「アグモン進化!―グレイモン!!」
「パルモン進化!―トゲモン!!」
「ガブモン進化!―ガルルモン!!」
「テントモン進化!―カブテリモン!!」
「ゴマモン進化!―イッカクモン!!」


 大きな姿と成り果てたアグモン達を見上げ、ヌメモンたちは恐れおののいた。何せ彼等はご飯を食べたくて来ただけの兵隊だった。ヴァンデモンに心酔して志願したわけではない。自分自身を傷つけてまで、守る価値のない相手ということだ。


「お、おい、お前たち!敵前逃亡は重罪だぞー!」
「飯も食わせねぇで!」
「オラたち国さ帰って大人しく畑耕すだぁ!」


 もはやナニモンのどなり声すら彼らには効力をもたない。すぐにヌメモンたちは散り散りとなり、残ったのは親父のようなデジモン―ナニモンだけとなった。一人だけ残されたナニモンは、順々に大きくなった彼等を見つめ、「降参…」ぽつりと一回呟いた。


「降参、降参します!」


 どこからか取出した白旗をパタパタと振れば、確かに降参の合図だった。
 「先生!?」まさかの出来ごとにピコデビモンは驚きを隠せなかった。


「先生、それはない!!」
「黙れ!戦場ではな、タグでなければ生きていけない!しかしタフなだけでも生きていけない!逃げるが勝ちとも言うだろうが、ねぇ!?」
「帰るならさっさと帰れ!!」


 どれだけ熱く語られようとも、今の彼等にはそんな余裕など微塵もない。太一に一刀両断されると、「お邪魔しましたー!」という言葉とともに、逃げ帰った。何とも情けない終わり方であった。


「さあ、どうする?」


 ぞろりと目の前に立った子供たち、デジモンたちを見上げ、ピコデビモンは苦虫をかみつぶしたような顔をした。


「ずるいぞ!一対五じゃないか!」
「ねえ、こんなやつ早くやっつけて先に進もうよ」


 そう言ったのはタケルだった。彼はピコデビモンにより、苦痛を強いられた経験がある。言葉の節々に毒が見えても、仕方のないことだった。


「お、お前如きに言われるなんて…ちくしょう、こうなりゃ自棄だ!――ピコダーツ!」
「エアショット!!」


 タケルに向けて放ったお得意のピコダーツは、軽々しくもパタモンのエアショットによって打ち砕かれる。「うそー!?」ピコデビモンの瞳からは情けないくらい大量の涙があふれ出した。


「早く行かないと!!」


 栞が今日一番の声で叫んだ。心の焦りが言葉に出たのか、空も慌てて目を見開いた。「ゲートが閉まっていくわ!」目の前ではどんどんとゲートが閉まっていく。これ以上、何かに構っている暇など彼らには残されてはいなかった――ヴァンデモンを行かせてしまっては、日本が、8人目が、家族が。諸々の思いが彼等の内に宿る。行かせてたまるか。


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