「そーです…」
わざとらしい態度に、もう何も言えなくなった子供たちは、少しだけ鳴るお腹をおさえながら一列に座るとアグモンを哀れんだ目で見つめた。
「なっ、だから、俺とオマエで頑張らなきゃいけないんだ!みんなを、栞を守ってやんなきゃ!」
「う、うん…」
不意にぎゅ、と栞はイヴモンを引き寄せ、抱きしめた。それからその身体に顔を埋める。
(…私が、何も出来ないから)
正しいと思ってやったことは、ただの無謀にしかならなかった。勿論、栞は未だ守人がどういうものだかははっきりと知らない。ただ漠然とデジタルワールドを守るものなのだというくらいの認識でしかない。だから、泣き虫のままではいけないと思った。その結果、あのような行動に出てしまった。心配をかけるだけということには、気付くことが出来なかったのだ。おそらくは、もう二度とあのような行動をすることはできない。
「栞…?」
イヴモンはもぞもぞと動き、栞の頬に触れた。彼女の瞳が、潤みを帯びているように見えたからだ。しかし実際には彼女は泣いてなどおらず、いつものような笑みを浮かべているだけだった。それから栞はもう一度アグモンを見てから、哀しそうに眉尻を下げた。
「あれじゃ、アグモンを追いつめているようなものだよね…」
「アグモン…辛そうだよ…」
タケルがほとんど泣きそうな顔をしたので、その頭をヤマトが撫でていた。
「太一さんって、クラブの時とか、僕たち後輩に優しかったですけどね…」
「そういえば、サッカー部でも…。太一ってひとりで突っ走るタイプに見えるけど、あれでけっこう、周りの状況を冷静に見てるんだ。それが今は…」
「紋章を手に入れて、太一さん、人が変わっちゃったみたい…」
その言葉に顔をあげた栞は、くしゃりと顔をゆがめ、ペンダントを握り締めた。
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