「うわあっ!」
「タケルくん!」
行き場をなくしたタケルの体は、ぽいっと投げ捨てられ、地面と衝突した。栞は直ぐに駆け寄って、その体をいたわるように抱きかかえる。丈のことも心配だが、先ほどの丈の言葉を直ぐに思い出し、とりあえずタケルの身を案じたのだ。
「大丈夫…?」
「う、うん、僕より丈さんが…、あっ、丈さんっ!!」
痛みに目を瞑っていたタケルがゆるゆると瞼を開けた時、目に飛び込んできたのは、自分を助けた事による報復を受け、ベジーモンに体全体を締めあげられている丈の姿だった。栞は思わずタケルの手を握りしめ、目を見開く。言葉を失くした彼女の喉は、ただ空気だけをその場に放出した。一瞬にして体が冷え、心臓が縮んだ。
「うああ、ぐあっ!」
丈の低い悲鳴が、彼らの耳に届く。ベジーモンは忌々しい顔をしながら、力を込めて丈を締め付けていた。
「ど、うして、」
ぽつりとつぶやいたヤマトは、信じられないものを見るような眼で丈を見ていた。自分は先ほど丈の心を傷つけた。騙されていたということを知らなかったとはいえ、許されることではない。それなのに、丈は、自分を犠牲にしてでも、タケルを助けてくれた。理由が、見つけられない。未だ倒れているタケルの傍らに立つヤマトは、視界が徐々に歪むのを感じていた。
「今まで…ヤマトが一緒に、頑張ろうって…言ってくれたから…っ、僕は、我慢でき、たんだ…っ!だ、かっら、今度、は僕がァ…っ」
薄らぎ始めた意識の中で、丈は声を振り絞る。例え、ヤマトが己を嫌ってくれても構わない。だとしても、自分は、自分の為すことを、しただけだ。
「イッカクモン!!みんなを助けるん、だ!!」
「そんなことしたら余計に締め付けちゃいますよー!?」
「丈っ!!!」
「ぼ、くはいいから、はやく、デジタマモンっ、を!うぐ、あああっ!!」
栞はタケルをヤマトに預け、思わず立ち上がる。
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