02
白鳥沢での生活が慣れ始めてきた朝練の終わり「あぁ〜〜ぁ〜っ!!」と大きな声が響いた。まぁ、誰の声なんて、すぐにわかる。そして、次には「なまえ〜〜っ!」であることは分かっていた。
「後で、渡すでもいい?」
「マジ?ありがとう!モップやっておく!」
「いいよ、ストレッチして」
「わかった!」
コート端から端まで綺麗に、モップをかけるとストレッチを終えた部員たちがシューズを持って体育館を出ていくので、追いかけると「走らなくていい」と先を歩いている白布先輩の声で脚が止まった。ゆっくりと白布先輩は振り返って「止まれとは言ってない」と言われたので、トボトボ歩き始める。白布先輩が止まってくれていた所まで辿り着くと、白布先輩はゆっくり歩きだした。
「あいつの事、甘やかさなくていいよ」
「あいつ…?工のことですか?」
「そう、宿題ぐらい自分でやれって言ってやって」
白布先輩が言うから聞きそうだけど、私が言っても無駄な上に、私は「中学からの癖で…気をつけますね」と白布先輩の整った顔へ向けて伝えると「変な癖」と微笑んだ。
し、白布先輩が笑った!!もう、朗報と叫んでみんな伝えたい…いつも、真剣な表情や怒った顔ばっかりで、白布先輩も笑うんだと見惚れていると鼻を摘まれた。
「俺だって、笑うから」
「ふんで、わかったんでふか?」
「顔に出過ぎ」
言い残りして、またスタスタと先を歩いて行った。
「はぁ?白布さんが笑う?幻覚、幻覚」
教室では極力、自身のキャラを保ちたいから話しかけないでほしいと言われているので、移動教室や購買などで工とは話している。そして、今は昼休み、飲み物を買いに行ったら工が自動販売機の前に居たので、朝の出来事を伝えた。
「あの、白布さんが笑うなんて絶対にない」
「…工って、本当に白布先輩苦手だよね」
「あの人が一番、怖い」
「え、一番優しいじゃん」
工と私が白布先輩への感情が全く合わない。マネの仕事だって白布先輩から教えてもらったし、怖くはないよ、と話しながら、自動販売機のボタンを一つピッとお目当ての隣を押してしまった。
「あっ!」
「え、なにいきなり、大声だして」
お茶を買いにきたのに…飲める物なら我慢しても飲もうと思って取り出し口から取り出すが、新作!ソーダと爽やかに書かれていた。…炭酸だけは、飲めない。
「…工、それと、取り替えて」
「は?食後は、紅茶って決まってるからむり」
「御坊ちゃま」
「は?ちげぇーよ!」
また、新しいのを買う…?でも、これを飲まずに捨ててしまうのは良くないし…やっぱり飲むしかないか…とキャップの蓋を開けようと、左手でペットボトルを持ち、右手でキャップを回そうとした途端、ペットボトルが消えた。同時に「あっ!ちわーっす!」と工が私に向かって挨拶をした。正確には…体の向きは、私の方だけど、目線は私の後ろ。ゆっくりと私は振り返った。
「よっ!」と片手を上げた川西先輩と「お前、声がデかい」不機嫌そうな白布先輩…の手には、私が持っていた炭酸ジュースがあった。
「あ、それ、!」
「これ、欲しいの?あげないよ」
「え、だって私が買った物…じゃ、」
「気のせいでしょ、はい、こっちで我慢して」
私の手元には、美味しいお茶と書かれた新品のお茶が現れた。
いつから見られていたんだろう…恥ずかしい…「ありがとうございます!」と伝えたら小さく首を縦に振った。やっぱり、白布先輩優しいと頬が緩んだ。小声で「ほら、白布先輩優しいじゃん」と伝えたら、まだ工は、納得できていない顔をしていた。いや、先輩にその顔はダメでしょ。と工の顔を見て呆れていると「なまえ」と呼ばれて、視線を先輩たちへ戻した。
「今日、買い出しいんだよな?」
「はいっ!午後練準備が終わったら行きます。何か必要なものありましたか?」
すると「賢二郎が荷物持ちになったんだよ」と川西先輩が言ったので、「え、荷物ぐらい、私一人で持てます」と食い気味に答えた。
荷物持ちを正セッターにお願い出来ない、とお断りをしょうとするも川西先輩が眉を八の字下げるも、口角を上げていった。
「天童さんの追加品あるけど、いい?」
「…品だけ、聞いてもいいですか?」
「「ダンベル、五キロ」」
息ピッタリで言われた言葉に「さ、?え?それ、本当に天童先輩ですか?」と失礼を承知で聞いた。
「一応、ね。それに賢二郎みたいな細身のやつが買ったら駅前の店だとサービスしてくれるんだよ」
「……新商品の押し付けだろ、アレは」
「まぁ、そうゆう事だから、よろしくな」
ひらひらと手を振って校内へ戻っていく二人を見送り、私と工は同じ教室だけど、バラバラになって戻った。これも工のクラスでの印象のためである。
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