及川徹の
「あ、みすずちゃんだ」
ファンになったと宣言されてから数週間。
神崎みすずちゃんは正式に女バレを辞めて、部活がある日は毎日男バレの練習を見に来ていた。しかも終わるまで。女バレのキャプテンや、監督たちの説得も虚しく足繁く通ってはノートに何かを書き込んでいた。多分、練習の様子とかそんなんだろうと思うけど。
でも、みすずちゃんは俺たちにあんまり関わって来ようとはしなかった。
部活中も、ファンだって言われたから他の女の子みたいにきゃあきゃあしながら観るのかと思いきや、ほとんど声は発さない。ただただ、キラキラとした期待の眼差しをずっと俺たちに向けているだけ。まあ、国見ちゃんとは同じクラスだからか話しているところはたまに見かけるけど、こうやって休憩中に見かけて声をかけようとしても、パッと頭を下げてそそくさとどっかに行ってしまう。
「なんでだと思う」
「はぁ?何が」
隣にいた岩ちゃんに聞いてみれば凄い険しい顔をされた。
俺の、呟きを、聞いてなかったんですか!
「みすずちゃんのこと」
「神崎?」
「そ。なんで俺らと話したいって思わないんだろ。ファンって言ってたのに」
「…さぁな。実は嫌われてんじゃね?」
「なっ?!なわけないでしょ!あんな人前でどうどうとファンになりました!って言われたんだよ?!」
「神崎が好きなのはあくまでもお前のバレーで、お前個人じゃねーだろ」
「……でも、そんな嫌われるようなこともしてなくない?て言うか話さないの俺だけじゃなくない?」
みすずちゃんが他のファンの女の子たちとは違うことくらいすぐに分かった。
だってみすずちゃんは俺が声をかけても、笑いかけても、手を振っても、赤くなって恥ずかしがったり、嬉しそうにしない。そう、認めたくないけど、普段は避けられていると言っても過言ではない。嫌われてるから?いやいや、国見ちゃん以外とは大して話してるの見たことないし、俺個人が好きじゃなくても、俺個人が嫌いってわけじゃないよね?ね??
「女々しいヤツだな」
「岩ちゃんは気にならないの?!」
「別に…お前だけじゃね?気にしてんの」
及川徹の
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