(どうして、)
トイレ?食事?――様々な情事が思い浮かぶも、どれもしっくりこなかった。あるいは、まさかタケルはこの三つのものとトコモンを置いて?なんて最悪のパターンすら思い浮かんでしまう。
「トコモン!」
悶々と考える栞の横から、太一は急いで駆け寄り、その体を抱き上げる。彼の体は少しだけ冷えており、「しっかりしろ!」と強めに抱きしめれば、その目がゆるゆると開かれ、太一を捉えた。
「太一…?」
おぼろげだった瞳は、太一の姿を確認すると、ぱっと大きく開かれ、またその横にいた栞の姿も確かめると、その瞳からは歓喜が溢れていて、心底安堵したように彼は頬を緩ませた。
「太一!栞!アグモンにイヴモン!生きてたの!?」
「ああ、もちろんだよ!」
「それより、敵にやられたのか、トコモン」
「ううん、そうじゃない…。お腹空いて、疲れてるだけ…」
言いながら、しょぼんと目を垂らし、トコモンは太一の腕の中から地面へと降りた。その様子からはいつもの覇気が感じられない。太一はその様子を気遣いながらも、彼の横に置き去りにされていたデジヴァイスと紋章に目がいき、思わず「タケルは?他のみんなは?」と問いかけた。確かにトコモン一人だけここにいるのはおかしな話である。トコモンは、いつもピンッと立っている触角をへにゃりとしおらせていた。
「……」
少し黙って、トコモンはちょこちょこと太一と栞の方へと向き直った。
「タケルは…ピコデビモンと一緒…」
「ピコデビモン…?」
「ピコデビモン?なんだ、それ」
「ピコデビモンは…え、っと…」
「最初から分かるように話してくれ。あれからみんながどうなったのか」
「うん。…あれから、僕たち――…」
トコモンは、ゆっくり口を開けた。
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