「守人はこっちだッピ」
「え…?」
「今の守人は少しばかり『心』が弱いッピ。…ピッ!別に守人の悪口を言ってるわけじゃないッピ!…スカルグレイモンの件で、分かったッピ。このままだとエテモンやほかのデジモンに取り込まれてしまうッピ。そんなの私は許せないッピ」


 眉を寄せたまま、ピッコロモンは俯く。まるで自分のことのように悲しむ姿を見て、栞は笑みを浮かべた。なんだか、嬉しかった。


「だから心の修業をしてもらうッピ!」
「心の、修業?」
「そうだッピ!ここをまっすぐ行ったところに、洞窟があるッピ。…あとはイヴモンがよく知ってるッピ」
「僕?」


 自分の名前が出たのが以外だったのか、イヴモンは瞳を大きく開いたが、すぐに仕方がないと頷いた。栞の頭の上からするりと降りて、ピッコロモンが示した道に漂う。おそらく栞のことを急かしているんだと思うけれど、それよりしなければならないことを思い出し、ピッコロモンを両手で包みこんだ。くるりとした大きな瞳の中に、栞が映る。


「助けてくれて、ありがとう」


 栞は、お礼を言っていなかった。人間としての礼儀を忘れてはいけないと、いつも兄は口を酸っぱくして言っていた。


「みんなを、よろしくね」


 そう告げると、ピッコロモンはくるんとした瞳を輝かせ、任せろッピと頼もしくも胸を張った。思わず笑いが漏れる。でも本人はいたって本気なので笑っては悪いと思い、口元に手を当ててひっそりと笑った。


「じゃあ、頑張ってくるッピ!」
「うん、あの…行ってきます、」


 いい加減にしないとイヴモンが怒鳴ってきそうなので、早々にして先を行くイヴモンの背中を追った。

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