石室に辿りついた子供たちは、直ぐ様カードをはめる石板の前に立った。
 太一が懐からゲンナイに貰ったカードを取り出し、眉をへの字に曲げて考え込んだ。暫くじーっとカードを見つめ、それから一枚一枚丁寧に地面に並べて行く。


「なあに?」


 空が後ろから覗きこんで、尋ねた。太一が並べたカードはグループ化されているらしく、三つに区分されていた。
 一つのグループにはゴマモン、ペガスモン、アグモン、アンドロモン。一つのグループには、ガジモン、トリモゲモン、デジタマモン。そして最後のグループにはトノサマゲコモン、クワガーモン。


「良いヤツ、…悪いヤツ…、汚いヤツ」
「そうかあ?…小さいの、普通の、大きいの!」
「うーん、貸してくれ。これでどうだ。弱いやつ、まあまあなやつ、強いやつ。…でも外れがどれか分かんないなぁ…」
「住んでる場所よ。陸とか海とか」


 子供たちは頭を突き合わせて考え込む。様々なパターンで照らし合わせてみるが、どれもしっくりくるものではない。こんな簡単な組み合わせで解けるものではないことくらい、彼等にだって分かる。しかしそれ以上、グループ化しようにないのだ。


「……」
「光子郎、くん?」
「ヴァンデモンが魔法で封印を解いたということは、きっと石板の絵も魔法に関係しているはずだ…」


 ぽつり、と呟いた光子郎の言葉は確かに言い得て妙だ。栞はカードを見て、それから石板を見つめた。初めてこの城に訪れた時の言葉が、今もはっきりと脳内に焼き付いている。おそらく、あの声の『彼女』がこの扉を作った。だが、一体何のために?


―――…汝カードの隠された意味を解き、それを示す鍵穴に置け。さすれば異界への扉は開かれん。


 その言葉だけでは何のヒントも隠されていない。ただの台詞である。もっと、何かないのか。ここを作った声の主が――栞の想像通り『守人』であるとしたら、それは己自身のこと。何かもっと。自分のことだとしたら、分かることがあるはずなのに。何も、分からない。


「星の数…、絵…」


 石板に触れても、何も起こりはしなかった。少しくらい、ヒントをくれたっていいのに。
 星の数。1個、2個、3個。1<2<3と考えれば、3が一番大きい。が、逆も然り。
 絵。ライオン、射手、猿。そこで、何かが頭の中に絡みついた。ライオン…この世界のライオン…レオモン。射手…似たような体、ケンタルモン。そして、猿。猿のような形をした…栞たちにとっては忘れられない敵だった、エテモン。更に星の数。でも、そこで何かが伸び始めた蔓を切り裂くように邪魔をする。ふるふると頭を振った。デジモンだとしても、星との関係性が分からない。


「…何の音?」


 不意にタケルが上空を見上げた。耳を澄ませてみれば、何かが落ちていく音が、階段の向こう側から聞こえてくる。

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