見えないボーダーライン
野球部の名門。
青道高校の朝練はニワトリが鳴く前から行われる。
毎日毎日鍛錬鍛錬。
気が狂いそうな程過酷な練習をこなしていく部員達。
雅 楓は、そんなみんなを支えたい一心でこの野球部のマネージャーになった。
「お前を、甲子園に連れてってやる…。」
「何?頭でも湧いた?」
「マネージャーとしては一度は言われたい堂々一位のセリフだなって。」
一旦休憩をとりにベンチまでやってきた小湊 亮介は、ベンチに腰掛けぼんやり遠くを見ながらそんな事を呟く楓にお馴染みの毒舌をかます。
言われた本人は全く気にする様子もない。
それもその筈、楓にとって亮介は一番関わりのある人物だった。
高校生活の三年間連続クラス被りをし、部活でも顔を合わせるくらいなのだから…
更に、可愛い可愛い妹の想い人。
接点だらけのこの男…大体どんな人間かは理解していた。
「ほら、マネージャー。ドリンクくらい出してもいいんじゃない?」
「全く、可愛くないなぁ」
そう言いながら楓はドリンクを手渡した。
亮介は 男なんだから可愛くなくて結構。と、また可愛くないことを零す。
すると、片岡監督から部員招集が掛かる。
どうやら今日の練習はノックで終わりのようだ。
「さ!ラストファイト!!!」
楓は亮介の背中をトンと押した。
「奏ー!お弁当持った?」
「ちゃんと持ったよ!」
楓と妹の奏の自宅は青道から徒歩圏内の距離にあった。
その為朝練の後は必ず自宅まで帰ってから登校している。
「お姉ちゃん、わざわざ家に帰りなおさなくてもいいんだよ?」
「朝練終わってから登校時間までちょっと時間があるから帰ってきてるのー!」
一足先にリビングを出て行こうとする楓に奏は問いかけた。
その問いに明るく返す楓。
「だからって一緒に登校しなくても…わたしだってもう高校一年なんだから一人でできるよ!」
「おねーちゃんが一人で登校するの寂しいんだよ!一緒に学校行こ!」
「もー、分かったよ。」
玄関で靴を履く姉に、しょうがないなぁといった様子の妹。
その妹に後ろ暗いニュアンスはない。
楓は、靴を履き終えた奏の手を取り家を出た。
「えっ、お前家では妹に勉強教えてもらってんの?」
「出来る妹持つと助かるよねー!!!」
「呆れて物も言えないよ。」
3年の教室にて楓と亮介は机に座ってノートを広げていた。
亮介は楓の席の前の座席だ。故に、椅子に腰かけ後ろを向く形になっていた。
「お前って本当バカだよな。血が繋がった姉妹とは思えないね。」
「きっと頭脳的な才は全部妹にもってかれたんだろうよ…。」
だろうよじゃないよ。と、教科書で軽く楓の額を小突く。
そう、授業終わりの数分の休み時間によく楓は亮介に勉強の復習を一緒にやってもらっている。
「でも、毎回ごめんね。わたし授業聞いてても訳わかんなくて…こうやって誰かに教えてもらえると助かる。」
「…マネージャーとしていつも世話になってるから、これくらい気にしなくていいよ。」
ニコニコした表情とは裏腹の強烈な毒舌キャラで有名なこの男にもなんだかんだ優しい一面はあるんだよなぁ…。と、しみじみ楓は思う。
「それよりお前は今後の成績気にした方がいいんじゃない?」
「ごもっとも過ぎて何も言えないや。」
言われ、ノートに目を移す楓は、ペンを握り直してふと思う。
「ねぇ、今度妹も交えて勉強会しない?」
口を突いて出た言葉は亮介の予想するものとは違ったようで彼は少し不思議そうにしている。
「あ、いや!あの子も分からない所あるみたいでさ!わたしじゃ教えてあげられないし、亮介どうかなって!」
「…まぁ、1年の範囲ならなんて事ないと思うからいけるけど?」
「やった!じゃあ決まり!!今度の日曜にでもどう!?図書室借りるか…わたしの家近いしどちらでもいいけど」
「日曜別に構わない。場所もどっちでも。」
「お菓子とか食べながら出来るし、どっちでもいいならわたしの家で!」
こうして、楓は見事約束を取り付ける事に成功したのであった。
