「グレイモン超進化ァ!!―――メタルグレイモン!!」


 太一の勇気という気持ちに反応したデジヴァイスと紋章の光が晴れ、新たなる姿を子供たいちの前に露わにした。グレイモンと同じなのはオレンジ色の身体だけ。頭には兜が、左手と胸部は強化され、背中には羽が生えている―――恐怖なんてものは生まれない。ただ、信ずる気持のみが、子供たちに溢れる。


「これが…グレイモンの正しい、進化…?」


 ぽつりと太一は呟いた。已然とデジヴィスからは光が放たれ、栞の身体も光りつづけている。イヴモンはそっと彼女の横に並んだ。


「少し進化したくらいで……っアチキに勝てるわけないでしょ!?」


 嫉妬にも似た欲望を乗せて放ったダークスピリッツは、メタルグレイモンにいとも簡単に薙ぎ払われた。「なんですって!?」「メタルグレイモン!!」驚愕に満ちた声を聞き終える前に、太一の声を聞いたメタルグレイモンはエテモンに向かって突っ込んで行った。


「よ…よくもよくもォォ!!踏みつぶしてくれるわ!!」


 半ば発狂しながらエテモンはメタルグレイモンめがけて走りだしたが――それよりも早く、栞は祈りを込める。たちまちメタルグレイモンの身体は光り包まれた。


「メタルグレイモンが光ってる…!」
「光のエネルギーだ!聖なる力です!!」


 突風に晒されて立っていられなくなった子供たちは、しゃがみ込んでもなお、強くなったメタルグレイモンを見つめ続けていた。そんな視線に答えるように、メタルグレイモンは、小さく唸った。


「ギガデストロイヤー!!」


 大きなミサイルは、まっすぐ間違えることなくエテモンめがけて発射された。ネットワーク部分につきささり、大きな爆発音と閃光とともに、エテモンの身体は巻き込まれていく。


「き、消えたくない…アチキは大スターなのよ!?なんで、なんでこんなところでー!!」


 ぐにゃりと歪んだエテモンは、その言葉を残し、世界の果てへと消えて行った。爆発風に巻き込まれたのはエテモンだけではなく、傍にいた子供たちは突風に飛ばされないように地面にしゃがみ込んだ。


「わっ…!!」
「栞っ!!僕を、離さナいデ!!」
「っ!!」
「栞っ!うワ、!!」


 空たちはお互いを寄せ合って掴み合うが、少し離れたところにいた太一と栞は掴むものもなく、特に栞の小さな身体はすぐにイヴモンとともに渦の中へと消えて行った。その後を追うように、太一も、彼をかばったグレイモンとともに渦の中へと消えて行った。


「太一、栞!?」


 突風は止んだ。
 しかし、どこにもいない2人を、子供たちは探した。


「太一さん、栞さーん!!」


 2人の姿はどこにもない。


「…太一、…栞―――っ!!!!」


 空の絶叫が、青い空のカーテンの向こう側へと消えて行った。


17/07/25 訂正
10/12/15

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