「遅イ」
「ご、ごめんね、」
「…ナんてネ。こレでも僕、栞のことヲ待つコトには慣れてルんダヨ?」
「え?」
「栞がデジタルワールドに来る前、ずっトズっと栞のコと待ってタんだカラ」
くすくす声を立てて笑うイヴモンを見て、 待っていたというセリフに、胸が熱くなった。やっぱり、イヴモンは栞にとって、何よりも変え難いものなんだと思った。友達も大切。一生に一度しか得ることができない宝物だ。 でも、でも。 こんなこと言っちゃだめなのかもしれないけど、 何よりも、誰よりも近い存在にあるイヴモンを、 一番大切なんだって思う栞がいる。 だってイヴモンがいれば、なんだってできる気がしてしまう。
だから離れる時―――…栞たちが東京に帰る時、栞は、どうなってしまうんだろう。帰りたいと思うけど、離れてしまったら自分が自分でなくなってしまう気がする。大げさかもしれないけど、栞にとってイヴモンはそういう存在なんだって、そう思う。
「眉間ニしわ、寄ってるヨ」
「え、え?」
「ぐーっテしてル。栞にソんな顔は似合ワないヨ」
「そ、そうかな」
「うン、栞は笑ッてる方が絶対イイ」
そういってふんわりと笑うから、こっちが恥ずかしくなってくる。別にイヴモンだから気にすることはないのに、何だか気まずくなって顔を逸らせば、イヴモンはまたくすくすと笑った。
「…まったく、本当、栞は可愛いな」
「…え?」
「あレ、照レないカ。…ドうしたノ?」
「う、…ううん、なんでも、ない」
イヴモンの声じゃ、なかった気がした。イヴモンが言ったんじゃ、ない気がした。少しの違和感が、胸を占めた。それでも目の前にいるのは、いつもと変わらないイヴモンで。その後の言葉も、いつもと変わらなくて。
back next
ALICE+