「とりあえずヤマトを探しに行こう。本人からわけを聞いてみようぜ」
「…うん、」
その時だった。
パサパサという翼の音が聞こえ、全員の視線が宙へと向けられた。
「あ、戻ってきた!」
瞬間、イヴモンの瞳が鋭く光り、自然な動作で栞の前へと躍り出る。その小さな体では隠せる部分が少ないことくらい彼も知っていた。それでも、何かしなければならない。そんな焦燥感にかられていた。
(――僕が守らなきゃ。頼んだヤマトはここに居ない。もし――それが自分の身を消すための方法だとしても、僕は、構わない)
イヴモンの残酷なくらい澄んだ空色の瞳は、ただ一途にもピコデビモンの嫌らしい顔を射抜いていた。
バスケットいっぱいにキノコを入れたピコデビモンの瞳に、先ほどよりも清々しい顔をしたタケルが飛び込んだ。一刻も早くこのキノコを食べさせてあげなくては。思わずにやける顔を抑え、翼を早くとはためかせ――見知らぬ人物が目に入った。
(タケルに…トコモンもいる。…あとは他のやつもいるのか。…ん?…あれは…どこかで見たことがあるような。…まあいいや。とりあえず、)
「タケルゥ!あれ?トコモンもいたの?元気だったァ?」
「やいっ、お前に聞きたいことがある!」
「なっ、何ですか?あなたたちは!」
大げさなまでに飛びのいたピコデビモンに、太一とアグモンは食ってかかった。イヴモンはその隙に非力な力で、栞の体を少し奥へと押しやった。戸惑う彼女の声など聞く耳持たず、とりあえず近くの自動販売機の向こう側へ移動させた。
「イヴモン…?どうしたの?」
「…アイツに栞の存在を感知させちゃ、だめなんだ」
「どういう――」
「とりあえず、もうちょっと向こうへ行こう。太一やアグモンが、相手してる間に!」
ぐいぐい、と更に体を押された栞は戸惑うままに、その力のまま動いていく。視界の端でタケルや太一たちが見えた。
「イヴモ、」
「いいから!…頼むから、言う事聞いて」
縋るよう、震えた声で言われれば、もう何も言えない。栞は多少困惑したが、直ぐにイヴモンの言葉は正しいと納得し、自分の足で動いた。
「イヴモン、」
自分を押しやった答えを促がすよう名を呼べば、イヴモンは空を仰ぎ、それから優しく微笑んだ。
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