青道高校の朝練はニワトリが鳴く前から行われる。
毎日毎日鍛錬鍛錬。
気が狂いそうな程過酷な練習をこなしていく部員達。
雅 楓は、そんなみんなを支えたい一心でこの野球部のマネージャーになった。
「お前を、甲子園に連れてってやる…。」
「何?頭でも湧いた?」
「マネージャーとしては一度は言われたい堂々一位のセリフだなって。」
一旦休憩をとりにベンチまでやってきた小湊 亮介は、ベンチに腰掛けぼんやり遠くを見ながらそんな事を呟く楓にお馴染みの毒舌をかます。
言われた本人は全く気にする様子もない。
それもその筈、楓にとって亮介は一番関わりのある人物だった。
高校生活の三年間連続クラス被りをし、部活でも顔を合わせるくらいなのだから…
更に、可愛い可愛い妹の想い人。
接点だらけのこの男…大体どんな人間かは理解していた。
「ほら、マネージャー。ドリンクくらい出してもいいんじゃない?」
「全く、可愛くないなぁ」
そう言いながら楓はドリンクを手渡した。
亮介は 男なんだから可愛くなくて結構。と、また可愛くないことを零す。
すると、片岡監督から部員招集が掛かる。
どうやら今日の練習はノックで終わりのようだ。
「さ!ラストファイト!!!」
楓は亮介の背中をトンと押した。
「奏ー!お弁当持った?」
「ちゃんと持ったよ!」
楓と妹の奏の自宅は青道から徒歩圏内の距離にあった。
その為朝練の後は必ず自宅まで帰ってから登校している。
「お姉ちゃん、わざわざ家に帰りなおさなくてもいいんだよ?」
「朝練終わってから登校時間までちょっと時間があるから帰ってきてるのー!」
一足先にリビングを出て行こうとする楓に奏は問いかけた。
その問いに明るく返す楓。
「だからって一緒に登校しなくても…わたしだってもう高校一年なんだから一人でできるよ!」
「おねーちゃんが一人で登校するの寂しいんだよ!一緒に学校行こ!」
「もー、分かったよ。」
玄関で靴を履く姉に、しょうがないなぁといった様子の妹。
その妹に後ろ暗いニュアンスはない。
楓は、靴を履き終えた奏の手を取り家を出た。
「えっ、お前家では妹に勉強教えてもらってんの?」
「出来る妹持つと助かるよねー!!!」
「呆れて物も言えないよ。」
3年の教室にて楓と亮介は机に座ってノートを広げていた。
亮介は楓の席の前の座席だ。故に、椅子に腰かけ後ろを向く形になっていた。
「お前って本当バカだよな。血が繋がった姉妹とは思えないね。」
「きっと頭脳的な才は全部妹にもってかれたんだろうよ…。」
だろうよじゃないよ。と、教科書で軽く楓の額を小突く。
そう、授業終わりの数分の休み時間によく楓は亮介に勉強の復習を一緒にやってもらっている。
「でも、毎回ごめんね。わたし授業聞いてても訳わかんなくて…こうやって誰かに教えてもらえると助かる。」
「…マネージャーとしていつも世話になってるから、これくらい気にしなくていいよ。」
ニコニコした表情とは裏腹の強烈な毒舌キャラで有名なこの男にもなんだかんだ優しい一面はあるんだよなぁ…。と、しみじみ楓は思う。
「それよりお前は今後の成績気にした方がいいんじゃない?」
「ごもっとも過ぎて何も言えないや。」
言われ、ノートに目を移す楓は、ペンを握り直してふと思う。
「ねぇ、今度妹も交えて勉強会しない?」
口を突いて出た言葉は亮介の予想するものとは違ったようで彼は少し不思議そうにしている。
「あ、いや!あの子も分からない所あるみたいでさ!わたしじゃ教えてあげられないし、亮介どうかなって!」
「…まぁ、1年の範囲ならなんて事ないと思うからいけるけど?」
「やった!じゃあ決まり!!今度の日曜にでもどう!?図書室借りるか…わたしの家近いしどちらでもいいけど」
「日曜別に構わない。場所もどっちでも。」
「お菓子とか食べながら出来るし、どっちでもいいならわたしの家で!」
こうして、楓は見事約束を取り付ける事に成功したのであった。