構えたけど、やっぱりエリート校にはそうゆう人はいなくて安心していた…のも、束の間。
「ねぇねぇ、君」と秒で私の安心が壊してくれた。
「なんで、選手やめちゃったのーオ?」
「怪我でやめました」
「えー、ゴメン、聞いちゃだめやつだった?」
「いえ、そんな事ないですよ」
次は、前のめりになりながら「じゃあさ、じゃあさ、なんで男子なの?」と私が答える前に「おい、天童っ!」と別の部員が止めに入った。
「ごめんね、こいつ、無神経な奴で」
「瑛太くんだって、気になるデショ?むしろ、みんな気にしてるヨ」
「いや、だからって今、聞くなよ」
初日の練習が終わり、今は、部員がストレッチして体育館にはボールの音無く、シューズの音もない静まり返っていた。部員全員に聞かれてしまっている。
間に入ってくれた先輩が、申し訳なさそうにしているのが、不思議だった。「…バレーボールが、好きだからです」と私が口を動かすと、口論していた四つ目の目が私を捉えた。
「バレーボールが好きで、始めたんですけど…怪我で選手は出来ないとドクターストップになってしまったので、女子と迫力やスピードの違う男子なら、選手に戻りたいって気持ちにならないと思ったので、選手のサポートができるかな…?と思ったからです」
と答え終わった途端、天童と呼ばれた先輩は、私の目を見ながら「つぅ〜とぉ〜むっっ!」と声をあげて、ある部員の所へ一瞬で移動した。
もう一人の先輩は、頭を抱えていたので「…っダメでしょうか?」と聞くと「いや、違うみょうじは悪くない」と言われた。
そして、天童先輩がツトムと言う部員の首を締めながら戻ってきた。
「コイツがねぇ、“あのマネは、選手狙いでマネしているだけの奴だから、サポート教える時間の無駄ッス“って言ったんダヨ〜、ねぇ、工」
「っっ!絶対さっきのは、ウソです!だって、今日教室で、彼氏ほしい〜て言ってましたもん」
「そうなの?」
クラスの女子との会話を戻し出すと、多分それは私が言った言葉だけど「その後に、でも、恋愛はもう懲り懲りかなって」続きを伝えると、また首を締められた。もう一人の選手にもポコポコと頭を叩かれていた。
「みょうじなまえは、初日、俺よりもクラスメイトにチヤホヤされてるンすよ!絶対うちの選手にチヤホヤされたいんですよ」
「女子に嫉妬してるンじゃないヨっ!」
「…だって、羨ましいんですもん」
「素直か」
「だからって、ウソ言いふらすなよ。今日、変な目で見られていたよな?こいつのせいなんだ、ごめんな」
先輩に、髪の毛をグシャグシャにされるがままで、先輩への態度だったりで、気づけなかったけど「あっ、五色くんっ?!」と指を指してしまいそうになった。先輩も私の声で、手が止まり「…は?何、いきなり」と首を絞められていた部員に睨まれた。
「教室にいる時と雰囲気が、全然違ったから気づかなかった!前の席の五色だよね?」
天童先輩の手が、五色くんの口元を抑えてしまったので「…っっ!まっ!」と言葉が聞き取れなかった。まぁ、それよりも、クラスでも話せなかったので、クラスメイトにしたような挨拶をした。
「もっと、喋り掛けにくい人かと思ってたけど、全然違ってよかった、改めて、クラスも部活もよろしくね」
「ヘェ〜、工って、クラスでどんな感じナノー?」
「…クール?…オレ様?んーっ、気安く話しかけるんなって感じのオーラ出てます」
「ぶっははっ!なにそれ、おもしろ〜ッッ」
天童先輩だけでなく離れた所にいた他の先輩方もクスッと笑っている声が聞こえた。五色くんは顔を真っ赤にして「オレのキャラがあぁ」としゃがみ込んでいた。言っちゃいけなかったのかな…と五色くんの前にしゃがんで「ごめんね?」と謝った。
ゆっくりと顔をあげると綺麗に揃った前髪が少し乱れたまま「…あ、うん。もういい…よろしく」と手を出してくれたので、ゆっくりを、手を取ろうとした時、五色くんの額にドリンクボトルがドンっと当たり、勢いよく後ろへ五色くんは尻餅をついた。
「いたっ!白布さん、何するんですか」
「お前は、マネージャーに謝るのが先だろう」
「マネは、男狙いって言いふらしちゃったもんね」
しゃがんだまま、白布先輩を見上げると大きい。もう一人は先輩は巨人並み。なんて、考えていると五色くんが「…みょうじなまえ…ごめん」と小さく言った。「気にしてないよ」と返す言葉と同時に「声が小せぇよ」とまた、白布先輩に怒られていた。
「ねぇねぇ、五色くん、私も工って呼びたい。呼んでいい?」
「…べ、別いいけど…」
「じゃあ、私のことフルネームじゃなくてなまえって呼んでほしいです。クラスの子にもそうやって今日言ったから」
「まぁ、そこまで、呼んでほしいな、呼んでやらない事も…ない」
そっぽ向く、五色くんに「お前、めんどくせぇな」とか「照れてるノー?」なんて先輩方に声をかけれていた。そして、そのまま先輩達にもなまえと呼ばれるようになった。
名前で呼ばれるのに慣れないけど、今日みたいに変な目で見られるよりはずっといい。
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