「空には会わなかった?」


 太一の声に、栞は俯いていた顔をあげる。その顔に刻みこまれた心配の念を、少しだけ、他人事のように感じた。


「いや、俺たちは会わなかったな」
「そうか…。アイツ、何処に行っちまったんだ?」
「あたし…空さんに会ったかも…」


 ミミの発言に、全員の視線が彼女へと向けられる。


「どこで会ったんだ?」
「ゲコモンの城。もしかしたら夢だったかもしれないけど…」
「そんなことがあったんだ…」
「実はさ、僕にキノコを食べちゃダメだって教えてくれた声も、なーんか空に似てた気がするんだよねぇ…」
「――空だったよ、」


 栞の声に、太一は眉を寄せる。どうして今さらになって言うんだ。そう言われているようで、恐怖を覚えた。思わず、ペンダントを握りしめる。


「僕モ見たカら、確かだヨ。彼女は君たチが食ソうトシていタキノコの危険性を説いテいタ」
「でも、それなら何で空さんは僕たちの前に出てこないの?」
「考えても仕方ないさ。俺たちは空じゃないんだ」


 呟いてから、ヤマトはデジヴァイスを厳しいまなざしで見つめる。ピコピコと鳴りつづける電子音は、少し離れた位置で赤い点を示し、それは確かに空の存在を表していた。


「まずは本人を捕まえようぜ!」
「まるでおにごっこみたいだな」
「こっちの方角ですね」


 ざっと、赤い点がある方角へとみんなが振り返った。

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