はなむけの詞を音にのせて

『じゃ、わたし先に出てるから早く着替えてね〜』と
部活を終えて更衣室に入っていく部員たちに声をかける。

音楽でも聴こうかとイヤホンを出して
お気に入りの曲を選択した。


『〜〜♪』

「何聴いてんの」
片方のイヤホンをはずし自分の耳にあてた貴大は
「あ、またこれか」
『気に入ってんだもん』
「俺もこの曲が一番好き」と
わたしの隣に立ちそのまま自分の耳に付ける。


インディーズのバンドだからたぶん知っている人は少ない。
聴いてみたい と言う貴大にこの間貸したら気に入ってくれたみたいだ。


「お先です」
「お疲れ様でした!」と出てくる後輩たちを
見送ると 後ろから及川たちが出てきた。

「なになに〜 なに聴いてんの〜?」
と貴大のイヤホンに手を伸ばすが
「秘密」と及川の手を避けた。

「マッキーひどい!名前ちゃん何聴いてんの!」
『及川には教えない』
「名前ちゃんまで!及川さん泣いちゃうよ!?」
「よし、帰るか名前」
『うん帰ろう』
「えっ、マッキーも名前ちゃんもなんなの!」

また明日 と及川たちに手を振って別れる
待っててくれたんじゃないの!と言う及川はスルーだ。

「コンビニ寄っていい?」
『またシュークリーム?』
「もちろん」

部活の帰りは貴大が送ってくれるのが日課になっている。
最初は 申し訳ないからいい と断ったが
帰りはロードワークがてら走るから と
押し切られた。

申し訳ないながらも最近は帰りが楽しみになっているのも事実。

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